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10 冒険に行こう!

 『全世界変事』三か月後のビックニュースから、再び世間が沸騰した。

 早速、自身の『家政ロボット』を【冒険】に派遣したと、いくつかのテレビで特集が組まれていたが、いずれも無事に帰ってきた『家政ロボット』はいなかった。

 その殆どが、体の一部を破壊されていたのだ。

 ただ、派遣前に【指令】が出せるらしく、『命を大事に!』を選んでいたお陰なのか全損した『家政ロボット』はいなかったようだ。


「私、『家政ロボット』二人追加しちゃったよっ!」


 告知のあった翌日、出勤した途端に嬉しそうにご報告してくれた深井さん。

 もう、にっこにこだ。


「良かったね~。好みのイケメンにしたの??」

「もちっ!ちょっとずつ変えたつもりだったけど、どの子も似たような感じになっちゃった。」

「そっか~。」

「うへへ。矢野さんは増やしてないの?」

「うん。私はまだやってないね。ちょっと考え中~。」

「やりなよぉ!幸せが三倍だよ、三倍っ!!」


 『にっこにこ』が、『にへらにへら』に変化しつつあるけど、顔大丈夫?崩れて来てるよ?駄目な方にっ!!

 遠出している運転手もいるので全員が出社する訳ではないけれど、聞こえてくる感じでは、来ている大半の人が三人に増やしたようだった。


「柊さんたち『ロボット』も、一人で自活してれば『家政ロボット』って派遣されるの??」


 従業員として働いている『ロボット』たちの中で、私的に一番話しやすい柊さんに話を振ってみた。


「いえ、私たちには派遣されませんね。希望者は、バイト感覚で仲間を募って参加する形になります。」

「うっわ、マジで!?」

「はい。ただ、修理に時間もかかりますので、長期休みでないと厳しいですね。」

「そうなんだ~。どっちが良いのかね~?」

「人それぞれでしょう。これを機に、収入を【冒険】一本に絞る仲間もいるようですから。」

「ん?そういうのは自由なんだ??」

「はい。多少制限はありますが、強制はされませんよ。」


 本当に『ロボット』たちに自由意思があって、それらが尊重される造りになってるのねぇ。

 どんなロジックが組まれているんだろう?

 未来映画の中みたいに、ロボットの反乱っ!とかあったりして??



「あっ、今日請求締めのとこ、いくつかあったんだった。仕事しなきゃっ。」

「あぁんっ、もう少しイケメン談義に花を咲かせたかったっ!でも、仕事するっ!」

「あはは。今日はまだ少ないから。」

「だねっ!」


 世間が如何様に変化しようとも、変わらない日常もあるのさっ。

 心の平穏て、大切よ?



「紗夜様。」


 その夜、食事の後にユウが畏まった様子で話しかけてきた。


「【冒険】への派遣予定はございますか?」

「ないよ。」


 即答しておく。

 ユウが居なくなってしまっては、私の生活が脅かされるので。

 家事の一切を引き受けて貰っているし、十歳児の体ではちょっと厳しいからね。


「あの、説明はお読み頂きましたか?生息域が限定されているとはいえ、溢れ出ることもあります。とても危険なのですよ?」

「うん。だから、世間では、みんなが派遣してるみたいだね。込み過ぎて、派遣に待ち時間が発生しているところもあるとか聞いたけど?」

「えぇ、それは一部の人気あるエリアですね。」


 新しいもの好きの人も多い中、既にすべてのエリア情報が公開されており、真っ先に『美味しい』と思われるエリアは満員御礼となっている。

 どうやら、人数制限が設けられているらしくて、人気のところは順番待ちが発生している。


 逆に不人気のところは、独り立ちした『ロボット』たちが持ち回りで行っているという話しも出ている程だ。

 『ロボット』たちには独自の情報網が構築されているらしく、そこに【冒険】関連が新設されたのだとか。


「不人気のエリアに、初心者用のエリアもあります。」

「うん。美味しくないとか言って、人が集まらないみたいだねぇ。」

「はい。そちらでしたら比較的安全なので、ペットたちを派遣してみませんか?」

「はぁ!?嫌だよ!!」

「何故ですか?」

「怪我とかしたら、どうするの!?」

「完治までの治療は行われますし、初心者用エリアであれば、紗夜様のペットたちは問題ない程度には鍛えてあります。」

「えっ???」


 なに?何て言った?このバカはぁぁあっ!?

 待って、鍛えたって、どういうこと!?

 一体、日々ナニをしてたとっ!?


「一度、彼らの【ステータス】を見て上げてくだださい。頑張っていたのですよ?勿論強制はしておりませんし、適正にあった鍛錬を行っております。」

「...嫌がってないんだよね?」

「はい。楽しんでますね。」

「...怪我はしてない?」

「大丈夫です。危険な状況になる前に、止めていますので。」

「う”ーーーあぁ、もぅ!!......【ステータス】は見るけど、派遣は別問題だからね?」

「はい。どうぞ、よろしくお願いします。」


 えっ?【冒険】させたかったんじゃないの!?

 さっき、そのために鍛えたとか言ってた気がするけどっ!?

 もぉぉぉ!!

 事前情報得てたからって、なんの相談もなくっ!

 勝手に危ないことしてっ!

 そんなに、戦闘狂なのかとっっっ!!

 一度、じっくりと話し合わなければならないかもしれない。








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