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5:夏希と少年と…隠れた少女

更新が遅くなってすみません。だんだん更新が遅くなってしまっていますが、待っていただけると嬉しいです。

今日ある、授業参観の科目は、算数だ。

この授業参観、波乱になるとは、千夏はもちろん、誰も知らない。


さて、千夏は今、授業参観どころではなかった。

和也の話が気になりすぎて、授業に身が入らない。それが、今の千夏の現状だった。

あいつ……なんなのよ……

千夏はそう思いながらも、次々と問題を解いていく。

さすがというほどだった。

後ろに親がいる、ということだからなのか、生徒たちも積極的だった。

くだらない。

目を向けてはそう思うだけだった。



さて……ここには1人、こそこそと隠れながら授業参観を見ている者がいた。

誰だ……と聞きたいところだが、答えを言わせてもらおう。

夏希だ。千夏の授業参観に来て、千夏にバレないかと、そわそわしてるのだった。

大丈夫かしら、大丈夫よね、大丈夫のはずよね……

そんな言葉を繰り返しながらも、授業参観を見る。

夏希の今の格好は、サングラスに帽子、男っぽくズボン等々を来ている。

男っぽくしているからか、千夏にはばれていないようだ。

夏希は千夏を愛おしそうに見つめる。

その姿を見ていた少年が一人、そこにいた。



和也は、ある男性らしき人を見ていた。

ジッと見て、目線や仕草を確認し、特定する。

女性(・・)と。

ニヤリといたずらっ子のように、和也は笑って何かを考えていた。

その時、チャイムが鳴り、号令をする。

もうすぐ……どうなるんだろ…

そう思いながら号令を済ましていた。

後ろにいた、親たちが廊下へと、出ていく。

和也は、それを追いかけるように、廊下へ出た。他の児童もちらほら外へ出て、親と話している。

不自然ではなかった。

そうして、ジッと見ていた、女性のところへ向かった。



ふぅ……千夏にはバレてない…わよね?

そう考えながら、靴箱までの廊下の道を歩いていた。

バレていたらどうしよう、変装したから大丈夫かしら……

と、考え続けていると、

「すみません!」

と誰かが声をかける。

振り返ると、1人の少年がいた。

「えっと…わた…俺……だよね?」

私と言いそうになってしまった、危ない危ない

と思いながら、少年を見ると、千夏と同じクラスの人だと思い出した。

少年は、不意にニヤリと笑ったような気がしたが、気にしないでおこうと思ったところを少年の一言で打ち消す。

「男性の真似はしなくて大丈夫ですよ?弁護士の盛山夏希さん?」

「!」

夏希は一瞬驚いて、少年を見る。

そう。夏希は弁護士だった。それも、超プロ級の。

そんな、夏希の驚いた表情はすぐに戻って、質問を少年に問う。

「どうして、わかったの?……と聞きたいところだけど、あえて聞かずに、名前でも聞こうかしら?」

と、少年を見据えて、言った。

「僕の……いや、俺の名前は、桐谷和也。貴方のお子さんのクラスメイトです」

ニコッと笑って、和也は言った。

「へぇ、ま、いいけど、何か御用?」

その言葉を待ってましたと言わんばかりの笑みで和也は告げる。

「お子さんに、嫌われてるようですね」

少し嫌味ったらしさを入れて言った。

その言葉に反応した夏希は、目を細めて問う。

「貴方……何をしたいの?」

探りを入れるように。尚かつ、怒りも込めて。夏希は言った。

「あまり、怒らないで下さい。俺は話がしたいだけなんですよ。…まあ、嫌われてるのは、矛盾が原因ですがね」

フッと笑って、夏希を見た。

「……貴方…どういうつもり?」

目を細めたまま、夏希は聞く。先程と同じように、探りを入れるように。

「どういうつもりもこういうつもりもありませんよ?友達を増やしたいってだけなのに、盛山さんは、スルーばかり。俺も傷ついてるんですけどねぇ」

和也は腕を組みながら、困ったような顔で言った。だが、夏希には通用しないようだ。

「ウソは嫌いよ」

冷たく、そしてまた、冷たい目で、夏希は言った。

和也は一瞬驚いて、あーあと口を開いた。

「まぁ、友達を増やしたいのは、半分本当ですよ、そうですねぇ、半分は利用するため、みたいな感じです。さて、次はこちらが質問です」

夏希は質問を予想するため、頭を働かせる。

「なにかしら?」

そう言いながら。

「盛山さんとは、一定の距離以上、近づいていないように、見えました。それは、なぜですか?」

予想と似たような質問だった。

愚問だ。好きで近づいてないわけじゃない。これは『罪』だ。自分自身への。

「……そうね、自分が『怖い』から…かしら」

本当の気持ちでもあった。また、『あの時』のようになってはいけない。思い出させてはいけない。そう強く思いながら言う、夏希。

「……そうですか、まぁ、知りたかったことは大体わかったので、俺はこれで。では」

ペコリと礼をして、和也は教室へ戻って行った。

「……私は何をしてるのかしら……」

距離を取らないといけないといいながら。

距離を取れない私。

自分自身の『罪』といいながら。

己の罪を忘れようとしてる私。

自分でもわからない、矛盾した答え。

「ハァ……」

帰ろう…

夏希はそう思いながら、帰路へと着いて行った。

出て行きたくても出ていけなかった少女が1人、目をつむって隠れていた。




誤字、脱字は言っていただけると嬉しいです。

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