4:授業参観
今回は長めに出来たかと思われます。
誤字などがありましたら、お知らせください。
最近、グダグダになってきたような気がしますが、なにか、アイデアや、アドバイスがありましたら、教えていただけると嬉しいです。
では、4話目をご覧ください
「自室にいつもいるのに……今日はここにいるのね」
……それは、理由を聞くように。邪魔者扱いするように。言い放つ。
「……気分転換に来ただけ……もう戻る………」
千夏は無表情に、そう言い、自室に戻った。
千夏は母が早く帰ってきたことに、疑問を浮かばせていた。
母は、いつも夜中まで帰らないのに。考えたが、結果さえも、出てこない。
「……勉強してたのね」
千夏の母、夏希はそうつぶやく。
夏希は、気持ちとは裏腹に、違う言葉がでてくる。それが、癖のように、自分にまとわりついていることを、夏希はひどく嫌っていた。
今回もまた、そうだった。
そして、今日、早く帰ってきたのは、少し気になることがあったからだ。
最近、家に人を招いている形跡があった。
完璧に隠しているが、完璧過ぎて、少し怪しい。普通なら、完璧ならあまり気にかけないだろう。
さすが、私の娘……と言うべきなんだろうか?
来た人が、男か女かがわからない。
さて……わからない以上、調べたくなるのが、私の仕事上の関係だ。ウソを付くやつは即滅殺ってね。まぁ、今回は違うだろうけど。
そうと決めたら、徹底的に調べる……のだが。
困った事に、千夏は私に心閉じている。いや、私だけじゃない。あらゆる人との交流避けている。
だから、人を招いているのは、少し嬉しい。話す人がいるのが……。
まず、どうするか考えなければ……
千夏は賢い。勘付かれない方法はあるだろうか……?
まぁ、早く帰るしかない……か……。
まぁ、私の手は空いてるし、少しならいいだろう。
どんな人物か、見物に行こうか……。
☆
「おはよう」
そう話しかけてきたのは、和也だった。
「……」
千夏はそれを無視し、本を読む。
「あーあ、冷たいなぁ」
和也は、そういいながら、千夏の席の前に座る。
「……なに……」
迷惑そうに千夏は言う。
「え、なにその反応、やめてよ」
和也は苦笑いしながら、そう言った。
「……」
千夏は、和也を無視し、本を読み始め……撤回しよう。本を読んでいた。
「あーあ。無視ですか……」
いちいち五月蝿いな……千夏はそう思いながら、本を読む。
そんなことをしていると、先生が来た。
「おーい、全員席につけー」
先生はそう言いながら、教卓に向かう。
「あーあ、先生来ちゃった」
和也はそう言って、席に座る。
「じゃあ、配るもんあるから、くばるぞー」
先生はそう言いながら、持っている紙を配っていく。
その紙を見ると、
『授業参観のお知らせ』
と書いていた。
千夏は、くだらない……そう思っていた。
「へ~、おもしろそうだね」
和也は若干ニヤニヤしながら、そう言う。
「キモい……」
ボソッと千夏は言った。が、和也には聞こえたようで、
「キモいとは、おひどいねぇ」
と言ってきた。
「ふん……」
千夏は、そう言って、話を終わらせた。
☆
家に帰ると、いつもと同じ香りに微妙に違う香りが混ざっていて、妙だと感じた。
そう、これは……母の香りだ。
いつも、帰りは、遅いのに。
千夏はそう思いながら、中に入って行くが、母の姿は何処にもない。家に帰ってきて、また行った、ということだろう。
なんのために?
