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当事者から説明

 さらに敵を倒した僕達だが、どうやらこれくらいのレベルになると敵を倒してもすぐにはレベルは上がらないようだった。

 けれど、それでも確実に僕達のレベルは上がっている。

 魔力などの能力も上昇しているに違いないので後でギルドで調べ……。


「あ、ギルドで調べなくても、“ステータス・オープン”でどうにかなるんだ」


 便利だなと僕が思っているとそこでセリアが、


「すてーたすおーぷんって、何?」

「僕達のレベルや能力が、そう、ギルドに行かなくてもわかるんだ。こう、光の四角い画面が現れてそこにレベルなどが表示されるんだ」

「そういえば魔力回復とかいう変な魔法を使った時も光の枠が出てきていたわね。それも勇者としての能力なの?」

「……うん、多分」


 そう答えながら僕は、体がおかしなことになっていといいなと思う。

 やはり未知の魔法は不安だ。

 と、そこでセリアが、


「でもどうせならギルドカードの書き換えはしておいた方がいいんじゃない? 10ごとのレベルで、星が記載されるし」

「確かランクが上がるんだっけ」

「あと特典でジュースとかもらえたはずだよ」

「本当! よし、上書きしてこよう」


 そんな風に決めた僕達にそこでレテが、


「ご主人様たち楽しそう」

「ねえ、ニルス、レナにも洋服の雑誌とか買ってあげたら? 洋服が好きなんでしょう?」


 その提案に僕はなるほどと思って、


「じゃギルドの売店に雑誌が売っていたから、それ購入するのでどうだろう?」

「ありがとうございます、ご主人様!」

「いいよ、今日も一緒に戦ってくれたし。それに僕も洋服ってよく分からないから、絵が描かれていた方が分かりやすくていいや」


 といった話をして、倒した“蛙馬”の状況や証拠品を渡してお金をもらい、そしてギルドでレベルの書き換えをし、といったことを一通りして、僕達は宿に戻ったのだった。









 今日は一日この宿に泊まることにした。

 先ほどからレナは食い入るように宙に浮かびながら洋服の雑誌を見ている。

 着たい服が多すぎて、選べないらしくまだ僕に頼んでこない。


 セリアは先ほどから、お茶を淹れるためにポットに茶葉を入れている。

 後は魔法でお湯を入れるだけ、といった所で部屋のドアが叩かれる。

 誰だろうと思って僕は、


「どちら様ですか?」

「おや? 話は通していなかったのかな?」


 そんな含み笑いを込めた女性の声がする。

 はっとしたようにレテが顔を上げて、


「ニルス開けてあげて。知り合いよ」

「あ、うん、分かった」


 そう言って僕はドアを開けると、そこには黒い長い髪に紫色の瞳の、僕が今まで出会ったことのない美女がいた。

 優し気に微笑む彼女は黒いドレスを着ている。

 そこで彼女は僕に、


「初めまして。私についてはどこまで聞いているかな」

「え?」

「今回の魔王退治については、何処まで君は聞いているのかな?」

「当事者から説明があると聞きましたが」


 困惑して聞くと、彼女は小さく声を出して笑い、


「当事者……確かに私は当事者だな、なるほど」


 彼女はそれで分かったらしいが僕はまるで分らない。

 そこでレテが飛んできて、そんなレテに彼女が、


「やあ、久しぶりだねレテ。数百年ぶりか」

「そうね。今度は女なの」

「ああ、前回は男だったから、今回は女にしてみた。やはり女性でも私は美しい」

「自分で美しいとかいう所も相変わらずね」

「そちらも相変わらず……ではないな。洋服を変えられたのか? 昔はよく文句を言っていたが」

「そうなの、このご主人様は私の服を変えられるの!」

「へぇ、この“勇者”代理がか。面白い力を持っているんだな」

「そうそう。でも貴方を殺したらこの服の変身が終わりになってしまうのよね」

「いや、ずっと私が居たら困るだろう、君の役目的にも」


 といったような途中から物騒な会話が始まる。

 この人たち、というか片方は確実に人じゃないけれど、僕は問いかける。


「貴方は一体どなたなのですか?」

「私か? ただの魔王だ」


 そう彼女は答えたのだった。 


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