第三十一節 パワードスーツの作り方
エクソテックス社の郊外工場。
そこにある事務所の一室である会議室には誰が置いて行ったかわからないコーヒーがあった。
大きなテーブルを囲む数脚の椅子に、僕たちはむさ苦しく座っている。
薄暗い部屋で男四人が。
「それではみなさん、張り切っていきましょう」
僕の声に誰も反応しなかった。
大和さんも、志村さんも、工藤さんも。
なんでだよ、一番大事だよこれは。
「志村さんは基礎設計をお願いします」
「はい、任せてください」
僕の言葉にインテリな丸眼鏡と頭が光る。
期待できそうだ。
「工藤さんはスレスレでもいいので、合法的な武装案と設計をお願いします」
「ま、あのパイルバンカーも違法なんだけどね……」
「そうなんですか!?」
そんな空気じゃなかったよ、合法の空気だったよあれは。
目をキラキラさせて銃を渡したきたようなものだよ。
あんたちょっとおかしいよ。
「とにかく、俺も参加できるよう社長に掛け合ってくれてありがとう! 会紡機ってのはよくわからなかったけど、夢みたいだよ」
「いえいえ、こちらこそご協力感謝してます」
パイルバンカーを一人で作ってしまう熱意は、必ず役に立つと思ったんだ。
僕たちはスーツ開発に携わるという要求を社長さんに申し出た。
日妖っていう機密国家機関に及ぶンだったら一企業が逆らえるわけねぇ、という大和さんの意見を元に脅しまくった。
俺たちが会紡機戦を降りたり、社長に足引っ張られてるって密告したらあなたも死にますよ、と。
「僕と大和さんはアイデア出しです」
「よろしくなァ」
僕は頭を下げて、真剣な表情で皆を見る。
「君たちがねえ……信じられないけどタフさあるね! 最近の子では珍しいタイプだ」
工藤さんは志村さんと相反するような言葉を上げ、未だ目を輝かせていた。
こんなある種対照的な彼らがなぜ仲が良いのか気になっていたが、どうやら志村さんの奥さんの弟らしい。
つまり工藤さんは義弟だ。
「義兄さん、一緒に仕事できて光栄です」
「私も雄二さんをこの仕事を紹介した時、共に働ける日を楽しみにしていました」
本当に仲いいんだな。
工藤さんの下の名前は初耳だったが。
「さて、まずパワードスーツの基礎的な部分ですが、僕と大和さんのスーツを根本的に分けていきたいと思います。ですよね? 大和さん」
「あァ、俺のはパワードスーツってより軽量化されたアーマーで補助は最低限でいいからなァ。俺の動きについてこれねーし、まずは王雅のスーツから詰めようや」
僕は二度頷く。
日本でド派手に違法なものを作ったら警察が面倒臭い。
でもそうすると、従来のスーツでは口裂け女やこの先の戦いに勝てない。
だから工業用パワードスーツに見せかけて強いパワードスーツを作っちゃおう。
そういう算段だ。
いつの間にやら冬休み終わりで学校は再開していたらしく、学校まで迎えに行って大和さんを連れてきたんだ。
最高のスーツを作ろう。
「基礎部分は前回のものか、武装なしの軍用パワードスーツでよろしいですね長内さん」
「そうですけど、全身を鋭利にするとかにしたほうが強くないですか?」
「耐久性が落ちます」
淡々と却下された。
いやまあ、そうだけども……。
「じゃあレーザーガンとか積めます?」
「出来るは出来ると思いますが、威力は出ませんし意味がないかと」
志村さんは白く薄い紙に鉛筆を走らせながら、また淡々と指摘した。
うーん、スーツ自体に手を加えられないのなら、武装アイデアしかないんだけどあまり思いつかないな。
「長内くん! やっぱり男の夢はパイルバンカーでしょ!?」
工藤さんは身を乗り出して頬を持ち上げた。
「でも一発切りになっちゃうじゃないですか」
「予備の杭を取り付ければいいんじゃねぇの?」
大和さんは適当そうにそう言ったが、たしかにそうだ。
マガジンシステムだ。
「長いと邪魔になりますし、少し小型化するというのはどうでしょう?」
