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05 執事の用法

「お待たせ致しました。マッサージを開始しましょう。」


 着替えを済ませてエアコンの効いた涼しい居間でゆったりとテレビのニュースを見ながら携帯で書き込みを見ていたら、超薄着のユウがやってきて全裸に剥かれた。

 あれっ?可笑しくない!?


 いまいちユウの行動に付いていけていないのは、余りにも予想外過ぎる行動に出るのが原因だと思うのだけどっ!?

 久しく家族以外の人と暮らすことはなかったのだけど、やっぱり他人との同棲って大変だ...。


「今回は最初なので、全身に施しますね。」


 言う前に、手が肩を揉み解し始めていたけどね?

 ...うん。確かの上手なマッサージなのだろうな~。


 ニュースの音声を聞きながら、うつらうつらと意識が混濁してくる。

 とっても気持ち良くて、リラックスできる~っ。

 ユウが超薄着姿なのも忘れて、マッサージを思う存分受ける。

 何度か体を転がされたようだが、小さな体なのできっと重くはないだろうと思い、好きなようにさせる。


「終わりましたよ。このままお休みになりますか?」

「ううん。起きるぅ。」


 どのくらいやっていたのかさっぱりだけど、心持ち体が軽くなったような気がするから不思議だ。


「本当にマッサージ上手いんだね~。」

「ありがとうございます。これからも精進していきます。私は昼食の用意を始めますが、ご希望はありますか?」

「ううん。ある材料使って適当に作って。」

「...畏まりました。」


 うーん。休みなく働いているけど良いのだろうか?

 時間的にお昼近くなってきたから仕方ないにしても、午後はもう少しゆったりしよう。


 というよりっ!

 その短パンは何処から調達してきたのっ!?昨日選択した衣服の中にはなかったとおもうのだけど。

 Tシャツは何枚か選んだ記憶があるので、恐らくその中にタンクトップもあったのだろう。

 今、ユウが着ているのはそれだけ。

 ま、まぁ、夏の格好としては間違っていないのだろうけど、久しく薄着異性と接していなかったのでちょっと恥ずかしい。というか目のやり場に困る。


 家ではお父さんしかいなかったし、会社では暑くても作業着着てる人の方が多かったしなぁ。Tシャツの袖まくっている人も、長ズボンの裾をまくっている人も居たけれど、遠目に見るくらいでこんな近場で接しなかったし。

 うーん。これも慣れないといけないのかしら?


『自慢のルイ君でーすっ!可愛いでしょ!?もぅ、みんなに見せびらかしたくて、今日は一緒に出掛けたんですっ!』


 テレビの音声が、きゃいきゃいと落ち着きのない音声を流す。

 視線を向けると、街角の一角でインタビューを受けている少女がいた。

 勿論、マイクを向けているのも、スタジオでニュースを読み上げているのも全員十歳児なのだけど、声音が違う。プロは落ち着いた声音で喋っていたので。


 しかし、『家政ロボット』って子供姿もあったのね。

 私は実利優先で選んだから、そこら辺は意識外にあって見ていなかったなぁ。


 続けてニュースを見ていると、昨日様々な設定をした人と、今日設定した人とでは細かいところで差異が出ているということが分かったらしい。

 『家政ロボット』一つとっても、確固たる性能差があるらしい。


「ユウ?昨日と今日では、そんなに性能差が出るものなの?個体差じゃなくて??」


 ユウが説明してくれた内容に、確か個体差があるようなことを言っていた気がするのだけど。


「えぇ、スタートダッシュ特典ですね。昨日設定を行って、私を引き当てた紗夜様は運がよろしいのですよ。喜んでください。」

「へ、へぇ~。そうなんだぁ~。」


 随分な自信だねぇ、ユウ?

 私には出来ない芸当だ。


 ネットの書き込みには『家政ロボット』のこと以外にも、相続設定をしなかったために家を失った人も居るらしいことが書き込まれていた。怖いことだ。

 知り合いは大丈夫だっただろうか。


「ご飯が出来ました。お召し上がりください。」

「ありがとう。午前忙しくしちゃったから、午後はゆっくりしようね?」

「はっ?あ、いえ、ゆっくりお過ごしください。必要なものがございましたら、お申し付けください。」

「うん?ありがとう。でも、大丈夫だから。」


 食後、私は自室に引っ込んでいつものようにぐぅたら過ごしたのだけど、階下ではガタゴトと音が絶えることはなかった。

 何をやっているのだろうと思ってこっそり見に行ったりもしたのだけど、【オークション】装置を弄っているようだったので、静かに撤退してきた。

 休憩も大事なのだけど、ロボットは疲れ知らずなのだろうか?

 どうやら、どの後も働き詰めだったようだ。お疲れ様です。


 気になって給料の発生はどうなっているのかと聞いてみたところ、国からの派遣なので、当面の報酬は国から支給されるらしい。

 使用期間を過ぎたら無給になるのだとか。えっ?なにそれ!?

 どうやら、『無給で働いでも良い』ご主人様に巡り合えたらそのまま居ついて、思えなかったらチェンジとなるらしい。

 相性もあるけど、試用期間とかあるのね~。ご主人様が拒否して変えることも可能だそうで、その説明をするときだけは少し悲しそうな表情になっていた。

 いや、別に、今のところ『どうしても嫌』という事態には陥っていないので大丈夫だと思うよ?

 そもそも、また新しい『家政ロボット』と一からやり直しとか考えるだけで面倒だし。

 一か月の猶予があるらしいので、そこら辺もおいおい調べていきましょうかね。








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