いつもよりも元気の無いその様子
こうして僕は、自分にできる範囲で1つずつチートを教わり使っていこうと決意する。
リョウスケはある意味で天才なのだ。
『努力タイプの人間にその称号はいただけないぞ、ニルス』
「じゃあその努力できるのが才能なのです。そして僕はその努力でリョウスケのようにはなれれないので別の方法を探すのです」
『そうかそうか、それで良いんじゃないのか?』
「はい。それに僧侶として覚えられる技もレベルが上ったので増えたと思いますし、剣士としての技も他にも使えそうだし……色々技関係の本を購入して練習しないと。あ、でも“勇者”の剣だとそういった技って練習しても意味が無いのかな?」
そうなってくると剣の技を覚える意味があまりなさそうだ、そう僕が考えているとそこで剣の精霊なであるレナが、フヨフヨと飛びながら近づいてくる。
いつもよりも元気の無いその様子の僕は、
「そうしたの? レナ。なんだか様子がおかしいけれど」
「……私、“勇者”の剣として凄く強いんです」
「う、うん、そうだけれどそれがどうしたのかな?」
「ご主人様も、私が強いと思いますか?」
「う、うん」
「そうですよね。でもこの私も一応はご主人様のレベルに合わせて私の力が変化しますが……私、一応は剣の精霊で第一線で活躍していたので、魔法使いと同じかそれ以上に戦えると思っていたんです」
「そ、そうなんだ。それで?」
そこで大きく息を吸ってはく仕草をするレナ。
人間らしい行動だけれど、気分を落ち着かせる行動だよなと僕が思っているとそこで、
「先ほど変身したリョウスケの魔法、あれは凄まじいものでした」
「確かに聞いている範囲では凄そうだったね。それがどうかしたのかな?」
「しかもファイヤードラゴンも魔法で倒してしまうくらいです。いいですか? ファイヤードラゴンですよ? ドラゴンの方でも上から二番目にランクインする危険な魔物です」
「そうだったんだ」
『そうだったのか』
リョウスケの声がそこでする。
どうやらリョウスケもそれを知らずに倒していたらしい。
もうなんでもありだなこの異世界人と僕は驚くのに“慣れて”しまっていると、
「それが魔法で、私の力も使わずに簡単に倒されてしまったのです! その昔私は勇者とともに苦労して倒したのに……それを魔法一発で! あんなものを見せられたら私の存在意義ってなんだろうって思います!」
『でも俺はそこまで手出しするつもりはないぞ』
「そうはいってもあれは私としてもですね……」
『だったらニルスをもっと鍛えあげたらどうだ? それこそ一発であんなドラゴンは倒せるし、そもそも今は成長チートが使えるからすぐ強くなるぞ』
「……それだ!」
レナがそのリョウスケの言葉にやる気を出したのは良いのだけれど、それって僕がこれからレナにビシバシ鍛えあげられてしまうという結果だけが残ったのでは、と僕が思った。
そこでレナが、
「でもリョウスケが倒し多分レベルが上がっているはず!」
「そういえば放送が聞こえなかったけれど、どうしてだろう?」
『あー、放送は魔力を使うので省略されたんじゃないのか? ニルスは倒れていたし』
「……なるほど。よし、“ステータス・オープン”」
というわけでレベルを確認すると僕が28、セリアが26、ミリル、チルチルが31という僕よりもこの年下の元四天王のほうが優秀だという事実が発覚してしまったのだった。
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