よくさぁ、田舎に帰って久しぶりに会った幼馴染が……『実は女だった』みたいな物語あるじゃん?
「よくさぁ、田舎に帰って久しぶりに会った幼馴染が……『実は女だった』みたいな物語あるじゃん?」
「……そうね」
放課後のオシャレなカフェ。そのテーブルに座る二人の女子高生がいた。
一人はガサツな仕草で、先ほどの台詞を語る。
それを反対側で興味なさそうに聞いているのは、背の高い、いかにも文学少女といった女。
「男友達だと思っていた友人は……綺麗な大人の女に変貌していて、それでも男友達として接しようとする主人公は、ドギマギしながらも表面では男友達のように過ごす」
「それでも、ふとした瞬間に女を感じてしまい、意識してしまう」
「そう、それ!」
ガサツな女は正解とでも言うように指を刺す。
「いつしか女に惚れている事を自覚した主人公は、やがて告白……そしてゴールイン!」
「……わかるわ」
そこでガサツな女はテーブルにガックリと突っ伏してしまう。
「……なんで、なんでお前も女なんだよ!」
「……」
「私はソレがやりたくて! 男っぽく振る舞ってたのに! 台無しだよ」
背の高い文学少女の方は、読んでいた本を閉じて呟いた。
「……こっちのセリフだよ」