【???視点】彼女との会話
「ちょっとー、あんたばっかり人間界に干渉してるの狡くない?」
「初めは魔界に干渉するつもりでしたが、今の魔王が【怠惰】なおかげで危機感もないですからねぇ」
「そう言う問題じゃないでしょ」
オレンジのふわふわした髪が揺れる。
彼女は甘い匂いを振り撒いて、私に文句をつける。
だが魔界も人間界も下界には変わらない。
どっちに干渉しようと神の自由だし、文句があるなら彼女も好きに干渉したらいいだろう。
「あ、別に好きに干渉したらって顔してる!」
「していませんが」
「してるったらしてるの!」
「そうですか」
「こっちは創造主から余計なことはするなって言われてるのになんであんたばっかり!狡いー!」
いつまで経っても子供のような彼女に、はいはいそうですねと雑に頭を撫でる。
すると彼女はすぐに機嫌を良くした。
単純な子だ。
「えへへ、私それ好き!」
「頭を撫でられるのが好きですか。ちょうど私が気に入って目を掛けている子と同じですね」
「あ、あのドッペルゲンガー?」
「ドッペルゲンガー・クイーンですよ」
「弱っちい種族のはずなのに、よくやるよね。あんたのサポートのおかげ?」
まあ、解説役の自分のサポートあってこそのチートだとは思うが。
「それもありますが、それだけではありませんよ」
「へぇ、じゃあなんで?」
「並外れた環境への適応力、判断力、そして模倣する相手を選ぶ才能…全てに恵まれましたね。前世では天涯孤独の身の上で何にも恵まれなかった様子ですが」
「じゃあ、前世で徳を積んだからあんたに見つかったんじゃない?」
「…たまたまでしょう。ですが、そう思われるほどサポートできているのなら有難いですがね」
私がそう言えば、彼女は急に険しい顔つきになる。
「…でも、結局は魔族なんでしょ?いつ反旗を翻すかわからないんじゃない?」
「その時は見捨てますよ、この天界に居て魔族の攻撃が通るはずもないでしょう?」
そう私が言えば、彼女の表情は和らいだ。
「まあそりゃそうか。ところで魔界の方は、次期魔王候補たちの動向とかどうなのよ」
「相変わらず現職である【怠惰】の魔王の一強で、次期魔王候補たちは焦れてる様子ですね」
ふむふむと頷いた後、彼女は言った。
「ひょっとしたらあんたの目を掛けてるドッペルゲンガー・クイーンに手を出そうとする奴もいるんじゃない?」
「どうでしょうね。その可能性もありますが」
「あ、そうなったら面白そうって顔してる」
「そんなことはありませんよ。ただ、その状況には興味もありますね」
「ほらやっぱり」
彼女は呆れた顔をするが、我々なんてみんな同じようなものだろう。
下界を見ては娯楽として消費する。
それが我々だ。
「まあただ、彼女は面白いのでこれからも頑張って欲しいところですけどね」
「あんたが見守ってるなら少なくともしばらくは安泰なんじゃない?」
「そうだと嬉しいのですが」
「そんなにお気に入りなんだ。私もそのドッペルゲンガーのこと観察してみようかな」
「…手出しは無用ですよ?」
冷たく睨めば、彼女は慌てたように手をバタバタと振る。
「しないしないしない!あんたに目をつけられたら最悪私が消滅する!」
「消滅で済めばいいですねぇ」
「だからしないってばぁ!!!」
くだらないことを言ったのはあっちの方だが、仕方なく許すことにする。
私が微笑みを浮かべて頭を撫でてやれば、安心したようにまた満足気に笑った。