……。
たまに、母はわからない、くだらない行動をする。
今回もくだらない行動だろう。
ほっておこう。
千夏はそう思いながら、宿題を終わらせた。
さて……授業参観か……ま、どうせ、来れないだろう、捨てておこう。
千夏はお知らせをぐちゃぐちゃに丸め、ゴミ箱へ入れた。
☆
ガチャ
ドアの音が家じゅうに響く。
「……」
あたりは静かで、何も聞こえない。聞こえるのは外の雑音くらいだろう。
ここにいる、盛山夏希は、靴を脱ぎリビングへ入って行く。
「今日も遅くなっちゃった……」
夏希は不意にそうつぶやき、コップに水を入れる。
そして、それをゴクゴクと自分の喉を潤す。
そうして、ご飯、お風呂…と、テキパキと動き、時間は1:24に、なっていた。
仕事で疲れ、することもなくなったのに、眠る気になれない。
それが夏希の今の現状だった。
なにかないかと、辺りを見回すと、ゴミ箱に捨てられた、グチャグチャの1枚の紙。千夏が捨てただろうと思い、好奇心で開く。それは、
『授業参観のお知らせ』
と、記されていた。
「授業参観……」
ポツリと、夏希は静かに言う。
そして、考えが浮かんだ。
これを使えば。
そう思い、すぐさま、自分の携帯を手に取る。
そして、こう打った。
『悪いけど、来週、用事があって、1日休むわ。もちろんOKよね?じゃあ、そういうことだから、その日は任せたわ』
そうして、すぐに送信ボタンを押す。
「……楽しみだわ」
そう言って、ニヤリと笑った。
☆
今日は、授業参観。
「今日、お母さん来るの?」
和也は千夏に聞いてくる。
「……見せてないから、来ないんじゃない」
少し間をおいて、千夏はそう返す。
「えー、どんな人か見たかったのにー」
ピクリと、和也のその言葉に反応する。
「………ずっと気になっていたことがあるの」
千夏は、和也を見据え、険しい顔でそう言った。
和也はニコニコと笑い、なに?と聞く。
「私に近づいてきた、目的は?」
その言葉で、和也の笑顔が動く。だが、すぐ戻り、またニコニコとして、
「言ったじゃーん。友達を増やすためだって」
と言うが、千夏はますます険しい顔をする。
「私は、本当の目的を聞いてるの。冗談はいいから、さっさと、教えて」
千夏は、そう言った。
最初から不自然だった。
・なぜ私に近づいたのか。
・なぜ秘密を隠し通さず、打ち明け、信頼を得ようとしてるのか。
そうして、疑問が浮かぶ。
私は友人という友人を作っていない。
友人というのは、1人作れば、10人は友人になれる。
友人の友人と、友人でつながっているからだ。
だが、私はそんなものはいない。つまり、無意味ということだ。
なのにこいつ、和也は私に近づいた。
それが一つ目の疑問だった。
そして、私に本性を出し、共有者になり、不自然を自然に変えた。
その理由が知りたかった。
「………」
さっきまで、ニコニコしていた和也から笑顔が消えた。
「へぇ……いつ気づいたの?」
和也からはいつもの笑顔ではなく、妖気な笑顔が発せられる。
千夏は動じず、冷静に言葉を発する。
「今さっきよ。私の母に会いたいと言ったとき」
そう言うと、和也は少し驚いたが、すぐに元の表情に戻り、予想通りの質問を返す。
「どういうこと?」
千夏は予想通りの質問に即答で、かつ早口で言葉を告げる。
「私は、母の話はしたことないし、普通、母の顔みたいなんて思わないし。興味を持つ点がない」
かすかに勝ち誇った顔で、千夏はそう言った。
和也のほうは、前の妖気な笑顔から、ニヤニヤとした顔になっていた。
「うん、やっぱりおもしろいね。でも、それだけじゃ真相にはたどり着けないんじゃない?」
千夏は、それも予想していたかのように、かすかに笑い、
「最初、私に秘密もってる、って言ったのも加えると、だいたいつながるわ」
と言った。
和也は、ニヤニヤの顔でこう言う。
「そうだね……。授業参観終わったら、話してあげるよ……」
そうして、授業参観が始まる。
次話は、短くなるかと思われます。
また、遅くなるかもしれませんので、気長にお待ちいただけると嬉しいです。
今回も読んでいただき、ありがとうございました。次話でお会いしましょう。