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怪奇探偵・藤宮ひとねの怪奇譚  作者: ナガカタサンゴウ
藤宮ひとねの怪綺譚
72/74

墓を磨くは怪奇的か

 更に二日後、心地よい春風の吹く日に事件は進展した。

「……健斗、反応だ」

「お札が剥がされたって事か」

「ああ、現場に急行しよう」


 *


「いや、入れよ」

「君が行きたまえ」

 今回何度目だこのやり取り。

「位置情報はここなんだろ? なら墓磨きがいる可能性が高い。追い払うだけと言っても怪奇現象に対して俺は無力だ」

「…………」

「なあひとね、なんでお前はここに入りたがらないんだ?」

「……わかった。行こう」


 豆田さんの墓からお札は剥がれ、地面に落ちていた。

「墓磨きはもう立ち去った後か」

「いや、墓磨きは来ていない」

「え?」

 ひとねは豆田さんの墓を撫でる。その手に砂がつく。

「墓磨きが来ていたのなら汚れがある筈がない」

「でも反応してから数十分は経過しただろ? この風で砂がついたんじゃないか?」

「その可能性はない」

「え?」

 ひとねが札が貼っていた場所を指す。

「ここは汚れていない。理由はわかるね?」

「そりゃあ札が貼られていたからな」

「もし墓磨きがこの札を剥がし、墓を掃除したならばここも同様に汚れていなければおかしい」

「って、事は札は誰が……」

「最終的には風、だろうけど」

 札を拾い上げたひとねが裏面を見せてくる。砂で汚れており、端が少し曲がっている。

「きっかけはこの端が剥がされた事。この端を起点に風が剥がしていった」

「じゃあ誰かがそう仕込んだ?」

「ああ、そうだとも。今回の事件、墓磨きが起こしたものではない」

 ひとねは札を捨て、俺を指す。

「君だろ? 健斗」

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