勇者としての初依頼に向かおう!
ドアを叩く音が聞こえた。
どうぞと僕が声をかけると、以前見かけたことのある、僕の父親くらいの年齢のこの町の村長さんが現れた。
何やら焦っている様子だなと僕が思っていると、
「“勇者”さんですか、実はお願いがあってまいりました!」
そう村長さんは僕に告げる。
“勇者”らしい依頼が来た! と僕が思っているとそこで、
「実は、この近くの湖で、巨大な“馬蛙”が現れて、湖に魚を捕りに行くにも、湖周辺の森に行くこともできなくなっているのです」
「“馬蛙”ですか?」
それを聞きながら僕は、確かに“勇者”としての初めての依頼ともなるとちょうどいいのかなと思う。
一応、“馬蛙”はそこそこな冒険者でも倒せる魔物で、顔が蛙で足が馬の魔物だ。
ちなみに空は飛ばないが蛙に近い跳躍する力と、馬のように走る力があり口から冷気をはく。
対処は炎の魔法で攻撃するか、冷気を避けて斬りつけるかだ。
魔力を込めた矢では、動きが速いために逃げられることが多いために、接近して攻撃となることが多く、剣の方が有利だと言われている。
もっとも、遠距離で気づかれない場所から打ち抜くという能力があれば、別だそうだが。
何にせよ、今の僕達だと炎の魔法でセリアに攻撃してもらうか、僕が自分で攻撃するのが妥当だ。
後は聞いておくことは、
「“馬蛙”の個体数と、場所を教えてください。あと、報酬はどうなっているのでしょうか?」
そう問いかけたのだった。
依頼はギルドを通すらしい。
ギルドでどこで魔物が現れたか、そして討伐できたのかの情報を集約するそうだ。
なので一度、ギルドで手続きをすることに。
「えっとこれとこれとこれで、こうして……あれ、レナ、どうしたの?」
「いえ、私の時代と違って随分と進歩しているなって。こんな機械ありませんでしたしね」
「そうなんだ……あ、セリアも名前を登録して」
「分かったわ」
そう言ってセリアの名前も登録する。
後は“馬蛙”の持つ魔石なり、尻尾の毛なりを回収すると証明になる。
この馬の尻尾の毛は、魔道具系の楽器に使用する高価な材料でもある。
さて、現在確認されている個体は3体。
それらをとりあえずは一匹でも倒して欲しいというのが依頼の内容だった。
けれどそれを見ていたレナが、
「三体サクッといっちゃいましょう、セリア、援護をよろしく」
「分かったわ。それとニルス」
そこでセリアが僕を真剣な目で見てから、
「成長チートに私を入れて」
「え? 僕、それで倒れたのだけれど」
「魔法使いの私ならわかるわ。あれは魔法の効率が悪かったの。そうね……私と接続するのは線が一本で十分で、私が立っているところに小さな円状の成長チートを設定して。範囲効果を小さくすれば効率がいい。後魔方陣が見えるレベルの魔力投入でいいから。あれは、魔力を入れすぎて地面全体が光っていたでしょう?」
「そういえば僕がさっき使った魔法はそんな感じだった」
魔法使いだけあってセリアはそれが分かるらしい。
リョウスケの指摘と同じだった。
そういえばリョウスケも魔法使いだったのだろうか? と僕が思っているとそこでセリアが、
「その成長チートを使えば、一気にレベル10を超えられるわよ、ニルス」
「うん!」
セリアの言葉に僕はやる気を出したのだった。
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