第12話 目覚めた獅子 ①
一目ぼれ好きな作者を許してください・・・
第12話目覚めた獅子
ドラッグを倒した次の日、烈と刀耶はEBに来ていた。ドラッグを何とか倒したもののグランガイアは大破、地下の多目的場は例の霧の影響もある為封鎖されていた。
「皆さん、コーヒーここに置いておきますんでよかったら飲んでください!」
一斉に返事をする作業員に向けて言うと机の上にガラガラと缶コーヒーを置き刀耶は台車を押して何処かに向かっていく。
「ガイアさん、もう少し上げてもらえますか?」
「わかった!」
ガイアはエレメンタルガイア形態のままのグランガイアを持ち上げ作業員達のサポートをしていた。細かいことも得意なのだが何せその大きな手では出来ないことが多く力仕事を率先してしていた。
「烈、こっちだ!」
「OK、今行く!」
健太郎が烈を呼び、烈は持っていた重たそうな木箱をせっせと運んでいた。台車はもう一台あったのだが、持った方が早いという若さに任せた行動に作業員達は羨ましく思っている。
「みんな頑張ってぇ~~」
そしてヘルメスは……。
「ヘルメス、手伝ってよ-!」
「えぇ……アタシー疲れちゃったぁ…」
どこの女子高生だと言わんばかりにヘルメスはあるはずがないお下げを触る。
「奥から腕のパーツ持ってきて!」
刀耶の言葉にやっと動き出すヘルメスだったがそれより先にガイアが動いた。
「ヘルメス、大丈夫だ。休んでいてくれ!」
笑顔で言った兄だが横顔を見せると暗い顔になりヘルメスはそれを見逃さなかった。まあ理由はわかっていたのだが…。
ドラッグを倒した後戻ってくると職員の大半が出迎えてくれ拍手をしてくれた。「ありがとう」「よくやった」と言ってくれた。ガイアにとってとても嬉しかった事だが、代償が先に書いたように致命的だ。もちろん敵も本気なのだから仕方のない事だとみんなもわかっているので口には出さない。しかしガイアには少し責任を感じるところだったのだ。
「よし、じゃあ僕も手伝うぞ!」
活き良く立ち上がったヘルメスは向かってきた刀耶を台車ごと持ち上げると積んでいた箱を配り始めた。驚いた刀耶に少し怒られたが屁のカッパだ。
やはりガイアとヘルメスが加わると作業が早い。その日のうちに破損したパーツを全て外し終え、後は新しいパーツを接続するだけになっていた。すでに深夜になっているので烈も刀耶も帰っていた作業場にコーヒーを持った健太郎が訪れるとガイアとヘルメスがいた。
「お疲れ様」
「あ、健太郎。お疲れ~」
「ありがとう健太郎、こんな時間まで」
「いいんだよ。これが僕の仕事だからね。そういえばヘルメス、君の友達は点検しなくていいのかい?」
「あ、忘れてた……」
今まで静かにしていた三羽の鳥達もこれには少し動揺したように目を光らせた。
「今日みんなが手伝ってくれたお陰でだいぶ早く済みそうだよ。明日でいいかい?」
「ありがとう!じゃあ僕は先に休んでるよ、お休み~」
お休みと答えた二人はヘルメスを見送り修理中のグランガイアを見た。どこか二人何か言いたげにタイミングを取り合っていたが始めに話し出したのはガイアだった。
「健太郎、今回はすまなかった」
「いいんだよ。それ以上に僕は君にありがとうと言いたいよ。本当に」
「しかし今回は烈も危ない目に遇わせてしまった」
「それも込みで、だよ」
缶コーヒーを一気に飲むとガイアを見上げた。
「父親として烈を守ってくれてありがとうと言いたい。危ない事は承知だったけどやっぱりいざとなるとね…やっぱり心配だったんだけどガイアがいてよかったよ」
「ヘルメスもいたから助かったんだ…」
「ガイア、あまり責任を感じないでくれ」
健太郎はゆっくりとガイアを撫でる。
「長官もそうだったけど偉い人とかキーマンって言われる人はどうも責任を感じやすいね。ムードメーカー、生徒会長、スポーツ選手、総理大臣、一人でなんでもしようとしてしまう」
君もそうだよと言われてしまいガイアは俯いてしまう。
「そういう人は下を見ないっていうのが社会の悪い部分だと僕は思うんだ」
「しかし、私がこの星を……」
続きを言いかけると健太郎が駄目だよと言って両手で大きく×印を作った。
「じゃあガイアはなんで烈を選んだんだい?」
「それは、一緒に戦ってほしいから…」
「じゃあ君が烈に求めるのは単純な力だけなのかい?」
違うとガイアが必死に言うと健太郎は笑った。
「烈はたぶんこう思ってる。『友達が困ってるから自分ができることは何でもしたい』ってね。単純な力だけじゃなく心を支える力もね」
「そうか…。しかし私の責任はちょっとやそっとで共有できるものでもないんだ。ましてや烈のような少年には重すぎる」
そうか…と健太郎は背中を向け歩き出した。幻滅ではなく一種の親心としてその答えをガイアに考えさせたかった。
「烈とは仲良くしてやってくれ。何かあれば僕も協力するよ。じゃ、お休み」
簡単に言った健太郎はゆっくりと暗がりに消えていった。残されたガイアはその後ろ姿をじっと見ていたが不意に心に何か刺さったようなチクリとした感覚があった。
博士、私の答えはあっていますか?