「そうですね、着弾と同時に傘のように刃が展開するというのも威力が補えるかと」
志村さんがエグいことを言い出す。
そうか、軍用パワードスーツも彼が設計しているからそういう発想になるのだろう。
「でも自分で弾込めするってなると、戦闘中はちょっと面倒ですね」
現実的な問題について触れたつもりだったが、みな一様に沈黙してしまった。
おかしなことは言っていないはずだが、納得し考えてくれているのだろうか。
「サブアームを取り付けるというのはどうだろう?」
「雄二さん、サブアームとなると制御が難しいです」
「おたくら、AIもあンだろォ? パワードスーツ暴走事件の時とかのよォ」
「エクソテックス社のAI技術は、はっきり言って稚拙ですよ」
三人はどんどんと話を進めていく。
僕も混じらないと。
「最悪、マガジン式にするとして近接武器も欲しいですね。チェーンソーとかはどうでしょうか?」
「チェーンソーよりも、単純な構造のナタなどが耐久の観点からすると良いと思います」
もう口挟むのやめよっかな……。
半ば心が折れつつも、頬を掻きながら僕は抗う。
でもやっぱり、ナタのほうが崩注と相性良さそうなんだよな。
「そういやよォ、前のパワードスーツの稼働時間、あれどうなってンだ?」
その言葉に、志村さんの鉛筆が動きを止めた。
僕と工藤さんはぽかんとしている。
「李国燕との戦い前に二十一時間以上の連続稼働させてたよな、電力供給もバッテリー充電もしている様子はなかった、そうだろォ?」
彼は僕の顔を見ながら問う。
たしかにそうだったけど、おかしいことだろうか?
「そうですけど凄いんですか?」
「凄いなんてもんじゃねぇよ、リチウムイオン電池と補助のスーパーキャパシタ使っても絶対無理だ。何トンのバッテリーを詰めば、あのパワーを維持しながら長時間稼働させられるんだか、検討もつかねぇ」
「……」
志村さんが解説に走りそうなもんだが、完全に硬直してしまっている。
僕にはよくわからない話だが、どうやら相当おかしなことらしい。
うーん、ロボットアニメでよくある核分裂小型炉とか積んでるのか?
「ここは次世代の全固体電池でも作れンのか?」
「きっと核分裂小型炉ですよ」
「あり得ねぇからそれ」
そうすか、あり得ないんだ。
夢がないぜ。
「……まあ、そういった所です」
彼はなにかに誤魔化すように答え、鉛筆を握る手がわずかに震えているように見えた。
それを誤魔化そうとでも思ったかのように、再び鉛筆を動かした。
なにか妙だ……という僕の直感と同じように大和さんも眉を顰めて眼光を研ぎ澄ませていく。
「なんで日本の民間企業が海外と機密軍事提携できるのか、はなはだ疑問だったが……まさかエネルギー問題だとはな。パイオニアなのか、ブラックボックスなのかまではわからねぇが、教える気はなさそうだなァ」
パイオニア、ブラックボックス?
ああ、なんでエクソテックス社が取引相手として選ばれ続けるのかの話か?
ならばこれは、かなりエクソテックス社の核心的な部分の話となる。
「ま、動けばいいですよ。僕は車の仕組みとか知りませんけどちゃんと走ればそれでいいです」
一旦は適当に流して、僕は大和さんに顔を寄せる。
「動力源は背中でした、李さんに背部分を破壊されたらパワーダウンしたんです」
「オッケ、わァった」
彼に耳打ちし、僕たちはパワードスーツ会議を再開した。
やいのやいの、あーでもないこーでもないと意見交換が続いた。
結果、現状はマガジン式のパイルバンカー。
取付式のナタは高温切断用ナタもといヒートマチェットへと案が進化。
と武装案はまとまった。
サブアームについては保留。
僕たちは一旦帰って、アイデアがあればメッセージを送る手はずとなった。
志村さんと工藤さんは残って設計図などを詰めていくらしい。
帰りに船橋さんのおみ足を拝んでいこーっと!
