連続してどうして魔法を使うんだろう?
遠くに上がった火柱。
轟音が聞こえ、宿が微弱だが揺れる。
あの炎が上がった場所は街から少し離れた、先ほど僕達が歩いてきた街道を外れた場所にある。
あんな場所に魔物が出たのだろうか? という事と、かなり高い威力の魔法で、一体誰だろうという疑問が僕に枠。
しかも続けざまに幾つも火柱が上がる。
「な、何が起こっているんだろう」
「セリアたちが魔法の練習をしているのでは?」
そのレナの言葉に僕は今なんて言ったと思った。
だってレナが、そんなことを言うなんて……。
というかもしかして、
「あの杖ってあれくらいの力が?」
「そうですよ。私だって以前よりもなんだか凄くアレな、必殺技が使えそうですし」
「……新たな技か。どんな感じかな」
「すべてを燃やし尽くすドラゴンなんて目じゃないよ! というレベルでしょうか」
「なるほど。そんな技が」
「名前名付けてもいいですよ?」
そう言われた僕は、沈黙した。
だって前も言ったように言いたくないのだ、そんな必殺技みたいなのは。
魔法だったら、こういう呪文を唱えなければならないってことになるけれど、この剣の技は言わなくても発動するのに、もしも何か言葉を発したならそれは、僕の“趣味”なのだ。
絶対にそれだけは阻止せねば、そう僕は決意して、
「とりあえず、皆との所に行こう。練習にしてはあまりにも派手すぎるよ」
「そうですね。……そうですね、なんであんなに連射する必要があるのでしょうか?」
そこでふと沸いてきた疑問を、剣の精霊のレナが呟く。
そしてそれを聞いた僕は、以前、リョウスケが使ったあの魔法を思い出す。
すると脳内にイメージがわいてきて、領域選択といった言葉が頭に浮かぶ。
これも、リョウスケのチートの一つで僕の体がまたも肉体改造……という言葉が頭に浮かんだが、沈黙せざる負えなかった。
代わりに、
「範囲は僕を中心として5km、“探査”」
魔力が、くんっと減った気がしたが、この程度ではまだ問題にならない。
レベルが上がったと同時に僕の魔力も相当上昇していた。
だからこれだけあれば十分なのだ。
そしてあたりに僕の魔力が薄く広がるのを感じる。
その場所に魔物らしきものがぽつぽつといるようだ。
けれどその広がりがある場所に来て、僕は小さく体を震わせた。
「大きな魔物がいる。“ステータス・オープン”」
呟きと共に、ステータスが開かれるがこの位置から見えない。
けれど相変わらず魔法の攻撃はやんでいない。
「急ごう、とりあえず体力表示はされるから、参考にはなるはず」
そう僕はレナに言って走り出したのだった。
僕が走った先で見たのは、セリアやチルチル、ミチル達の目の前に、僕達のおなじくらいの背丈の水色の……トカゲのように見える魔物がいたのだった。
ぎょろりと動く瞳が気持ち悪い、そう思っているとまたも魔法が噴出していく。
けれどそれが、その水色の生物には何の効果もない? のだ。
「な、なんで全然倒されないの!? これだけ強力な魔法と杖を使っているのに!」
叫ぶセリアの声を聞きながら僕は状況を理解して、そして、僕は、
「レナ、行くよ!」
「はい! ご主人様!」
そう言ってこの不気味な魔物に僕達は攻撃を仕掛けたのだった。
評価、ブックマークありがとうございます。評価、ブックマークは作者のやる気につながっております。気に入りましたら、よろしくお願いいたします。




