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異世界帰りの俺が現代最強すぎて現代異能バトル系美少女をビシバシ調教することになっちゃいました!? 作者:白石 新
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22/63

俺の阿倍野先輩が素直に御礼なんて言うはずがない!

 翌日。
 昼休みに事件が起きた。
 クラス内がざわめき、クラスメイト達の視線は教室前方へと向けられている。

「こんにちわ」

 表向きは学園カースト最上位に位置するFカップ美女である阿倍野先輩が、何の脈絡もなく俺たちのクラスに――っていうか俺に会いに来たのだからそれは当たり前の事だろう。

 そうして阿倍野先輩は俺のところに一直線に歩いてきた。

「森下君? お昼は食べたかしら?」

「まだですけど?」

 そして彼女は鞄から小包を取り出してこう言った。

「お弁当を貴方の分も作ってきたわ。それじゃあ……中庭で一緒に食べましょう」

 しばし俺はフリーズし、その場で固まってしまった。

 無論、それを聞いていた周囲のクラスメイト達も俺と同じく固まっているようだ。
 なんせ相手はファンクラブまで存在する美女だからな。

 っていうか……運命の神と言うものがいるのであれば、意地でも俺に平凡な学園生活を過ごさせるつもりはないらしいな。






「べ、べ、別にお弁当を作ってきたというだけで、か、か、勘違いしてもらっちゃ困るんだからね」

「唐突なツンデレ発言ですが、いつものどおりの無表情で言われても萌えることはできません……」

 みんなからはクールビューティーと呼ばれる能面フェイスだ。
 が、残念な中身を知っている俺にとってはただの残念鉄仮面にしか見えん。

 と、それは良しとして、お弁当を見てみると、タコさんウインナー、ベーコンアスパラ、ほうれん草のお浸し、そしてカラアゲとなっていた。

「ところでどうして急にお弁当を?」

「レベルアップの件よ……一方的に借りを作ったままというのもシャクだしね。まあ、この程度で返せるとは思っていないけど……」

 へえ、可愛いところあるんじゃんと思いながら、俺は阿倍野先輩に更に尋ねる。

「しかしこのお弁当は結構……時間がかかったんじゃないですか?」

 そして阿倍野先輩はクスリと笑って長髪を右手でかきあげた。

「全て冷凍食品よ。ただレンジでチンして――詰めただけ。製作時間は10分ジャストよ」

「色々台無しだろっ! そこはせめて手作りって嘘つけよっ」

 ガックリとうなだれながら俺はベーコンアスパラを口に運んでみた。

「どう? 美味しい?」

「……普通」

 まあ、冷凍食品だからな。
 ウチの母ちゃんの飯が美味すぎってのもあるんだろうが……と、そこで俺は絶句した。

 ――阿倍野先輩が涙を流していたのだ。

「どうしたんです先輩!?」

「――朝早くから頑張って作ったのに……普通って……酷い……」

「いやっ!? 冷凍食品って言ったじゃないですか」

「……そこは照れ隠しよ。貴方の為に本気出したと思われるなんてシャクじゃない?」

「ところで朝早くって何時からですか?」

「朝2時よ」

「世間一般ではその時間は朝ではなく深夜ですよっ!?」

「……そこもやっぱり照れ隠しよ。貴方の為に本気出したと思われるなんてシャクじゃない?」

「お弁当を作って渡すと言う重大な決断を既にしているのに――変な所だけ無駄に意地を張らないっ!」

「……それもそうね」

 そこで阿倍野先輩はハンカチを取り出して涙をぬぐった。
 ってか、この前電話出なかった時も泣いてたし、この人は意外にナイーブなのかもしれない。

「ねえ、森下君?」

「何でしょうか?」

「私は今のこの昼休みだけ……意地を張るのは辞めるわ。一度だけしか言わないから、耳の穴をかっぽじって良く聞きなさい?」

 彼女はしばし押し黙った。
 そして大きく大きく息を吸い込んで彼女はこう言った。


「ありがとう……とても助かったわ」


 阿倍野先輩は優し気な微笑を浮かべて、俺に右手を差し出してきた。
 春口の陽光に阿倍野先輩の黒の絹髪が金色にキラキラと輝いて、元々この世のものとの造形とは思えぬ彼女の神がかった美しさを更に色だたせる。
 その彼女の微笑は……ほんの一瞬だけだが、俺の心臓を鷲掴みにしたことを認めざるを得ないようなものだった。
 彼女の差し出した右手に、俺もまた右手で応じる。
 ギュッと固い握手を交わらせたところで、俺は微笑を浮かべる阿倍野先輩にこう言った。

「先輩って笑うと……綺麗なんですね」

 阿倍野先輩は少しだけ頬を朱色に染めて、そして押し黙った。
 ってか、普通にそこから10秒くらい押し黙り続けた。
 あれ? と俺はその場で首を傾げる。
 ってか、正直、この反応は想定外だ。いつもだったらこんな事を言えば変態とかハレンチだとかビヂグソとか言われるはずなのに……。

「……先輩? 今日はえらく大人しくないですか?」

 タコさんウインナーを口に運びながら阿倍野先輩は軽く息をついた。

「たまには……こういうのも良いんじゃない?」

「これも先輩の一面ということですか……」

「昼休みの時間だけは素直になるって決めたからね。本当にありがとうね森下君」

「……どういたしまして」

「これから先、貴方に何かが起きて……貴方が困ってる場合、私は全てに優先して貴方に協力するわ。今後、困った事があれば……私に多大な貸しを作っている事を思い出して頂戴ね」

「多大な貸しって……大げさなんですよ」

「貴方がしたことって……そういうことなのよ」

「ところで、このカラアゲ美味しいですね」

「まあ、自信作ですから」

「頑張って作ってくれたのにベーコンアスパラを普通って言ってすいませんでした」

「素直に謝罪するのは悪い事じゃないわね」

「でも冷凍商品って言った先輩も悪いですよね?」

「ですからそれは――」

 と、まあそんな感じで色々と取り留めのないことを語り――

 ――そうして俺たちはゆっくりと弁当を食べて、そしてそれぞれのクラスに帰ったのだった。











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