8/31にする夏休みの宿題
さて、明日、四天王と戦わないといけないという驚愕の事実に僕達は気付かされたわけだが、ここで僕は考えた。
「リョウスケ、体力回復の魔法をあの、魔力回復魔法みたいに出せるかな?」
『選択画面にか? だが体力回復魔法は使えるんだろう? 僧侶だし』
「僧侶と言ってもあの頃はまだレベルが低いのでそんな魔法も使えないですし、魔法を覚えるにしても魔法を覚える本は高価で購入できません」
『なるほど。じゃあこの前みたいなもので構わないな』
「はい、この際肉体改造でもやってしまってください」
『肉体改造……多分意味が違うような気もするが、分かった。体力回復魔法20%、体力回復魔法40%、体力回復魔法60%、体力回復魔法80%、体力回復魔法100%、集団回復50%、これでいいか?』
「はい、でも何で集団回復が、魔力回復の時もそうでしたが50%だったのですか?」
『他人の場合だと、自分の時は大丈夫でも一気に魔力や体力回復をすると、“酔う”人間がいたから、そう設定している』
と言った事情を聞いて、その設定を僕の体にしてもらう。
そこでリョウスケが、
『でも何で突然そんなものを欲しがったんだ?』
「明日四天王と戦うそうなので、出来る限り魔物を倒してレベルアップしておこうと思ったのです!」
『……8/31にする夏休みの宿題みたいだな。だが、確かに敵と戦うのであれば、経験は積んでおいたほうがいいか』
リョウスケは納得してくれたようだ。
そしてセリアに僕は、
「よし、これから魔物を倒しに行こう」
「うん! ……でもレナがやる気なさそう」
そこで僕は勇者の剣の精霊を見た。
一生懸命、服の雑誌を見ている。
そんなレナに僕は、
「レナ、今好きな服に変えてあげるから、魔物を倒しに行こう」
「うー、もう少し見ていたいです」
「明日四天王と戦うから、もう少しレベルを上げておかないと」
「……分かりました。じゃあこれで」
そう言ってればが指差したのは、際どいスカートの服だった。
こ、これはと思って僕が思っているとそこでレナが、
「早くしてくださいよ、ご主人様」
「レ、レナ、この服はその……挑戦的過ぎるのでは」
「胸元も足も出すぎってことですか? ご主人様、今は都会の子はこれが普通ですよ?」
「ふ、普通?」
「そうそう」
そう言われてしまえばそうなのかなと僕は思ってしまう。
一応レナは元々は、都市の城にいたのだからその洋服事情には詳しいのだろう。
というわけで僕は、レナの言うとおり……布と紐のような服に変えたのだった。
機嫌の良くなったレナとともに魔物退治に向かった僕達。
「“成長チート”」
魔物が現れたとともにそれを使い倒し、すぐさま魔力と体力を回復する。
それからまた魔物を探査して、攻撃を加える。
それこそあたり一面の魔物がいなくなるくらいに僕たちは頑張った。
魔物が現れると嬉々として攻撃を加えるくらいに。
こうして徹底的に倒した僕達のレベルは気づくと20を超えていたのだけれど、
「そろそろこの辺で止めにしない? 暗くなったし、寝ておかないと明日に差し支えるわ」
セリアのその提案に、ようやく僕は、魔物を倒すのをやめたのだった。