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創世妄想記  作者: ホリ
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エンリルの罪

 ある日エンリルは暑さを避けるように、木々の生い茂る茂みを歩いていた。

 すると、林の中に川の流れる音とと共に、可憐な笑い声が聞こえてきたので、声がする方へ歩みを進めた。

 すると3人の女性が澄んだ川辺で水浴びをしていたのを見つけた。

 薄く白い生地が水に濡れ、透けてこべりつき、こんもりと丸みを帯びた女体が露わになっていた。

 エンリルは女性の1人に特に目を奪われた。

 その女性は年端もゆかぬ可憐な美少女で、その純粋な笑顔は差す陽の光に照らされ眩しく、その声はまるで至高の音楽のようだった。

 さらには歳の割に発育がいい胸と肢体でエンリルはすっかり魅了された。

 エンリルは彼女たちの水浴びが済むまで覗き見届けると、彼女の素性を調べた。

 よりにもよって女性たちは、ニンマーの元で働く看護婦で、名をスドと言った。

 手を出すべきではないとは分かっていた。

 分かってはいたが、しかし抑えきれない欲情が勝り、エンリルは自身の権限を使い、スドを自宅に呼び寄せた。

 

 自宅にスドを招き入れたエンリルは、まず酒を振る舞い、どこか肩を強張らせ、不審な表情を見せるスドの緊張を解そうとした。

 

「そんなに硬くならなくともよい」


「いえ、私などに如何なる御用がございましょう。恐れ多くございます」


 そう胸に手を当て、顔を逸らし、俯く様子にエンリルの胸は高まった。


 肉付きがよく張りのある下半身に、若さゆえのハリのあり、華奢ながらも豊満な胸に我慢ならなかった。

 エンリルは一口酒を飲み、グラスを置くと、彼女の横に腰をかけた。


「そなたは美しい」


 エンリルは彼女の身体を指で滑らせ、その愛らしい柔らかそうな唇に口付けしようとした。


「お、お待ちください…。私、初めてなんです」


 エンリルは、それを聞いて、興奮した胸と心の高鳴りを抑えることが出来なかった。


「あっ…ぁぁ」


 顔に手を当て無理矢理口付けをし、強引に彼女を弄んだ。


「あぁ…駄目です。おやめ下さい」


 エンリルは大丈夫と、彼女に微笑み制した。


「やだぁ…やめて……やめてください…あぁ」


 スドは泣きながら懇願したが、エンリルは欲情のまま激しく彼女を求めた。

 拒む彼女に、無常にもエンリルの欲情は放たれ、そのまま捕え離すことはなかった。


 後日、スドはニンマーにことの次第を報告した。

 異母妹という立場ながら、エンリルの子を宿し、産み、育て、婚約者がいながら禁断の関係を致したことで罰を受けながらも、彼に対して少なからず好意を抱き、慕っていた彼女は激怒した。

 自身の部下にした仕打ちに対してというだけでなく、自分の中でかつて燃え上がり、再び芽生えていた、エンリルに対する好意に激怒し、軽蔑した。


「ふしだらで最低な男」


 ニンマーの中で、何かがプツリと切れ、まだかろうじて残っていた、抑え込んでいた、乙女な純粋な心は消え去った。

 ニンマーはことの次第をアヌに報告し、エンリルは裁判にかけられることとなった。


 アヌンナキは比較的寛容な種族ではあるが、一族の中で決して許されないことがある。

 それは、同族の殺人と、無理矢理な行為である。

 ニンマーから報告を聞いたアヌは頭を抱えた。

 王位継承者であるエンリルに、今回の件で罰則を与えるとなると、王位継承権の剥奪は逃れられない。

 しかしアヌの憂いはそのままに、強姦の罪でエンリルは、地位、全ての都市の権利、王位継承権を剥奪され、流刑されることとなった。


 一説には、このスドの水浴びは、彼女の母親の策略という話しもある。

 王族への繋がりが欲しかった母親は、娘の美貌を利用出来ないかと考えていた。

 そして浮上した娘の地球行き、それをチャンスだと思い、既成事実を作り上げる為に画策したのだったと。

 しかし真相は謎のままである。


 エンリルが裁きにより追放され幽閉されたその頃、エデンではニンマーがスドの妊娠をエンキに告げていた。 


 エンキはエンリルをどう助けようか考えた。 


 唯一エンリルを救う方法がある。


 それはスドを正妻として娶ることだった。

 弟であるエンリルに王位を継がせたいと考えていたエンキは、裁定を下す7人を集め、その7人の前でスド自身に宣誓させることでエンリルの罪を帳消しに出来ないかと考えた。


 そしてエンキ自身が何より王位には興味がなかったのもあるが、彼はエンリルに劣らず、女性への関心が強く欲求に忠実だった。


 純粋なる欲求、それによりさらに自身の科学者としての探究心、知識への渇望、そしてアヌへの忠誠心、それが金の採掘へと向いていた為、王位への関心は薄らいでいたのだった。


