71/74
呪いは既に終わったか
「捜査開始から三日……反応がないね」
「札が剥がされてないって事か」
「うむ……」
ひとねは口の上を揉んで何やら思考する。
「おかしい」
「何が?」
「墓磨きの呪いは墓が綺麗でないと成立しない。札が貼られていたらすぐさま除去しにくる筈だ。それこそ一晩で」
「じゃあ誰かが追い払ってしまったとか?」
「ふむ、その線の調査が必要か……健斗、頼んだよ」
「いや、だから俺よりお前の方が手っ取り早いだろ」
ひとねは悪びれもなく開き直った様子で踏ん反り返る。
「私は行かないと言っただろう。強情だな、君は」
「いやいや……」
強情なのはどっちだよ。
*
「さて、と」
また一人で墓場に向かう。やはり綺麗な墓は豆田さんの物のみ。
つまり、他の人は来ていない可能性が高い。
念のため確認したが札も貼られたままだ。
このまま札が貼られているならば呪いは成立しない。つまり事件解決と言ってもよくなるのだが……
「ううむ」
さて、どうしようか?