始まりの事件
今日は疲れた…。
なぜかは分からない。普段通りに学校へ行き、授業を受け、友達とダベリ、遊んで帰った。
僕は、家に帰って来ると早々に自室に戻り、ベットへと誘われるように足を進める。
「ふ~。」
深いため息を吐きながら、ベットに体を預ける。そして、うつ伏せになり、天井を見つめる。
(人間は、なんで生きているんだろう…。)
そんな疑問が突然湧いた。
(将来の夢はない。生きる事に関しては、どうでもいいと思ってもいる。これは、日本のゆとり
が原因なのか?これはいいことなのか?悪いことなのか?)
などと、当初の悩みからズレていく思考にウンザリした僕は、睡眠を取ることにした。
右腕で視界を塞いだ。今、認識出来るのは真っ暗な世界だけ…。
(これが……黒。なのか?折り紙などでよく見る黒とは、違う。)
その原因は、至って明白だ。実際は瞼の裏を見ているからである。
そんな、黒を見つめていると、徐々に何かが見えてきた。
(だるま?…あっ掃除きっ…変わった。)
様々に変質する何かをただ見ていた。ふと、ある考えが浮かんでくる。
(これは、僕の脳が自動的に想像しているもの…かも。)
僕は、全てをそれに託すことにした。何も考えないように意識を張りつめる。
徐々に、変質していた何かが、ひとつのモノへと固定されようとしていた。
(これは…ひと?)
はっきりと認識することができた。色まで鮮明に…。
簡単に言うと、特撮ヒーローのようなイメージだ。しかし、正義の見方には、見えない。
鬼を連想させる二本の角、下唇から下の顔は削がれていて、体中の色は真っ白、腕は太くて武装されている、『ハンマー』そんな言葉が似合いそうだ。
「リ…リベオン。」
不意に、出た単語を口に出してしまった。
「はっ!」
どうやら、自分の声で起きてしまったようだ。
部屋の窓から漏れる光は、月光だった。 気がついた時は、もう夜になっていたようだ。