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異世界帰りの俺が現代最強すぎて現代異能バトル系美少女をビシバシ調教することになっちゃいました!? 作者:白石 新
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VS ヤクザ屋さん その8

 逃走用資金をたんまりと所持している金融屋の所長が潜伏しているというビジネスホテル。
 そこに向かうために俺と阿倍野先輩とサカグチさんはタクシーの後部座席に乗り込んだ。

「ってか、強奪ってどういうことなんですかっ!?」

「それを説明するには……タクシーの運転手さんが邪魔ね。一般人にはちょっとショッキングなお話よ」

【スキル:空間断絶が発動しました】

「一定範囲内の空気の振動を断ち切りました。これで声は聞こえません」

「本当にスキルって便利なのね」

「で、どういうことなんですか?」

「阿倍野家もヴァチカンも……世界の裏の組織よ」

「ええ、そうでしょうね」

「そしてヤクザも世界の裏の組織なの」

「ええ、それもそうでしょうね」

「阿倍野家の相続関係は一般の民法が適用されないのよね。それは昔ながらの家督相続制度が独自に認められているの」

「話が読めませんね……」

 そこで阿倍野先輩は軽くため息をついた。

「だから貴方はピチクソ野郎なのよ」

 あ、ビヂグソからピチクソに戻っている。
 どうやら、金融屋の事務所長の所在が判明したことで怒りはかなり収まったらしい。

「で、どういうことなんですか?」

 そこでサカグチさんが割り込んできた。

「アンタ馬鹿なの? お馬鹿なの? ミジンコレベルのお馬鹿なの? ここまでの話でどうして察しがつかないの?」

「馬鹿ってお前には言われたくねえけど……」

「ハァ? 私は超絶天才美形退魔系少女なんだけど?」

「天才……ああ、そういやお前はアメリカで博士号取ってたんだよな」

 サカグチさんは薄い胸を張りながらコクリと頷いた。

「つまりね。私たちは治外法権に位置しているのよ」

「治外法権? 一般の法律が適用されない……と?」

「遥か昔の大昔、私たち退魔組織の元祖の連中はそれはもう……当時の文明レベルからするととんでもない個人戦力を有していたの。古代の日本ではシャーマンが莫大な権力を有していたよね?」

「アニミズムっちゅー奴だな。精霊信仰で自然の力を恐れていた……と」

「混乱を避けるために一般にはそういう説明が行われているケド、事実は違うわ。シャーマン……つまりは異能の力を持つ者が圧倒的暴力を背景に統治を行っていたの」

 まあ、阿倍野先輩やサカグチさんの力は三国志の時代とかなら、マジで三国志演技に出てくるような一騎当千の猛将とかのレベルに片足を突っ込んでいるだろうな。
 ともかく、一般人相手なら百人斬りとかまでなら普通にできるのは間違いない。

「そして文明のレベルが進んで武器と戦術も進歩して、異能力者の絶対的優位は崩れた。けれど、私たちは各国政府が無視できない程度には力を有している」

「個人レベル、あるいは数十人レベルでテロなんかを起こされると対処不能ってことだよな。それでいて、ガチで各国の軍隊と戦争するとなると異能力者達としても不味い……と」

 そこでサカグチさんはヒュウと口笛を吹いた。

「へえ、そこまではわかったのね。ミジンコレベルのお馬鹿ってのは訂正するわ」

「そいつはありがとう」

「訂正するわ。どうやら類人猿程度の知能はあったみたいね」

「ひでえ言われようだなっ!?」

 そこで阿倍野先輩はギョっとした表情を作った。

「どうしたんですか阿倍野先輩?」

「偏差値76の私ですら……アウストレラピテクスレベルの知能と呼ばれているのよ? 類人猿という言葉はレーラ=サカグチからすると賛辞なのよ……いや……まさか……デレているですって?」

「お前らもう滅茶苦茶だなっ!?」

 ピチクソとか類人猿って言われてデレてるとか……。
 俺の頭痛は加速度的に強くなってくる。


「で、第一次世界大戦の前くらいに相互不干渉の協定が結ばれたのよ。相互不干渉の協定がね」

「相互不干渉?」

「私たちは歴史の表舞台には登場しないし、政府の邪魔も、政府に対する攻撃も、民間人にも必要以上に干渉を行わない。その代わりに私たちも政府からの束縛を受けない――つまりは治外法権ね」

「……なるほど」

 そこで阿倍野先輩が話を締めるべくパンと掌を叩いた。

「ただし、民間人相手にやりすぎ……といえるような違法行為や暴力が認められた場合は、互いの組織のトップレベルを通した上で特別な裁判が行われるわ。でもね――」

「でも?」

「闇の組織同士の抗争でであれば話は別。基本的には力にモノを言わせてやりたい放題よ」

 そこで俺はあっと息を呑んだ。

「ヤクザも闇の組織……阿倍野家も闇の組織……」

「そう。殺人を含めた全ての刑法は適応されない」

「でも、どうしてゴールドラッシュ……儲け話になるんですか?」

「殺人が認められているということは、当然ながら窃盗や強盗も認められる。そしてヤクザは汚い金を溜め込んでいるわよね。そして昨日……私は色々と裏工作を行っていたのよ。さすがにチンピラに毛が生えた程度の下部組織を闇の組織認定するにも無茶があるから」

