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第1話 ③

「ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!」


こちらに向かってくる不気味な存在に烈は慌てふためいていた。


「なんだあいつ!包丁に血が!!ヤバイ!」


烈が祠に戻るとガイアが叫ぶ。


「烈、とうとう復活してしまったんだ!!」


「何が!!」


「前世の魂だ!」


「どうすんだよ!!」


「私と一緒に地球を救ってくれ!」


「俺に何ができるんだよ?!」


「私を取り出せ!!」


言われるがまま烈はガイアを祠から出すと緑に輝く珠は太陽の光に照らされさらに鮮やかに光る。


「烈、さっきの質問だがこれが終わったら全て話そう。だから今は私に従ってくれ!」


「わ、わかったから早くしてくれ!」


烈は向かってくる恐怖に耐えきれず、ガイアを急かす。


「巻き込んですまない……我が名はガイア!!地球を愛し、星を救う者!」


ガイアから眩い光が溢れ烈を包んでいく。不思議と安心できる光に烈は目を奪われていた。


「叫べ!!」


その言葉に烈の頭の中に単語が思い浮かぶ。


「「エレメンタルチェンジ!!!」」


光が集まり、少年と珠を包んでいった。


------


「ガイア、ガイア!」


そう呼ばれて目を覚ますと俺は知らない所にいた。


普通の家みたいだがソファに座っている。


「ガイア?」


突然目の前に眼鏡をかけた男性が現れた、不思議そうな顔をして覗き込んでくる。


驚いた俺に男性は笑った。


「どうしたんだいガイア?ぼぉっとして。そろそろお昼にしようかなって思って来たんだけど……」


男性は手を差しのべてくる。なんだろう?始めて会った気がしない、俺はその手に応え自分の手を出した。


「よし、じゃあいこう!!」


男性は俺の手を掴み扉の向こうへと嬉しそうに連れていってくれた。


------


「烈、烈!」


ガイアの声に烈は驚き体が跳ねた。


「うぉっ!!ん……なんだこれ?」


自分の体を見ると緑の鎧に包まれているのがわかった。


「即席だが一応私の力だ!」


そこには龍を型どったパワードスーツを着た烈が佇んでいた。


「これで戦うのか?」


「今はこれが精一杯ってやつだ、くるぞ!!」


ガイアが言うと茂みの奥から2本の包丁を持った仮面の男が現れた。


その瞳は真っ直ぐ烈を見つめ、包丁の握りを確かめながら一歩一歩進んでくる。


「来た!どうすればいいんだ!?」


「あいつを倒せばいい!」


烈の頭の中でガイアが言う。


「簡単に言うなよ!」


「それだけの力が今の君にはある、いくぞ!」


ガイアの声に烈が身構えると仮面の男が奇声を発しながら走ってきた。


「走れ!」


「やるだけやってみればいいんだろ!」


半分自棄になった烈は走りだし男との距離を縮めていく。


ヒィヤァアアアアアア!!


男が柳葉包丁を突き刺すように烈に向けてくる。


「烈、パンチだ!!」


「はぁ!!」


包丁は拳と衝突し、意図も簡単に折れてしまった。


さらにその勢いのまま男の腕へと拳がめり込み、交差したときには男の腕はおかしな方向にねじれていた。


ウ、ウゥ………


男はもう片方の手で押さえながらもその痛みに体を歪めている。


「烈、もう一息だ!」


「わかってる!」


烈が改めて構えると後ろから複数の足音が聞こえた。


振り向くとそこには軍隊で使うような重装備をした男達が銃を持って近づいて来ていた。


「おいガイア、またなんか来たぞ!」


「集中しろ!相手はまだいるんだぞ!」


ガイアの言葉に烈も仮面の男に向き直るが後ろが気になってしょうがない。


その様子を見た仮面の男は一瞬の隙をつきグニャリとその姿を黒い玉に変え、飛んでいってしまった。


「しまった!烈、追うんだ!」


ガイアの言葉に烈が追おうとすると後ろから怒鳴り声が聞こえた。


「そこのお前、動くな!!」


その気迫に体が固まってしまった烈はゆっくりと後ろを向いた。


そこには銃を持った男が10人ほどで烈をとり囲んでいた。


「まず手を上げろ!そしてゆっくり膝をつけ!」


烈はその言葉に正直に従った。


「こちら後藤、容疑者を確保した。指示を求む」


隊長らしき人が無線でどこかに指示を仰いでいた。


「俺は何もしてねぇって!」


「うるさい!黙ってろ!」


銃を突きつけられ烈の体は震えていた。


「地球の戦士よ、我が名はガイア!犯人は前世の魂だ!私たちではない。アースに会わせてくれ!」


パワードスーツから放たれたもう1つの声に隊員たちは身構えたが、隊長はゆっくりと近づき正面に回った。


「なぜその事を知っている?」


「私はアースの分身で、この少年は私が選んだ」


「信じろと?」


「ではアースに連絡してくれ、その方が話が早い」


その時隊長に無線が入った。隊長は後ろを向いて何か話している。


「……わかりました」


最後にそう言った隊長は無線に切り、他の隊員に銃を下ろすように指示した。


「失礼をした、今アースから連絡があった。今から君たちに来て欲しいそうだ」


隊長は烈を起こすと少し優しく言った。


「烈、解くぞ」


その言葉で体を包んでいた鎧が消え、ガイアはまた緑の珠に戻った。


「まだ子供じゃないか?!高校生か?」


驚いたのは隊長だった。


「そうですけど……」


烈は目を合わさず不貞腐れていた。


「すまなかった。しかし未確認の物に対してはこうするしかなかったんだ」


隊長は烈に近づき被っていたヘルメットを脱いだ。


そこから現れたのは30代くらいの精悍な顔立ちの男性だった。


「本当にすまない。私は後藤だ、よろしくな!」


握手を求められ烈は不審がりながらもそれに応えた。


「それで、君は私たちについて来てくれるかい?」


後藤が手を握ったまま真剣に尋ねてきた。


烈は迷った。それもそうだろう、突然巻き込まれた彼にとっては情報が少なすぎる。


「烈……すまないがもう少しだけ付き合ってもらえないだろうか?いざとなったら私が責任をもって君を守るし、向こうに行って断ってくれても構わない。だから頼む」


ガイアは烈の掌の上で頼んだ。


「……わかりました。でも家には連絡させてください、友達の家に行くからって」


「わかった、では向こうに車を用意する。そこで待ち合わせだ」


後藤は敬礼し、隊員たちと共に去っていった。


「烈、何度も言うがすまなかった」


烈の不安そうな顔にガイアはそれしか言えなかった。


しかし烈は不安を振るい去るように顔を動かすと、笑顔でガイアを見た。


「しょうがねぇな!もう少しだけ付き合ってやるよ!」


その言葉にガイアはまた同じ事を言ってしまった。


次回予告

ガイア:とうとう復活してしまった前世の魂……私が地球を守って見せる!

烈:話は本当だったのか……

ガイア:すまない……巻き込んでしまったな

烈:俺の成績アップが……

ガイア:ん?

烈:何でもない!何でもない!さ、次回予告!次回予告!

ガイア:あ、あぁ…。次回「創星の理由」!!

烈:刀耶に頼るしかないか……

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