なんて考えながら立ち上がると、コツコツと男たちの会議に似つかわしくないヒールの音が響いてきた。
なにか揉めている声も聞こえる……揉めてるというより、止めてる?
「困ります、今は重大な会議中らしいので」
「社長に許可は取ってます、入らせてもらうから」
制止しようとする男の声を無視して、女の声が扉の前に放たれた。
その声に押されるように、会議室の扉は開かれた。
うっわ……。
「かわいい……」
思わず口をついて出るほどの美女だった。
ベビーパウダーを塗したが如く白い肌。
金色の薄く儚いまつ毛に、鮮明な赤い唇のコントラスト。
すっきりと通った鼻筋が、落ち着いた色のブロンドヘアは上品さを際立てる。
青と緑が混じったような瞳は深くこちらを見つめている。
まるで、人形のよう。
年は二十代中盤かそれ以下か。
そんな風貌を持つ黒いトレンチコートに身を包んだ白人の女性は、セミロングとボブの中間のような髪をふわふわと揺らしながら、こちらに迫ってきた。
「私は異空間体調査管理財団の特務エージェント、アニタ・コーニングスよ」
彼女は白い歯を覗かせながら、自己紹介をしてきた。
かと思うと、顔を背けて拳を握りしめた。
え、戦うの?
「Ik heb het gezegd zonder te stotteren, wat goed van mij……!」
かと思ったが、よくわからない英語を言っていた。
ど、どういう意味かわからない……そろそろ英語を習うべきか?
「オランダ人か、通称エダーク財団だったな?」
「……あなた、オランダ語わかるの?」
彼女は大和さんの質問に答えず、別の質問を返した。
「あァ、噛まずに言えた自分を褒めてたなァ」
そうだったんだ。
大和さんの言葉に、アニタ・コーニングスさんは一歩たじろぎ、リンゴのように顔を染めた。
かわいらしい……でも、エダーク財団の人間か。
警戒するべきだ、演技かもしれない……でもかわいい。
美人というより、かわいい系だ。
「わわ、私別にそんなこと言っていないわ、あなたオランダ語わかってないから!」
身を仰け反らせ、震える指を大和さんへ差した。
なにしに来たんだ……?
「初めまして、奥津直樹です」
用心の為、こちらの情報をどこまで握っているか調べるために偽名を名乗ってみる。
すると、彼女は余裕を取り戻したように不敵な笑みを浮かべる。
「いいえ、あなたは長内王雅だから。それでそちらは大江戸大和、そうでしょう?」
彼女の美貌に注意を取られすぎて、その後ろにいる彼女を止めていた工場員らしき男の存在を忘れていた。
彼は状況を飲めていないような表情を浮かべて、そろりそろりと下がっていく。
「少しこの部屋をお借りしてもよろしいかしら?」
コーニングスさんは奥に座る志村さんと工藤さんへ向けてそう言うと、彼らは僕に目配せをしてきた。
戦うにしても、彼らに戦闘能力はないし危ない。
僕が頷くことで返事を返すと、二人は部屋を後にした。
かちゃりと、扉が閉められる。
奇襲されてもいいように無門の準備をしなければ。
一抹の静寂の後、彼女は対面まで移動し、トレンチコートを脱いだ。
中に現れたのはすらりとした細身の体。
絶対的には大きくないが、細身のせいで相対的に胸が大きく見える。
油断するなと脳に言い聞かせるが、どうしてもエロい……。
とくに白いタートルネックのセーターが良い。
「で、対話しに来たのか? 戦いに来たのか?」
彼女が腰かけた瞬間、大和さんが仕掛ける。
「あなたたちは重要な協力者よ、こっちで潰すわけがないんだから」
「そォ。じゃあ、まずエダーク財団とはなんなのか。そこから話を始めろ」
いつも通り、初対面でもお構いなしにふんぞり返る大和さんに、コーニングさんは一切反応する素振りを見せなかった。
エージェントらしくなってきた……さっきのかわいい姿が素だと安心できるのだが。
「各国の政府から世界の裏側や異なる時空間……そういった人や物の調査と管理を委任された組織よ」
世界の裏側は、黄昏世界のことか。
異なる時空間は異世界のことだろう。
各国の政府とは大きく出たものだが……日妖に圧力を掛けられるということは、あながち嘘というわけではなさそうだ。
「はァん、聞いたこともなかったけどなァ?」
「秘匿されてるし、民衆がそういった存在を知るメリットもないから」
財団が一般認知されるメリットがない、か。
まぁそうだろう、日妖と同じようなもんだ。
そんなオカルトに税金を注いでいると知られればみんな怒るかもしれない。
妖怪や吸血鬼や異世界人が露見するだけで混乱するのは間違いないだろう。
嘘かどうかまでは見抜けないが、今のところ破綻してはいない。
僕は目を逸らして話を聞くことに集中する。
この素晴らしい容姿に注意を割かれたくない。
「秘匿財団ってこたァ、どういうルートで入るンだよ? FBI、CIA、NSA、そんなとこか?」
「そうよ、私も国防省から左遷されたんだから」
国防省……軍事的な政治する人たちか?
