表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/75

13 冒険の成果

「わふっ!」

「ココ、おかえり~...どうしたの?」


 かさかさ。てってっ。と、音をさせて近寄て来たのはココ。

 その後ろには、倍以上はあるかと言う白い物体。


「わふっ。わふっわふっ。」


 不思議に思って白い物体を観察していると、一生懸命鳴いて説明してくれている。と思うんだけど、残念ながら私には伝わらないのよね。

 そうしている間にココの後ろに居た白い物体が前に出て来て、私の匂いを嗅ぎ始める。

 ユウも止める気配がないので、危険はないのだと思いたい。

 いつかで嗅いでいるのか、結構時間が長い。


「私、そんなに臭い??」

「わぅっ!」

「良い香りはしますよ。」


 えっ、それは同意してるということなのっ!?

 匂うってことよね!?

 良し悪しは別として、変な匂いだしてるってことなのっ!?どうなの!?

 毎日綺麗に洗ってるのにぃぃぃ!!


『ピコッリ。ピコッリ。ピコピコピコッ。ピコッリ。ピコッリ。ピコピコピコッ。』


 突如として、聞いたことのない電子音が鳴り響く。

 初級エリアの【冒険】に時間制限はない。


 何の音かと不思議に思って視界の端に移っているであろうシステムを端からじっくり眺めていくと、点滅している新しいマークを発見した。

 それに気づいたからなのか、視界半分くらいにメッセージが流れる。


『山羊(変異種)は、仲間になりたいと申し出ています。連れ帰りますか? Yes/No』


 しばし、茫然とそのメッセージを見つめた。


「紗夜様?如何致しましたか?」


 びっくりし過ぎて固まってしまったからだろう。しかし、その手にはしっかり握られた釣り竿は健在である。

 心配して声を掛けたユウの顔が、半透明のメッセージの向こうにドアップで入り込む。


「え、あっ、えっと。ココが連れてきたヤギ、連れ帰れるみたいなの。」

「それは凄いですね。流石、紗夜様です。野生化した動物は、草食肉食関係なく人を寄せ付けないものなのですよ。」


 ユウが改めてじっくりとヤギを観察していると、どうやらお腹が膨らんでいたらしく孕んでいるのではないかということだった。

 連れ帰えるなら、獣医に見せた方が良いだろうと助言を頂く。


「えっ、連れ帰っていいものなの?飼育に届け出とか必要ないの??」

「勿論、連れ帰れますよ。届け出は、全てのものに必要になりましたので、他の子達と同じですね。」


 どうやら、知らない間に法律関係の変更が行われるらしい。まだ準備段階の試用期間で、大々的に告知されるのはもう少し先になるのだとか。

 今後、どの敷地に誰が住んでいるのか?を管理するので、人間ロボット動物に関わらず、届け出が必要らしい。

 うちの子たちは、既に届け出ているので、人一人、執事一人、動物六匹の計八人家族なのだとか。


「飼えるかな?ご飯は雑草で良いの?お家必要だよね??」

「大丈夫です。お連れしでも問題ありませんよ。躾も私が請け負いますので。」

「んーーー、連れ帰っちゃおうかっ。」


 ココにじーーーっと見つめられて、ヤギにもじーーーっと見つめられて、結局折れることになった。

 ペットが増えてしまった...。

 初めて【冒険】に来て、得られたものがヤギ一頭って、どうなんだろう?普通なのかな?

 あっ、豚肉の買戻しもあったかぁ。


ーーー 【ステータス】 ーーー

名前:矢野 メル(やの める)

性別:女

年齢:四歳

種族:山羊(変異種)


体力:25

腕力:59

敏捷:65 △20(妊娠中のため)

知力:47

持久:28

耐久:10

魅力:20


所有スキル

 【崖上り/特級】・【頭突き/中級】・【足蹴り/上級】・【出産(妊娠中のみ)】・【庭師】


パッシブ

 【警戒】・【隠密】


称号

 【矢野紗夜家の居候】


行動範囲

 【矢野紗夜家のペット用敷地内】



 メルと命名された山羊(変異種)は、解体した倉庫のあった場所に小屋を建てて、引越しした兎たちと一緒に暮らすことになったのだった。

 意外とステータス値が高いのは、野生の過酷さを生き抜いてきた故なのか。

 

 山羊騒動の間もログは留まるところを知らず、タケとリンが頑張って採取していた模様。

 豚肉を手数料込みで買い戻しても、結構な額の儲けとなった。

 なお、私の釣りでは一匹も釣れなかったが、タケがどうにかして大量の魚をゲットしていたようなので、そちらも数匹買い戻して後日の食卓に並んだ。とても美味しかったよ!


「なんだか、聞いていたより平和なエリアみたいだね?今度は森林に行ってみようか?」

「それも良いですね。昼間に行けばピクニックになりますよ。」

「うん。そうしたら、今日はそろそろ帰ろうか。みんな何処行ったかな??」

「近くに居るようですから、呼べば来るでしょう。帰りますよ!集まってください!」


 マップで見るとユウの言うように近くにはいるようだ。姿が見つけられないのは、夜で見通しが悪いのと、隠密関係に優れているからだと思われる。

 ユウが珍しく大声を出したのでびっくりしたが、結構良い声だすのね~。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