表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
160  作者: Nora_
10/10

10

「どうぞ」

「梢はご飯を作るのも得意なんだね」

「はい、いまでもお姉ちゃんに教えてもらっていますけどね」


 丁度いい塩梅だった。

 薄すぎず濃すぎないおにぎりが美味しい。

 卵焼きも絶妙な味で王道って感じがするなあという感想を抱いた。


「美味しいよ」

「それならよかったです、一応頑張りましたからね」

「手に絆創膏が貼ってあるとかそういう感じではなかったね」

「そこまで苦手というわけではないですから」


 本人が好きなのか、僕のことを考えてくれたのか、お肉系が多いというのもありがたかった。

 いまから健康を意識してお豆とかそういうのを多くするのは違うから。

 それにああいうのはそういうメインの脇に存在しているからこそいいと思うんだ。


「なんか落ち着きますね」

「うん、暖かいのもいいね」


 前を見てもあのベンチみたいに誰かが見えるというわけではない。

 隣に彼女がいてくれればそれでも寂しくならないんだから不思議だった。

 もし仮にひとりであったとしても風を感じながら読書に集中したかなと。


「梢はいま不安だったりする? ほら、高校生になるからさ」

「特にしないです、試験当日とかに比べたら全然楽ですから」

「強いね、僕なんか入学式とかの前とかは不安で寝られなかったぐらいだけど」


 同じ学校とはいえ、光行と別れてしまったらひとりになってしまうからどうなるんだろうという不安があった。

 本番がくるまでは悪く考えてしまう癖が昔からあって、いざ実際に当日を迎えるとこんなものかと感じる繰り返しだった。


「年上なんですからしっかりしてください」

「ははは、厳しいなあ」

「でも、いまは違うじゃないですか。赤車さんだけではなくお姉ちゃんもいますし、私だって四月からはあの高校に通うわけですから」

「これは友達がいてもなくならないものだよ」

「私達がいてあげているんですからなんとか直してください、なにかがある度にそのようになっていたら疲れちゃいますよ」


 確かに彼女の言う通りだ。

 大学に行くつもりはないから三年生になったら就職活動をするわけだが、そのときに不安な状態になっていたら上手くいかない気がする。

 って、僕はそれまで彼女とこの関係のままでいられるだろうか? なんて新たな不安が出てきてしまった。


「大体、彼女の私が今度からは――きゃ!? な、なんですか?」

「できるだけ長く梢とこの関係でいたいから」

「だ、だからってなんでいま抱きしめるんですか」

「不安になってしまったんだ、許してほしい」


 離して謝罪をする。

 彼女は少し怖い顔で「いきなりされると困るんですけど」と言ってきた。

 確かにこれは自分のためにしていることだから嫌か。


「分かった、今度からは言ってからに――」

「……もう少し勢いを弱めてくれればいいです」

「そうなの?」

「はい、ああしてもらえることは嬉しいですから……」

「ありがとう」


 違う方を見ながら「いちいちありがとうなんて言わないでください」と言われてしまったので、今度は優しく頭を撫でておいた。

 これからも感じたことははっきり言ってほしいと頼んでおいたので、どんどんとよくなっていく気がしていたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