別な意味でその異名が合う
こうして僕は勇者の剣に改良を加える事になった。
“魔道具作成チート”から選択すると、
「あのドラゴンから得られた“赤龍の涙”で、それでいいかな?」
「いいです、早く、ご主人様!」
やる気一杯の勇者の剣の精霊であるレナがとてもやる気を出している。
いつもは適当でいいかなという感じなのに、この時ばかりは僕をせかしてくる。
やはり完全体とはいえ進化したいのかもしれない。
自分の限界だと思っていたものが越えられる、その機会がどれほど尊いかは僕自身が知っている。
魔王を倒すといったり戦ったりするのはほどほどにしたいけれど、ずっと憧れていた場所に一歩でも前に進めるのなら、進みたいと僕自身も思った。
ただこんな風に方法レベルが上がってしまうとそれはそれで、ありがたみが無いような気もするけれど、だからといってこれまで通りにしてほしいとは思わない。
やはり幸運は大事に使わないとと思う。
さて、そこで僕は材料を床に置き、
「“魔道具作成チート”!」
そしてそれぞれの道具を選んで魔法を使う。
今回は赤い光の魔法陣が浮かび上がり、その光が目を開けていられなくなるくらいに強くなる。
思わず僕は瞼を閉じた。
しばらくするとふっとあたりが暗くなったので恐る恐る目を開けると、そこにはちらちらと炎が舞う、不思議な服を着たレナが立っていた。
自分の恰好に驚いたらしくレナが自分の服に触れてみたらしいが、
「すっごい個性的。しかも宝石みたいなアクセサリー付き……こ、ここまで進化できるなんて」
「う、うん、服は喜んでもらえて嬉しいかな。でも……勇者の件も模様が入ったり石がはめ込まれたり、凄い事になっているね」
「本当ですね……これ、名前はあったりするんですか?」
「名前、名前……えっと“神殺しの剣”だって」
僕は沈黙してしまった。
というかこの世界の神様とは良好な関係がこの世界の人はきずけているのですが、そんなどこかの異世界の物語みたいな危険な名前の件がと僕が焦っているとそこで、レナが笑いだした。
「ははは! ついに私は神すらも凌駕する存在となったのだ! あははははは! ……言ってみた本人が言うのもなんですが、あまり面白くありませんね」
「う、うん、僕もちょっと暗黒面に落ちている気がして怖かったかな」
「そうですかー。以前、私のご主人様だった勇者様が一人で部屋で、悪役ごっこをやっていましたよ。私の剣をもって。はじめの方ですが」
「そうなんだ」
「ええ、その時は私も面倒くさ……ではなく引きこもって、ではなく……ここぞという時に現れてやろうと思ったので出番を待っていたのですが、そういった密かなお楽しみを私はずっと見続けてしまったのです」
どうやら恥ずかしい中二な光景を目撃されていたらしい。
そこでレナがニコッと笑い、
「だから仲間が出た時やそのほか私が現れた後あたりで、そのネタでいじってあげたのは楽しい思い出ですね、ふふっ」
ここで僕は、予算的な意味で“ピンクの悪魔”と呼ばれていたのを思い出した。
そして今の話を聞きながら僕は別な意味でその異名が合うと彼女を見ながら思っているとそこで、離れた場所で火柱が上がるのが見えたのだった。
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