episode2 冒険の始まり
エンドレは3人とお喋りを楽しみつつふと気になったことを3人に聞いてみる。
「そういえば、ドラゴンの魔女というのはどういう人なの?僕全然知らないんだ。」
「うーん、古代に実在した人物だってことはわかる。けど神殿によって魔女を崇拝したり蔑んだりしてる人が居て三者三様って感じよ。」
「へぇ。3人は魔女が悪い人だと思うの?」
「うーん、完全に悪い人って思ってるわけじゃないわ。」
「俺たちの宗教は魔女はドラゴンの腰巾着って教わってるし。」
「酷い言われようの魔女がいるものだね。」
エンドレはくすくす笑いながら3人の話を聞きつつも、もしかしたら魔女って自分のことなのでは?と思い始める。
「それに魔女じゃなくて男って説の方が多いみたい。」
「というと?」
「女みたいに髪が長いから魔女って言われてる噂があるんだよ。」
「へぇ。」
エンドレは益々自分のことなのではと思い始める。髪を伸ばしているのは友から伸ばしてみたら?と言われて伸ばしているし、後ろ姿は完全に女性そのものだ。
エンドレは不名誉なのか分からないけれどもほぼ確定で自分のことだろうなと確信した。
「そういえば3人はこの森に欲しいものがあるから来たと言っていたね?欲しいものは見つかったのかい?」
「あ、ううん。見つからなかった。」
「珍しいものだしな。そんな簡単に見つかるわけないって思ってた。」
「どんなものなの?」
「・・・回復薬に使える素材よ。」
「回復薬?」
アミの声が急に暗くなる。エンドレは聞いてはまずかったかなと思ったが、アミが続けて話してくれる。
「私たちの子分的な子がいるんだけどね。その子が郊外の森で大怪我しちゃって。私が治癒魔法使えたらいいんだけど、私は魔法使いのくせに才能がないから、素材を見つけたいって他の2人に提案したの。」
「・・・どんな怪我なの?」
「背中に、大きな引っかき傷よ。ブラックベアが出たらしくてね。まだ幼くて今も意識がない。」
「そうか。」
「神殿にも一応傷を癒せるかどうか聞きはしたんだが無理だった。」
3人の悲しそうで、悔しそうな様子にエンドレは心を痛めた。幼子の傷は大人になっても消えはしない。きっと傷ついた子は傷を見る度に怯えるだろう。3人はその子を助けたくて必死で、傷をつけてまでこの森に来たのだ。
エンドレは3人に向き直って歩きながらも提案する。
「治癒魔法なら、僕がかけようか?ゆっくりになるけど、跡を残したくないのなら僕の持っている薬瓶を使おう。君たちみたいな優しい子の仲のいい子なら、助けてあげたいな。」
エンドレの提案に3人は目を輝かせる。だが3人はハッとしてエンドレからの提案を断った。
「いやいや、そんなのダメだ。治癒魔法は魔力を大量に消耗するしなにより大きな傷だから負担も大きい。お前を半ば無理やり街に連れていくんだし、迷惑はかけられねぇよ。」
「迷惑だなんて思ってないよ。治癒魔法と薬瓶を併用するかは魔力の消費量も少ないし、大丈夫。」
「けど。」
「大人に頼ってよ。僕は平気。その子を助けたくて必死な君たちを助けたいんだ。」
「・・・じゃあ、頼む。」
3人は顔を見合せてエンドレに頭を下げる。エンドレは直ぐに顔を上げさせて、3人へとニッコリ微笑んだ。