分からなかったら聞いてね
こうして僕達のレベルが発覚したのだが。
「そうなんだ、二人は僕よりも強かったのか……」
僕の地味に衝撃を受けた事実を反芻する。
セリアも驚いている。
そこでミチルが背筋を伸ばし、
「そうだよ、都市では僕達、“神童”って呼ばれていたからね」
「“紅玉の妖精”“青玉の妖精”なんて呼ばれていたんだよね」
チルチルが二つ名まで告げる。
そこで、セルアがハッとしたように、
「聞いたことがある、都市の魔法学園には恐ろしく強い炎の魔法使いと水の魔法使いがいると。まさか……」
「「僕(私)達のことでーす」」
二人が楽しそうに笑う。
それくらい優秀な魔法使いだから四天王になったのだろうかと思いつつ僕は、
「でもどうして僕達に付いてくる気になったのかな?」
「うーん、庇ってくれたり、僕達を“普通”の子供と同じように扱っているというか、チルチルはどう?」
「うん、人のいい人が普通の“子供”を扱う感じだったら、ついていこうかなって。面白そうだし」
ミチルとチルチルがそう言ってくる。
確かに魔法的な戦力ではありがたいのだけれど、
「お家の人は心配しないのかな?」
「うーん、僕達の両親は、今研究のための出ているから、うちには使用人しかいないんだ」
「だから問題ないよ! これから倒されたから暇だし」
軽いノリでそう言ってくる二人に僕はいいのかな、と思いつつも、
「セリア、構わないかな」
「戦力的な意味で心配は……私よりもレベルが上だから出来ないとはいえ、複雑だわ」
「何が?」
「だってこのパーティ、魔法使いだらけ。ニルスは剣持っているけれど僧侶だし」
「でも勇者の剣があるから前衛は、僕におまかせでいいんじゃないのかな? むしろ巻き込むと危険だし」
そこで僕はレナの方を見て、
「レナ、そういった前衛の人達を巻きこんだことってある?」
「巻き込みそうになったので離れてって以前の勇者様達は言っていましたね」
「となると魔法使いだらけで問題ないんじゃないかな?」
「うう、そうなると私の立場が」
セリアは自分の魔法がチルチルとミチルに届かないのを恐れているのかもしれない。
でも僕としては、
「セリアが一緒にいてくれるのは心強いよ。だって幼馴染だし」
「……そうね、私、頑張る!」
そう言うとセリアはやる気を出したようだ。
そんなセリアにチルチルとミチルが歩いて行き、
「君も魔法使いのようだねくくくく」
「そして私達よりもレベルが低いようだね、くくくく」
「な、何よ」
意味深に笑いながら二人がセリアに近づいていき、セリアが警戒している。
そして二人はすっと本を一冊ずつ取り出し、
「これは炎の魔法の教科書」
「こっちは水魔法の教科書」
「貸してくれるの?」
それに二人はうなずきセリアがありがとうと受け取る。
魔法の教材は田舎なのもあってなかなか手に入らず、値段も高価だった。
だからこれは素直に嬉しいのだろうとセリアを見ていて思う。
そして二人はドヤ顔で、
「分からなかったら聞いてね」
「僕達が教えてあげよう」
そう、二人は自信満々に言う。
セリアはそんな二人に、ありがとうと言って頭を撫でたのだった。
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