財団は権力はある組織のはずだ。
だというのに左遷という表現……そこは謎だな。
まあ一般的にはオカルトに纏わる組織だし、そんなもんか?
「私からも質問いい? 長内王雅、あなたは中国の李国燕から崩術を習った。そうよね?」
「ええ、そうですよ」
僕は視線を伏せたまま答える。
「妖怪も見えるし、世界の裏側……時の止まった夕焼けの空間も知っている?」
「ええ、黄昏世界は知ってます」
そこから矢継ぎ早に細かい質問を続けられた。
黄昏世界から進んで、別の場所へ出れば海外にいけるのは知っているか。
出入口とリンクしているのが海外であれば、その海外の土地にある伝承に基づく異空間体がいるのは知っているか。
李国燕さんとの繋がり、崩術を学ぼうと思ったきっかけ。
年齢、崩王のこと、崩術の習得度。
受け答えをしているだけだというのに、頭が疲労した。
脳が直に汗をかいているかのように、額にだけが汗ばむ。
まるで面接でも受けているかのように感じた。
「僕からも質問させてもらいます、宇宙人やUFOやUMAや幽霊、そういう類のものには財団は関与してるんですか?」
真面目に質問したというのに、いつの間にやらついていた頬杖を崩し、大和さんが頭を落とした。
真剣だよ僕は、だってゲノム強化剤って宇宙ウイルスなんだろ?
そこに詳しければ、なにか進展があるかもしれない。
「いいえ、まったくよ。あくまで異世界や裏側の世界関連だけ……でも、大江戸大和に投与されたゲノム強化剤については知っている」
ほら見ろ! 知ってたじゃないか!
結果的に!
「……出まかせだったら承知しねぇぞ」
「ウイルス構造に酷似した地球外生命体に、モデルデータを加えたもの。それに沿ってに肉体構造が変容する……それがゲノム強化剤だったはずよ。だから実際はヒトゲノムだけを弄っているわけではないから」
かんなり前に大和さんもそんなようなことを言っていた気がする。
彼の予想通りだったのか。
「じゃあ、なんでそれを知ってンだよ? どこの国防省だったかは知らねぇが、そこまで力入れて研究してたのかァ?」
大和さんの問いかけは非常に理知的だった。
その出所が納得のいくものだったら信憑性は上がる、逆に支離滅裂だったら嘘だと判断できる。
効果的な質問だ。
「異空間体絡みのものは大抵厄介で、武力が必要なのよ」
妖怪も含まれるのならそうだろう、じゃなければ崩術師なんていらない。
「だからエダーク財団はパワードスーツの取引もしているし、そういった武力に繋がりそうな情報は古巣からも降りてくる……ってわけだから」
話の筋は通っているように思える。
崩術師などは、誰でもお手軽になれるものではない。
師が優秀であれば、大抵の人間はなれるかもしれない。
でも優秀な師の数が少ない、そもそも出回っている技術ではないからだ。
だから科学的な方法で武力を手に入れることに道理はある。
そもそも秘匿している対象に対して行使するのだから、銃や戦車といったものは動員し辛い。
おかしくは、ない話だ。
「……一旦は、信じるぜ。だが嘘だった場合はぶッ飛ばす」
ゲノム強化剤を投与されたという事実は歪めようもない。
その中身が知れても進展にはならない。
どこの国防だが知らないがエレインコーポから降りてきた話でないのなら、内容を論じてもしょうがない。
「長内王雅、彼って日常的にこうなの?」
「え? そうですよ?」
大和さんを目の前にしてコーニングスは僕に問うた。
やめてくれよ、大和さんが怒っちゃうだろ!