「……なるほど」

 サカグチさんがうれしそうに会話に割り込んできた。

「つまり、私たちが今からやることは――蹂躙よっ!」

「蹂躙?」

 そうしてレーラ=サカグチは薄い胸を張って大きく息を吸い込んだ。

「諸君! 我々の目的は何だ!?」

 芝居ががったサカグチさんの言葉に、やはり芝居ががった口調で阿倍野先輩が答える。

「蹂躙であります! 弱い者イジメの蹂躙であります! 閣下!」

 閣下っ!?
 完全に置いてけぼりの俺を無視して、 阿倍野先輩の言葉にサカグチさんが応じる。 

「ヤクザに価値など無い! 我々が為すべきことはなんだ!? 蹂躙だ! 社会のゴミクズの蹂躙だ! 金を奪え! 尊厳を奪え! 全てを奪え!  弱者に群がるハゲタカを――蹂躙せよっ!」

 うおお……なんか良くわからんがサカグチさんによるヒトラー張りの演説が始まったぞ。

「諸君! 私はお金が好きだ! 俺俺詐欺で蓄えられたお金が好きだ! 麻薬の密売で蓄えられたお金が好きだ! インサイダー取引で蓄えられたお金が好きだ! 汚く稼いだ金を横取りするのが好きだ!」

 そこで、阿倍野先輩が右手を振り上げてタクシー内で叫んだ。

「金っ! 金っ! 金っ!」

「奪えっ! 金を奪え! 円を! ドルを! ユーロを! 元を! オーストラリアドルを――奪え! ジンバブエドルはゴミ箱に投げ捨てろっ!」

「金っ! 金っ! 金っ!」

「蹂躙せよ! 殲滅せよ! 壊滅させよ! 骨を折れっ! 肉を裂けっ! 土下座するヤクザの頭を踏みつけろっ! 奪え! 奪え! 金を――奪えっ!」

「金っ! 金っ! 金っ!」

 やべえこいつら……すげえ楽しそうだ。
 ノリノリの二人を見て、俺はゲンナリとする。
 ってか、仲悪いって言ってたはずなのに息ピッタリじゃねえか。

「っていうか、お前ら余裕かましているけど本当に大丈夫なのか?」

「どういうことかしら森下君?」

「潜伏先に部下がいるかもしれねーし、どんな武器を隠し持ってるかわからねーんだぞ?」

「確かに拳銃程度なら問題ないけれど、私じゃ自動小銃サブマシンガン持ちを複数相手にすると不覚を取る可能性は高いわ」

「だろ?」

「ふふ。でも安心して良いわ。そこはヴァチカンの至宝である……レーラ=サカグチ様の出番になるから」

「様付け……ね。ふん! ようやく阿倍野輝夜も私の実力を認めるつもりになったみたいね?」

 なにやら嬉しそうなサカグチさんを見て、俺は残念な気持ちになる。
 完全に乗せられているだけというか、良いように使われているだけじゃねーか。
 こいつは多分、頭は良いが賢くは無いタイプだな。

 と、それはさておきサカグチさんは大きく頷いた。

「まあ、私ならサブマシンガン程度では不覚を取ることはないわね。自動回復能力もあるし」

「じゃあさ、サカグチさん?」

「何よ?」

「相手がもっと強力な武器をもってたらどうする?」

「確かに私でも対戦車ライフルの直撃を受けると笑えない状態になるわね」

 そこで阿倍野先輩がクスリと笑った。

「そこは――異世界の勇者様の出番よ。最後の保険の為に貴方を連れてきたのよ。森下君」

「えっ!? 俺っ!?」

 いつのまにかヤクザ狩りの面子に入れられていたらしい。

「ってか、俺はそんなことはするつもりはねーぞ?」

 俺の言葉で阿倍野先輩とサカグチさんは暗い表情を作った。

「どうするの阿倍野輝夜?」

「森下君が嫌だと言っているし……どうしましょうか?」

「やっぱり辞めとく? 万が一ってこともあるし……私も万が一のことがあったら……ヴァチカンの仕事もできないから困るし……とりあえず先頭で私が乗り込むのはちょっと……」

「レーラ=サカグチが先頭で行かないというなら私が先頭で乗り込むわ。森下君が行かずに、レーラ=サカグチが先陣を切らないのなら……そうするしかない」

「いや、でもそれは駄目よ。危険すぎるわ! 阿倍野輝夜には自動回復能力が無い。森下大樹が行かないのなら……やっぱり私が……」

「これは私が始めた戦よ。乗り気じゃないレーラ=サカグチに先陣を切らせる訳にはいかない。森下君も嫌だと言っているし、やはり私が先陣を切るしか……」

「だからそれは駄目っていってんでしょ!? 私が行くわ!」

 二人のやりとりで、俺はなんだか……もしかすると自分が悪いことをしているような気分になってきた。
 暗い表情の二人を見て、俺は重い口を開いた。

「二人がそこまで言うならやっぱり俺が――」

「どーぞ」

「どーぞ」

「ダチ○ウ倶楽部かお前らは!」

 さすがの俺も……まさかこの状況で、ダチョウ倶○部の鉄板ネタを仕込まれているとは気づけなかった。
 とんでもないとこらから刃を飛ばしてくるなこの二人……っていうか本当に息ピッタリじゃねーか。


 と、そこで俺たちを乗せたタクシーは金融屋の潜伏しているビジネスホテルに辿り着いた。




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