エピローグ・閉館
時は過ぎ、春休み。
いつものように地下図書館のひとねの部屋に入る。
「……ん? なんか片付いてないか?」
元々物が少ない部屋だったが……むしろ何も無い。
「ああ健斗。ちょうどいい、私は此処を出る」
「……は?」
「地下図書館のシャーロックは廃業というわけだ」
そう言ってひとねは外へ向かう廊下を歩き出す。その手に持つパイプタバコは元々この地下図書館にあった物。
つまり……
「お前、もう帰ってこないつもりか?」
「ああ、私はもう怪奇現象を求めてはいないからね」
俺が言葉を発する前にひとねは進んでいく。
「ちょ、ちょっと待てよ!」
急いで違う部屋に入り、元々あったペンを持って追いかける。
ここまで巻き込んどいて置いてきぼりはないだろう!
地下図書館に別れを告げる暇も無く外に出てひとねを探す。
道行く人に尋ね、導き出されたのは……
「俺の家?」
疑いながらも向かうと扉の前にひとねが座っていた。
「何をしている、早く開けたまえ」
「居候する気か」
「数日の間さ。空白の数年を埋める嘘を考えるまでの時間だよ」
「……まあ、いいけどさ」
部屋に入るなりひとねは俺のパソコンを操作する。
「何してんだ?」
「私のパソコンが来るのは少し先になる。だからこれを利用させてもらう……っと」
開かれたのはひとねのメール画面。新着マークが付いたのが一つある。
「早速依頼だ」
「……なんの?」
「怪奇現象の解決に決まっているだろう?」
「ああ、そう……」
「……え!? 続けるの!?」
「辞めるのは『地下図書館』のシャーロックだ。怪奇探偵は続けるよ」
「……なるほど」
怪奇探偵としての藤宮ひとねの怪綺譚は……まだ少し続くらしい。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
これにてこのタイトルの作品は終わりとなります……が、まて、しばし。
最後に健斗が言った通り怪奇探偵の物語はもう少し続きます。
タイトルは
「怪奇探偵・藤宮ひとねの怪奇譚SC」
となります。
scの意味は投稿したプロローグを見てもらえれば分かるかと!
では再度再度改めて
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
PS
よろしければこのままSCのプロローグへ!
ナガカタサンゴウ