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創世妄想記  作者: ホリ
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エンリル

 エンリルは宇宙艦隊を率い地球に降りたった。


「お久しぶりです兄者」


「久しぶりだな。よく来てくれた」


 エンキとエンリルは抱擁しあい、互いに再会を喜んだ。


 地球で既に採掘に従事していた者たちは期待と疑念を抱く物達で別れていた。

 尊大で雄大なエンリルの姿に期待の羨望を捧げてる者、エンキを支持し、手柄を横取りに来たのではないのかと疑心暗鬼に伺う者、様々な思惑や思想が重なり渦巻いていた。

 だがしかし、次期王であるエンリルの、生まれ持ち、それをさらに研ぎ澄まし、高められた風格は他を圧倒していた。

 天に突き抜けるような角が、陽の光に当てられ黄金に輝き、聡明な思慮深い瞳は心を見透かすように空間を貫き、逞しく鍛え上げられた肢体は大地の地中深くから根ざしているように見えた。

 早速エンリルは、彼らの飛行機である1※天磐舟を召集し、エンキが新しく発見したとされる金の鉱脈へ案内するように命じた。


 空から彼らは金の鉱脈の地、アブズを海岸線から内陸にかけて調査した。

 海から採取される金は確かに少量であったが精製しやすく容易に採取出来た。

 地質から発見された金、土壌の成分と混じり、量としては海中から採取出来る量を凌駕していたが、採掘作業の工程、機材、人員の確保、危険度が莫大に増える。


 エンリルは、まず入植地で基地でもあるエリドゥを拡張増設し、宇宙船の停泊地を整備し、引き連れてきた部隊を、採掘任務、運搬任務、輸送任務と分けて配置し、土台を固める計画を立てた。


 金の存在を確認したエンリルはニビル星にいるアヌに報告した。

 アヌは、地球にエンリルを送り出すと決めた段階から、内心エンキとエンリルの、権利を巡る不仲、争いを懸念していた。

 正妻の元産まれた正当な血統である、エンリルが王位を継ぐのはもちろん、継ぐに相応しいほどの優秀さも持ち合わせているのはアヌにも分かっていた。

 長子であるエンキも、アヌの目から見ても、エンリルに引けを取らないほど優秀であったし、立場に相応しい立ち振る舞いを見せていた。

 今回の任務も、エンキ自ら進んで、星の命運の為に危険な任務に従事しながらも、困難を切り拓いていたのは誰の目にも明らかなことだった。

 アヌはどうすれば上手く2人が争わず、円満に事を運んでくれるだろうか考えた。


 様々な葛藤や思案が混ざり合い、こうしてアヌは勅令により、エンリルに改めて地球総司令官の地位を授けた。

 そしてさらにエンキには、最初に彼自身が築きあげた基地、エリドゥを与え、科学者としての活躍を期待し、海と遠方の大洋の主、つまり地球の主を称号として与えた。

 そしてエンキは期待に応えるように、アブズを拠点に金の採掘を始めたのだった。


 アブズにいる間、エンキは採掘の準備を行い、エンリルは天磐舟に乗って、周辺の広さを調査し、山々や河川、渓谷や平原をくまなく測定した。

 その間エンリルは、ニビル星とは異なる地球の暑さに苦しめられていた。

 そこで雪の積もる高山や、日陰や涼しい土地を好んだエンリルは、宇宙船が、安定、安全に離着陸出来る航路や基地を整備することにした。

 そこで、太陽の昇る周期や動線に合わせて移動出来るように、レイライン上にある山々の上部や、天まで聳え立つ巨木をレーザー兵器を用いて切り倒し、山々の中腹から良質の大きい岩石をブロック上に切り出し、着陸する為の土台が組み上げられ、エンリルが過ごすための2※神殿が築かれた。




1※ 天磐舟=シェムとは、天の二輪戦車と表現される場合もあるが様々な形状が存在しているとされる。プラズマ発生型の反重量推進飛行機であり、機体の回りにプラズマを発生させ、磁場を形成、大気を受け流し、空気の摩擦を無くすことで音速以上の飛行速度を出すことが出来る、いわゆるUFOである。数々の遺跡の壁画にも描かれている。日本の伝承では天揺籠、まさに天磐舟、饒速日や聖徳太子も乗りこなし、アレキサンダーや神武天皇、ヤマトタケルを導いた金鵄、八咫烏と表現されている。


2※ 地球にある各地の神殿やピラミッド、ジッグラト、オベリスク、ストーンヘンジ、巨石文明遺跡はアヌンナキによって築かれた。日本にも公にはされていないが、クロマンタや皆神山、榛名山を筆頭に沢山のピラミッドが現存している。

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