もし結城がいたなら優しく笑っていただろう。それもガイアが必死に考えた事なんだから。
そんな夜を過ごした次の日、グランガイアの修理をしながらヘルメスが水星から呼んだ三羽の鳥達の点検が始まっていた。
「じゃ、紹介するね!左からエース、ジロチョウ、ぺん太だよ。みんな挨拶!」
キュィイイ!! ケェエエン!! ペェエエン!!
三羽の鳥たちは自分たちより小さな人間たちに丁寧にあいさつした。作業員たちは健太郎、沙耶含めその滑らかな動きにとても感心していた。
「ん?次郎長?」
最初に気付いたのは健太郎だった。
「ぺん太ちゃん…かわいい」
沙耶は鋭い視線ながらも愛嬌よく羽をパタパタさせるペンギンに夢中の様だ。
「内部構造はプリントアウトしてるからこれを見てね。そこまで複雑じゃないから大丈夫!じゃあ作業開始!」
小さくつまんだ紙束を机の上に置いたヘルメスはさっそくエースの点検を始めた。作業員たちは皆紙を受け取るとまずはメンバーを分け始めた。健太郎はヘルメスと一緒にエースを、沙耶はぺん太をそれぞれ点検し始めた。
「ヘルメス、この子達は君が?」
「そ、すごいでしょ!一応博士を手伝っていたからね」
そう言いながら馴れた手付きでエースの胴体を開く。
「やっぱりさ、一人だと寂しいからさ」
淡々と言うがそれがどれだけ長かったことか、人である健太郎にはわからない。
「それにしてもさすがはガイアの弟だね。あの合体はシビれたよ」
ヘルメスはパァっとした笑顔を見せ、健太郎に顔を近づけた。
「でしょ!ポイントはジロチョウなんだけどちょっとダチョウと迷ったんだよね。ほら、走る鳥ってなかなかいないじゃない?桃太郎のキジは飛ぶけど僕のイメージは草むらで鳴いてるイメージなんだよね」
「わかるよ!それにダチョウ系だと足と首をどこに仕舞うか迷う!」
「わかるじゃないか健太郎!なるべく無駄なパーツは作らない、それが本当の合体さ!」
その後もあれこれと自分の合体理論を爆発させる二人だったが周りの作業員は黙々と作業を続けていた。内心うずうずしていたのは秘密だが。
話終えた二人は心の握手をし さてっ と一拍置いて作業を再開した。口は少し疲れたがその分手が温まった二人は周りよりも手際が良く、エースの点検はとても早く終わった。気持ち良さそうに伸びをするエースを早々に、二人は残りの二羽を手分けしていった。
三時になり全員で休憩していると突然獅子神がアースとともにやって来た。
「みんなお疲れ様」
それまでゆったりしていた作業員達は一斉に動きだし、健太郎を先頭に五行五列に整列した。
「EBFではないのだから楽にしてくれ」
気さくに獅子神が話すと健太郎がふぅと肩を落とし、作業員達もそれに続いた。
「休憩しているところすまないね。進捗状況を聞かせてくれ」
「はい。ガイア、ヘルメスについてはすでに点検は終わっています。グランガイアは修理は明日にでもできそうですが、システムの調整などに一週間ほどかかりそうです」
頷いた獅子神は顎に手を当て少し考えた。次にレガシーが現れた場合、対応しきれるのか。ただ至って冷静に、落ち着いてだ。少し考えた後、ふと顔を向けると面白いものを見つけたようで笑顔で健太郎に聞いた。
「彼らは?」
「エース、ジロチョウ、ぺん太だよ!」
結構 と言った獅子神はアースを見て笑った。
「で、皇一郎はなんでここに?」
ヘルメスの言葉に一瞬空気が凍り付く。アースならともかく獅子神を呼び捨てにするなどほかの誰にもできないからだ。
「今回のドラッグの件に関してはヘルメス君の活躍があってこそだと思ってね。ちょっとお礼を言いに来たんだよ」
「なーんだ、そうなんだ!じゃあご褒美も期待していいの?!」
フランクに話すヘルメスに獅子神も普通の対応だ。それもそうか、年齢でいくとヘルメスの方がとてつもなく上なのだから。
「ご褒美か…考えてなかったな。何か必要なものはあるかい?」
その瞬間ヘルメスはニヤリと笑うと、とてつもなく困った顔をしてわざとらしく話始めた。
「あぁ……そういえばあの件はどうなったんだろう?まだダメなのかなぁ……」
「あの件?」
獅子神の言葉によし!と心の中でガッツポーズをしたヘルメスが続ける。
「あれ聞かないと僕のモチベーションが上がらないな~あぁ…どうしよ~」
「ちょっとわからないな。私が許可してない事があったかな?言ってくれればすぐに許可をだそう」
言ったね、言いましたね!とヘルメスは顔のニヤつきを押さえることができずとうとう本題を口にだした。
「実は……」