怖いんだから、僕だってぶっ飛ばされたんだから!
「そんなんだから、ここの社長とも揉めるんだから!」
「あァ?」
「私、あなたたちが社長を揉めたせいで、会紡機戦を降りさせないために来たんだから!」
この人は言ってはいけないことをペラペラと喋っている気がする。
だから国防省から左遷されたのではなかろうか。
特務エージェント向きな人材ではない気もする……でも、どこかテンスさんみたいでほっこりしてしまった。
テンスさんも情報、絶対に漏らしすぎだったからなぁ。
「もう一つ質問があります、他に参加している会紡機戦参加者の情報は?」
「あまり掴めてはいないのよね、うちで確保した参加者も負けてしまったから」
「じゃあ、妖怪や異世界人がいたら危害を加えるんですか?」
僕にとっては重要な質問だ。
口裂け女に対しては協力してほしいし、出来る限りの味方もほしい。
だが逆にテンスさんに危害を加えるつもりなら許さない。
テンスさんは、僕にとって大事な人なんだ。
どちらかと言えば、手出しするつもりはないと言ってほしい。
「エダーク財団の目的は会紡機だけ、今回はね……」
「そうですか」
「だからとくに関わるつもりはないわ、協力者になってくれる見込みがあれば引き入れるけど」
欲しい答えとは少し違う。
僕たちだけに協力してくれるほうが都合がいいのだが。
「お前らが抱えてる協力的な参加者は、現状俺たちだけかァ?」
「そうなるわ、うちで抱えていた参加者も負けてしまったから」
なるほどね。
「長話が過ぎたわね、ここでパワードスーツについて会議をしていたということは参加を続ける、と受け取っていいのよね?」
「えー! どうましょー! コーニングスさんが交際してくれるなら考えますけどねー?」
小悪党らしく、焦らして焦らして財団から搾り取ってやるぜ。
金も技術も情報もノウハウも、なにもかもな。
「こ、交際って……バカ言わないでほしいから!」
彼女はまた顔を真っ赤に染めて真剣な目つきで叫んだ。
いや、アメリカンジョークだろ……冗談に決まってるだろ。
外国人なら伝わると思ったのに。
「エダーク財団にAI技術はあンのか?」
「もうっ……最初から真剣に話してよね。それくらいはあるんだから」
「ンじゃサブアームはいけるな」
……大和さんのほうが特務エージェント向いてるよ。
「まだパワードスーツ作ろうと思っているの? こちらで買い取っているパワードスーツを渡せばいいでしょう?」
「いや、軍用じゃ捕まるでしょう? 警察に」
「圧力は掛けられるけど……まあ、そうね。日本は平和な国だし今はSNSも発達していて制御しきれないわ。意外と賢いんだから、見直したわ」
当初の目的は変わらない。
にしても長話すぎて疲れたな、今日はもう休みたいな……。
「また後日、お話しませんか?」
「参加する意思については、どうなの?」
「保留で」
「えっ……」
そう言って僕が立ち上がると、大和さんも同じく立ち上がる。
今日は店じまいだ、疲れた頭でこれ以上は考えられない。
考えられない状態状況判断は出来ないし、そういう状態での取引や情報戦は危険だ。
「ンじゃ王雅、遊びいこーぜ」
「え!?」
「日常的じゃないことをしたら、日常的なことをすンだよ。そうやってガス抜きしねぇとオメェはパンクすっからな」
疲れてるんだけどなぁ……。
でも僕は反論も出来ずに、壊れたロボットのようにぎこちなく頷いた。




