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怪奇探偵・藤宮ひとねの怪奇譚  作者: ナガカタサンゴウ
ワンシックスの吸血鬼
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シックスティーンの吸血鬼

「はふぅ」

 ひとねがわけのわからない声を出している。原因は考えるまでも無くシュークリームだ。

 確かに絶品ではあったが……そんなに目をウットリとさせるとか

「お前どれだけ甘い物好きなんだよ」

 言うと同時にひとねに睨まれる

「今シュークリームの余韻を堪能してる、邪魔をしないで」

「はぁ……」

 黙って紅茶を飲んでいると右の方から電子音が聞こえた。

 どうやら机の上にあったパソコンから鳴っているようだ。

「なあひとね」

「……なんだい」

 うわっ、すげぇ不機嫌そうな顔

 俺はパソコンを指差す

「何か鳴ってる」

「おお、もう来たのか」

 ひとねは勢いよく立ち上がりパソコンの元に向かう

「おっと……」

 途中でこけそうになる。どうやらまだ足がふらつくようだ。

 ともかくパソコンの前の椅子に座り操作し始めたひとね。俺は後ろから覗いて見る

「来たって何が?」

「依頼だよ、シャーロックとしての」

 シャーロックって事は怪奇現象に関する依頼か

 それにしても怪奇現象の依頼って何だ? パソコンの画面を見ようと覗くとひとねが振り向いた。

「……なんだい? 見たいのかい?」

「少し気になる」

「別にいいけど他言は禁止だから」

「わかった」

 どうやらメールのようだ。差出人は金田、タイトルは無しだ。

『どうも始めましてシャーロックさん。金田です。

 私二丁目に住む十六歳の高校生で……』

 やけに長い前フリは飛ばす。この人はメールや手紙に慣れてないのか?

『実は最近私が起きると母が私が寝ている時間に廊下に出ていたというのです。 そんな記憶は私に無く、全く不可解です。』

 それは夢遊病じゃ無いのか?

 そう思ったがメールはまだ続いていた。

『更に私は吸血衝動に襲われるのです』

 吸血衝動? 血を吸いたいという事だよな

『ある日トイレに行った時、寝ていた母と父、それに弟を見た時に無性に首元に食らいつきたくなったのです。 あの首元にくらいついて出た血を舐めたいと思ったのです』

 それは……異常かな。たぶん。

『そんな事が何日も続いており……』

 終わりも長いな、無視しよう。

 俺がパソコンから離れるとひとねが聞いてきた

「君はこの怪奇現象の正体を何だと思う?」

「そんなのわかるかよ」

「なら質問を変えよう、この人に取り憑いている伝説上とされている生き物は?」

 言われて考える。吸血衝動となると……やはり

「吸血鬼?」

「そうだ、私もそう思う、ならば吸血鬼の弱点は?」

「聖水とかニンニクとか日光とか」

「そうだ、正解だ」

 何でこいつ偉そうなんだよ。

 ひとねは立ち上がって続ける

「でもそれは人間に取り憑いた事でそれらの弱点は大幅に軽減されている、人はニンニクを普通に食べるだろうし日光にも当たる」

 それに聖水は信じる者しか効果が無い、とひとねは自慢気にいう

「じゃあ……どうするんだよ」

「人間としても体制の無い弱点を突く」

 ならば十字架……は信じる者にしか効かないか。

 考えているとひとねはとんでも無いことを言い出した。

「心臓に杭を打つ」

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