 エンキはアヌにかけあった。

 この問題にはアヌも頭を抱えていた。

 どうにか出来ないものかと、スドの母親に根回しをし、説得を試みた。

 スドの母親は条件として、正妻の位置に自分の娘を入れるようにと提示してきた。

 エンリルの正妻ということは、未来の王妃、これは通常ならばいくつかの儀礼を通り、ようやく叶う、非常に狭き門である上に、スドのような王族でない、一介の少女にはありえないことであった。

 しかし強姦という最上級の罪を犯したエンリルが正妻を娶るだけで罪が帳消しになるのならばとこれをアヌは承諾した。


 裁定の場に呼び出されたスドは、エンリルの妻となることを承諾した。

 すぐさまアヌに報告され、アヌはエンキにエンリルを釈放するように言い渡した。

 エンキはアプガルを遣わし、こうして流刑地にいるエンリルは開放された。


 エンリルは、汚点を払拭しようと、盛大に結婚の式典を催した。

 ニンマーはそんなエンリルを軽蔑し、息子のニヌルタは、義理母となるスドと、腹違いの弟であるナンナルの姿を遠目から眺め、複雑な心境でいた。


 婚姻によりスドはニンリルと名を改め、エンリルはニンリルを妻とし、責任を持つことで恩赦を受けた。

 こうして2人の間には輝く者と名付けられた、後の月の神ナンナル、そしてイシュクルが産まれることとなった。


 しかしこの一連の動きを好ましく思わなかった人物が1人いたが誰もまだこの時は知る由もなかった。

 この時彼は、自身の中に芽生えた、世の矛盾と不公平さ、器に見合わぬ大きすぎる野望と、嫉妬心に突き動かされていた。


 エンキは、ニビル星から妻のダムキナ、長子であるマルドゥクを呼び寄せ、エリドゥに住まわせていた。

 その傍ら、エンキには他にも愛人が複数人おり、ネルガル、キビル、ニナガル、ニンギシュジッタ、末っ子のドゥムジがいた。

 これも曖昧な話で諸説あるが、エンキは失意のニンマーを口説いたとされる。

 元々エンキの許嫁であったニンマーに対して、少なからず特別な感情があり、ニンマーも女性として魅力的であった為、エンキはここぞとばかりに彼女に言い寄った。

 その後、エンキとニンマーの間には2人の女の子が誕生したとあるがそれがとの子なのかは明らかにはなっていない。

 しかしエンキとの愛を望んだニンマーは、身体と、子を産ませることしか求めてこないエンキに報復で毒を盛り懲らしめた。

 よって2人は結ばれることはなく、アヌの下した判決の通りに、ニンマーは生涯を独身で過ごすこととなった。

 

 しかし各々の本能と、抑えきれぬ欲情により、そうやって徐々に地球産まれのアヌンナキが増えていったのである。

 記紀や伝承において、三輪山の白龍に近い話がある。古事記の神武記では、 三島溝咋の娘に、勢夜陀多良比売という名の絶世の美しい姫がいたが、 この姫に一目惚れをした三輪の神である、大物主神が、姫が河原で用を出す瞬間を見計らい、矢になり大事な部位に突き刺さり、姿を表し、求婚し、姫は受け入れ結婚したとの話がある。 そして生れた子が富登多多良伊須須岐比売で、 神武天皇の皇后となったとある。古事記の崇神記に、 同じく大物主の妻となる活玉依毘売の父に、陶津耳命が登場する。 この陶津耳命と三島溝咋を同神とする説もある。日本書紀では、 ある人が「事代主の神、三島溝橛耳の神の娘・玉櫛媛に共ひて生める児、 号を媛蹈鞴五十鈴媛命と日ふ。 こは国色秀ぐれたる者なり』と勧め、神武天皇の王妃としたとある。ナンナルは男神とされるが、ひょっとしたら女神であった可能性もあるのではと考察したことがあるが正直まだはっきりとしない。だがこの共通点から、エンリルは大物主と同一神であると考察出来るのだ。エンリルが住まいとして選んだのは日本の地であり、各地に痕跡が残っている。

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