2:猫被り
この小説の、2話目を見ていただき、誠にありがとうございます。投稿不定期のなか、見てくださっているのは、嬉しい限りです。
さて。
2話目が、投稿されました。
3話目も、いつの投稿か、わかりません。
申し訳ありませんが、お待ちいただけると、うれしいです。では、2話目を、どうぞ、ご覧ください。
「……ついてこないでくれます?」
現在、本屋の前。
「それは無理かな」
千夏の家からのこのやりとり21回目。
千夏は我慢の限界が近づく中、和也はニコニコといつも通り笑って、答える。千夏は少し強めに、
「ついてこないで」
と言った。
「う〜ん……ちょっと話したいんだけどなぁ」
和也は1度目を逸らし、そして千夏をにこやかな顔で見た。
「……手短に今、話してください」
千夏はキッパリと言った。和也を睨みながら。
「……その時次第で長くなるよ?」
和也はにこやかな顔から、少しイタズラっぽい笑顔で千夏を見た。
千夏は、イラっときて
「長いのであれば、お断りします」
と言い、本屋の方へ足を向ける。が、また腕を掴まれて、動けなかった。
「まだなにか?」
イライラと千夏はムカつきながらもそう言葉を発する。
「……前に言ったこと、覚えてる?」
和也の言葉に千夏は心の中で、
前に?……何を……?
そう思いながら、何をか思い出そうとする。だが、出てこない。
千夏がしばらく考えて、言葉を発しないのを見てか、和也は
「……思い出せない?なら、やっぱり話そう。コミュニケーションは大切だよね」
やはり、イラつく男だ。千夏はそう思いながらも、前に言ったことを思い出そうとする。だが、無理だった。観念して、千夏は
「……わかりました……本、買ってからでいいですか?」
そう言うと、
「話が分かる子でよかった」
にっこりと笑っていって、千夏は不気味という表現が一番強く出てきた。
そして千夏は今、本屋の中にいる。読んでいた小説の続編を買う予定だった。
あ、あった。
千夏はそう思いながら、その本をとる。そして、レジへ向かった。
「650円になります。ブックカバーはお付けになりますか?」
レジの人は、素っ気なく適当な人だった。千夏は目もあわせぬまま
「お願いします」
とお財布を出す。
チャリンッお金の音がなり、650円ちょうど出した。
「ありがとうございましたー」
そんな声もだるく、重苦しい声だった。
そして、外に出ると、和也が歩いている人を見ていた。いろいろな人を見ていた。派手な人、地味な人、そして、ただのサラリーマンのことも見ている。
人間観察?それとも、ネタ探しだろうか?
千夏は、いろいろと思考を巡らせる。
そんな千夏に気づいた和也は、あれ?買い終わった?と笑いながら言ってこっちに来た。
千夏は、睨みもせず、無表情で和也が近くに来るのを待った。
「さて、何処で話す?」
千夏は、和也がそう言っているのを軽く無視し、歩きだす。
あーはいはい、そっちですね……と和也は呆れ半分で、千夏について行った。
☆
和也と、千夏が今いるところはカフェ。
カフェ・ナルハというところだった。
「さて……どっから話す?」
ニコニコと笑いながら、和也は机に肘をつきながら言う。
千夏は少し、イライラ気味に、
「私に話しかけて何のつもりだ。あと、気持ち悪い。猫かぶるな」
はっきりキッパリ言う。
和也は一瞬、目線を逸らしたようだったが、また千夏を見て、にこやかに笑った。
「前にも言ったように、いっぱい友達が欲しいんだよ。それと、よく猫かぶってるって分かったね」
千夏はそんな和也を見ながら、紅茶を口に運ぶ。
「分からない人が馬鹿なだけじゃない?もう一度言う。気持ち悪い」
千夏はそう言って、コトッと、カップを置いた。
「気持ち悪いねぇ……他に、クラスメイトがいたら嫌だから、猫は被らせてもらうよ」
そう、にこやかに言う和也を千夏はイライラきたのか、顔に出てくる。
おー、怖い怖い。と和也を言うのを千夏は睨んで、黙れと訴えた。
「なら、やっぱり場所を変えよう。その方が話しやすいし。いいよね?」
千夏は考える素振りを見せ、和也に向かって、コクッと頷いた。
そうして、会計を済ませ、外に出ると先頭が和也になり、千夏は和也について行くことになった。
……1度、言っておく。この2人は、中学、そこらではなく、小学5年ということをあらかじめ、伝えておく。
そして、千夏の家に着いた。
「……なぜ、私の家…」
千夏がイライラしているのが手に取るようにわかる。
「まぁ、一番いいと思ってね。君の家はあまり知られてないみたいだし。俺の家はいろんな人が知ってるから、誰か来たら話が出来ないしね」
ずっと笑っている和也を見て、千夏は、イライラがさっきより増した。
「……わかりました…ちょうど母がいないので、ゆっくり話せます……」
イライラを隠すように冷静な声で千夏は言った。
そういって、家に入った。
☆
「……どうぞ」
千夏はそう言って、和也にお茶を出した。
「どうも」
いつも通りの笑いで、和也はお茶をもらった。
千夏は、イラッときて、半睨みで、
「猫被り、やめて」
と言った。和也は、ため息をついて、さっきとは違う口調で話した。
「ったく…なんでわかるかなぁ……隠せてる自信はあったんだけど?」
千夏は、自分のお茶を入れながら、
「隠すの下手なんじゃない?」
と鼻で笑った。和也は、イラッと来たのを、隠さず、口に出した。
「別に?君もやや猫かぶり気味だよな?そんな奴に言われたかねぇよ」
と、イラついた声を出しながら腕を組んだ。
「私はありのままを出してますがなにか?」
千夏はそう言って、席を立つ。
「ん?どこに行くんだ?」
そう聞く和也に、千夏は
「チッ、デリカシーのない……」
と、和也を睨みつけた。
そして和也は、どこに行くのかを察し、なるほど、それはすみませんね、とお茶すすっていた。
さぁ、これで2人は秘密の共有者……これからの物語、第一章は、もう、幕を開けている…………
どうでしたでしょうか?
脱字、誤字などは、どうぞ、言っていただけると嬉しいです。
読んだら、感想なども書いていただけると、嬉しいです。
できたら、書いてください。お願いします。
3話目も、お楽しみいただけたら、嬉しいです。
では、3話目で、お会いしましょう。
さようなら。
by.yuki