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14話 尊、振り返る

ブックマークありがとうございます。毎日の励みになってます。


すいません、ストックが切れそうなので不定期更新に変わります。(出来る限り、毎日更新を致します)

酒場を出ると、そのまま市場へ向かう。昨日のように、メイプルとミュートが邪険に扱われるか心配したが。


「おぉ、兄ちゃん。今日はいい”レタス”が手に入ったよ、おまけするから買って行ってくれよ。」

「メイプルさん、こんにちは。今日もご主人様とお買い物?。」

「ミュートちゃん、今日も可愛いね。おまけするから、うちの”パン”見て行ってよ。」


と昨日とは打って変わって、好意的に接してくれる。メイプルとミュートもびっくりしているが、会釈をしたりして市場の人に応えていた。俺がホッとしながら、今日の晩御飯の材料を買っていく。そして最後に砂糖が売っているお店に顔出した。


「こんにちは、お砂糖を頂けませんか。」

「いらっしゃい。おっ、今日も別嬪さんを2人も連れてお買い物か。羨ましいね、うちにも一人分けてくれよ。」

「嫌ですよ~。綺麗なメイプルと可愛いミュートがいない家なんて、帰ってもいいことありませんから。」


メイプルとミュートが照れて、赤い顔をしている。店主から、”かぁ~、羨ましいね”って冷やかされる。俺は、砂糖を20個ほど購入する。すると、店主から質問される。


「うちとしてはありがたいが、そんなに砂糖を買って”ジャム”でも作るのかい。」

「その通りです。”イーストダンジョン”には色々な種類の果物があったので、好みのジャムでも作ろうかっと考えています。」

「そうかい。今後ともご贔屓にしてくれよ。」


お菓子のことは話しても伝わらないので、話を合わしておく。俺達は”ありがとうございます”と言って、市場の店主達から解放された後に、メイプルとミュートが俺にお礼を言って来た。


「尊様、ありがとうございます。昨日、頭を下げて頂いたおかげで疎まれたりせず過ごせました。」

「ありがとうございます、尊様。私達は、この村の人に受け入れられることを諦めていたんです。」


俺が2人に理由を聞いてみると。2人は初めてイーストウッド村についた夜に、ハードウッドさんから忠告されていたらしい。内容は市場で聞いた通りの内容で、”街道で獣人が悪さをしているため、全ての獣人に対して村人が疑心暗鬼になっている。”というものだった。俺がメイプルとミュートの主人になると決めた時に、ハードウッドさんが言っていた言葉にも。

”お節介ではありますが。奴隷とうまく付き合えない場合は、私を含めた奴隷を扱う者に売ってほしいと思っております。奴隷が主人を殺すというどちらも救われない事態は、いいものではありませんからね・・。”

ハードウッドさんは”獣人の主人”という立場で、俺も疎まれることも危惧してくれたのかもしれない。


「俺も含めてイーストウッド村では俺達は余所者だが、今はこうして受け入れて貰えたんだ。この”ご縁”は大事にしないとか。」


俺の言った言葉に、メイプルとミュートが”ご縁とはなんですか?”と質問してくる。


「”ご縁”っていうのは・・・。上手くは言えないが、”色々なもの”との”出会い”だと俺は思っている。

例えばだが。もし街道で”メイプル”と”ミュート”に会わなければ、今の俺達の関係はない訳だ。」

「そうですね。尊様と出会わなければ、こうしてイーストウッド村の人達に受け入れるどころか生きてすらいなかった可能性もあるのですね。」

「もし尊様と出会ってなかったら、違う人の奴隷となって毎日泣いて過ごしてる未来の方が普通なんですよね。」


なんか暗い話の空気になりそうなので、強引に話を進めることにする。


「まあそんな訳で俺達は、”出会い(ご縁)があった”から今の関係があるんだ。俺は”メイプル”と””ミュート”との出会い(ご縁)は、良い出会い(ご縁)だから大事にしたいって思っているぞ。」

「尊様の仰る通りです。尊様との出会い(ご縁)なければ、”デザート”との出会い(ご縁)もありませんでした。」

「メイプルさんの言う通りです、尊様のいない”デザート”の出会い(ご縁)がない過去にはもう戻りたくありません。」


なぜだろう。2人は俺とのご縁に感謝しているはずなのに、俺の存在が蔑ろにされている気がするのは。取りあえず暗い話の空気が回避されたので、深くは考えずに市場を歩いていく。しばらく歩いていると、ポーションなどの薬を売っているお店を見つける。”イーストダンジョンの奥は危険だから、行く時は買おう”と思いながら見ていると、気になる物を見つけたので店主に聞いてもる。


