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怪奇探偵・藤宮ひとねの怪奇譚  作者: ナガカタサンゴウ
悪魔と狸と時々探偵
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合わせ鏡の六枚悪魔

「とりあえず中の状態、鏡がどう取り付けられているかを詳しく教えてくれ」

 ひとねに言われて辺りを見渡すが……もちろん鏡しかない。

 恐らく鏡は小屋の壁自体に張り付けられていて、その上からプラスチックの板を取り付けてあるといった感じだ。

 それをひとねに伝えた時、強烈な悪寒が走った。

 低い笑い声のようなものが頭に響き、何かの視線を感じる。

 感じた方を見てみると……そいつはいた。

 永遠と続く鏡の九番目に黒い何かがある。靄のようで形もわからないのにソレが笑っているということがなぜかわかってしまう。

「なんだよ……あれが悪魔かよ」

 呟くと同時に悪魔が少し近づいてくる。恐らく一分ごとに一枚鏡をすり抜けていくのだろう。

「……くそっ」

 俺はバットを板に投げつける。少しだけ揺れはしたが傷一つ付いていない。

 そんなことをしている間にも悪魔は鏡をすり抜けてくる。俺はたまらず声を上げる

「どうにかならないのか! どうやっても板は揺れるくらいだぞ!」

「今考えている! 壊れない板……その奥の鏡……」

 聞こえてくる呟きはどこか焦っているように感じた。

「壊れず揺れる板……鏡は壁にくっついていて……」

 俺と悪魔の間にある鏡が一枚になった時、ひとねのつぶやきが止まった。

 恐らく自慢げな表情だろう。見えはしないがそうわかるような声でひとねは俺に言った。

「安心していい。これは簡単な問題だったよ」


 *


 ひとねの自慢げな宣言の後、ハンマー投げの選手のような上野の大声と共に小屋が揺れた。

 小屋は大きく揺れるが壊れはしない……が、鏡は割れ悪魔は姿を消した。

 扉が開き外に出ると予想通りひとねが自慢げな顔を浮かべていた。

「よくやった、私」

「……………………」

 お前かよ。


 *


 あの後、意識を失っていた生徒は皆目を覚まし学校から貰った謝礼で俺たちは団子を食べていた。

「今回は説明をしなくてもわかるね?」

「まあな」

 今回は本当に簡単な事だった。小屋を揺らして鏡に振動を与えた。ノックで壊れるくらいの鏡はそれで十分に割れる。

 俺の方からは板が邪魔をして不可能だったが鏡が壁にぴったりとくっついている構造だったため外からならば簡単だったのだ。

「さて、今日はすき焼きの気分だな。君も食べていくといい」

「はあ……」

 作るのも買い出しに行くのも俺なんだけどな……確か肉が安いのは地下図書館よりも先のスーパーだな。

「少し休憩してから行く」

 そう言って俺はひとねに着いて地下図書館への道を歩く。普通の道ではなく専用の通路だ。

 幾つあるかわからない隠し通路、そもそも地下にあんな大きな空間があるのもおかしい。

「まったく、地下図書館ってなんなんだよ……」

 そんな今更ながらの疑問をつぶやいた瞬間、ひとねが急に歩みを止めた。対応できずにぶつかってしまう。

「どうした、もう目の前だろ……喉乾いたから早く行きたいんだが」

「……誰かいる」

「え?」

 この先はもう地下図書館だ。先にいるということは前みたいに後をつけられていたということもないだろう。

「あの時の子供か?」

「いや、違う……」

 ひとねは声を潜めて呟くように言った。

「たぶん……怪奇現象の類だ」

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