ちのみごカラス
俺は赤ん坊を見ていた。何か思いつくかと思ったが何も浮かばない。
臓器が人間としては未完成……ここに何か糸口がある気がする。
臓器……臓器……
ふと、一つの案が舞い降りた。
「ひとね、食事はどうなんだ?」
「…………」
ひとねは少し考えてまた首を横に振る。
「ダメだ。その赤ちゃんはまだミルクしか飲めないだろう? カラスもミルクを飲めてしまう」
「そうか……」
「食事と言うのはいい考えだったね、赤ちゃんで無ければ通用していた手……」
ひとねが固まる。
「……どうした?」
「ああ、そうか」
ひとねは小さく呟いて動き出す。
少しの間考えて、女性に質問を投げかける。
「この子が二人になった正午以降、この子に対して何かしたかい?」
「えっと……」
「例えば……食事とか」
ひとねの言葉に女性は首を横に振る。
「何度か泣いたのであげたかったのですが……状況保存と言われていたので」
「うん、上出来だね」
ひとねがメールか何かで指示を出していたらしい。
「……うん、問題ない」
ひとねはニヤリと笑って俺を指差す。
「これは実に簡単な問題だったよ、ワトソン君」
「…………」
嘘つけ。