「この黄色の塊って、何に使用するのですか?。」

「あ~、塗り薬に使う”バター”だよ。ポーション程じゃない怪我、”コッケーから受けた擦り傷”とか”子供がこけて怪我をした時”につけるんだよ。」

「えっ、”バター”って”ミルクから作れる食べ物じゃないんですか?。」

「ミルクから作れるから、食べられないことはないが・・・。初めての聞いたな、”バター”を食べようと言った人は。」


”バター”に驚く俺を、店主が変なものを見る目で見てくる。俺は店主から”バター”を1つ購入した後、俺達3人は家へと帰った。

家に帰ってショルダーバッグの中身をアイテムボックスに入れていると、メイプルとミュートが”洗濯物の取入れと家の掃除する時間がほしい”と言ってくる。”俺に手伝えることは・・”と言いかけると、”大丈夫です、休んでいてください”と返された。

手が空いてしまったので今日のデザートを思案する、折角なので”バター”を使ったお菓子を”世界の理の書+α”で”前世”の情報から検索をする。


「”フレンチトースト”、これってデザートなのか?。」


疑問に思ったが作ってみることにした。もしメイプルとミュートの口に合わなければ、俺が食べてしまいアイテムボックスから果物を取り出して許して貰おう。俺は台所に立って、アイテムボックスから”ミルク”、”砂糖”、”卵”、”パン”を取り出す。


①大きな器の中に”ミルク”、”砂糖”、”卵”を入れてスプーンで混ぜていく。

②パンを食べやすい大きさに3人分切っておく

③①の中に②を漬け込んでおく。


「よし。あとは晩飯の後にでも鍋で焼いて完成だ。」


俺はアイテムボックスから複数の果物を出して、手頃な大きさに切って器に盛り付ける。

鍋に3人分”ミルク”と少量の”砂糖”を入れて、混ぜながら温めている間。

”(肉を)焼くことはあるのに、炒めることがないのはなぜだ?。”と疑問に思い。”あ~、フライパンと油がないから炒めることがないのか”と、勝手に自己完結していると”ホットミルク”が出来上がった。果物とホットミルクの準備が出来たので、メイプルとミュートを呼ぼうとすると2人が台所に入ってくる。


「メイプル、ミュート、お疲れ様。休憩でもしてくれ。」


俺が2人に声をかけると、メイプルが手で頭を抑えているしミュートが苦笑いを浮かべている。俺は2人に席に座るよに促すと、メイプルとミュートが席に座ると俺に話しかけてくる。


「尊様、私達が言ったことを覚えて頂いてくださいますか?。」

「勿論だ。2人が言った通り(3人で)”休んでいる”じゃないか。」

「メイプルさん、私達の主人は尊様ですよ。主人の我儘を聞くのも、私達の役目ですよ。」


なぜだろう。メイプルを慰めているミュートの言葉が、思いの他俺の心に突き刺さるのは。メイプルはなんか悟った顔をして”わかりました。ミュートさん、ありがとうございます。”って言っているし。

そんなこんなで俺達3人は、ホットミルクを飲みながら切った果物をつまんでいく。


「尊様。今日のホットミルクは若干甘いのですが、お砂糖が入っているのですか?。」


ミュートが聞いてくるので、”そうだが、美味しくないか”と返答する。


「いいえ、美味しいです。むしろ元気が出るというか、疲れが減るみたいな感じがして不思議なんです。」

「ミュートさんの言う通りです。ホットミルクと果物を食べていると、凄く楽になりました。」


”それなら、良かった”とメイプルとミュートに答える。

前世でもデスクワークで疲れた時は、ジュースやチョコレートにはお世話になった身なので言いたいことはわかる。科学的根拠までは、俺にはわからないが・・。

俺はホットミルクを飲みながら、宿屋で決めた2つの目標を思い出す。


・収入>支出”の状態を作り出すこと

・”食事の改善”を行うこと


1つ目の目標はほぼ達成できたと見ていいだろう、収入>支出にはならずとも収入=支出は十分可能と言える。現状のイーストウッド村での生活は、”衣食住”の衣を贅沢しなければは今の俺達でも達成できる。

食材はイーストダンジョンで無料で手に入るし、スキル”料理”を使えれば安定して”食”は達成できるだろう。

今住んでいる家も借家ではなく持ち家で、しかもローンもないので毎月の支払はない。生活する上で薪等の消耗品や破損の際の修繕費が発生しても、クエストカウンターの納品でお金を取得すれで”住”も達成されているだろう。

2つ目の目標は、前世の知識から”レシピ”の開発して、俺とメイプルとミュートがスキルを育てられれば解決できそうである。

上司が言っていた”経営の資源”に当てはめるならば、ヒト、モノ、お金、情報の内では。お金のみ安定している状態といえる。(イーストウッド村限定だが)

俺は今後は”ヒト”の育成による、”モノ”の品質向上を課題に動くことに決めた。

誤字や脱字の報告、感想等で構いません。宜しければ、一言お願いします。

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