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ストッパーのような物

 まずは何が来るだろう?

 攻撃は最高の防御、と聞いた事があるけれど、僕達は戦闘慣れしていない。

 だから目の前のこの人物には受け流されてしまうかもしれない。


 それならばまずは、相手の動向を見るべき!


「風の防御結界で、あった! “風の壁”」


 呼び出した選択画面で防御系の結界を選択。

 少し強めにしておこう、そう僕が思って触れて、結界を張ったと同時に大きな音がした。

 何か大きくて強い力を持つものがぶつかった。

 少なくとも僕はそう感じた。


 そしてその認識は正解だったようだ。

 目の前には、先ほどのダニエルという人物が目と鼻の先にまで近づいてきていた。


「な、な……」

「ふむ、この判断力、素人ではないな! では、もっと本気でやるとしよう!」


 などと嬉しそうに叫ばれてしまう。

 いえ、いえいえいえいえ、全力で僕はそれをお断りしたかった。

 そんな判断力ではなく様子見のために張っただけの結界、それを勘違いされて僕は僕は……どこからどう見ても手加減してもらえそうには思えない。


 この喜悦に満ちたおじさんの顔を見ていると、どう考えても、全力で攻撃してきそうだ。

 だから僕は必死になって、


「ぼ、僕はついこの前まで村で趣味で剣をふるっている程度の一般人の子供です。ですので手加減お願いします!」

「ふ、素人であろうとこれだけの判断力と力を持つならば、十分、我が全力をぶつけるに値する!」

「は、話を聞いてくれないのですか? て、手加減とか……」

「男同士の勝負には、妥協は許されない!」

「子供相手に大人気がありません!」


 僕はそう告げた。

 するとダニエルは沈黙する。

 もしや分かってくれたのだろうかと淡い期待を込めて僕は見ていると、


「……残念だが俺は、より強い人物と本気で戦いたい! その機会を逃すつもりなど毛頭ない!」

「そんな!」

「戦わないというならば戦う気が起きるまで攻撃するのみ! 魔力切れであろうが幾度となく回復してから再挑戦だ! 世界の危機だと? そんなものよりも俺は、俺は……もっと強い者と戦い、そして自らの力をさらに高めたいのだ! そのためならば、どんな努力も惜しまない!」


 情熱的に語られた僕は、反対に絶望的な気持ちになった。

 つまりこのダニエルという人物が、満足しない限り僕は延々と、倒されかかっても戦わさせられる。

 本気を見せたと思われないと、くりかえしくりかえしくりかえし。


 いやすぎて僕の精神がおかしくなりそうだった。

 だが現実は待ってくれない。

 この結界をいつまで持つかだって分からない。 


 それならばもうここで僕は覚悟を決めて戦わないといけないかもしれない。

 でもそこで考えたことは、


「あの、ダニエルさん、一つ聞いてもいいですか?」

「なんだ?」

「その、僕は剣で戦うのですが、見たところダニエルさんは剣では戦わずそのこぶしで戦っているようですが、よろしいのですか?」

「ふ、問題ない。剣なんて軟弱な者が持つもの! 我が肉体さえあれば、その全てを超えられる!」

「そうですか、分かりました。リョウスケ」


 そこで僕はリョウスケに聞いてみる。

 聞くことは一つ。


『なんだ?』

「もしも腕などを切り落としてしまっても、治せるんだよね」

『もちろん。死んでしまっても年齢的な物でなければ、蘇生もできるからな。だが“ステータス・オープン”をしておくと能力制限が自動調節でされるらしいから、いわば人相手にはストッパーのようなものなので、つけて置いたらどうだ?』

「そんな効果が?」

『話していなかったか? 説明は読んでいないのか?』

「“ステータス・オープン”に関するものはどこに。叫ぶと出てきましたが」

『選択画面のその他の項目辺りにありそうだが、今はそれどころじゃないな』

「そうですね。とりあえず、この魔法を使わさせていただきます」


 そう小声で話して僕は、


「“ステータス・オープン”」

「! なんだこれは!」


 ダニエルが声を上げるがそれを無視し手僕は次の手を考える。

 そして、決める。

 とりあえず魔力回復魔法と成長チート、そして、自身やセリア達仲間のの肉体の強化魔法、それらを順次行い結界を解いて攻撃することにしたのだった。


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