04
そこは、暗い水底。
こぽこぽと気泡が水面へと浮かんで行く。
…水底の筈なのに、幾つもの光。
星々の煌き。
不意に大きな光が目の前に浮かび上がった。
そこはいつの間にか雄大な宇宙。
大小様々な星が、あちらこちらで瞬いている。
大きな光の中には、人が居た。
男だ。
『初めまして…星の番人。』
声。
誰かに似ている。
最近聞いた…ああ、セシリア皇太子の声に似てるんだ…。
でも、皇太子じゃない…。
誰…?
『我が名は、ティシュトリヤ。星を司りし者。』
って事は…。
星の神様…って事か?
何で此処に…封印されてるんじゃ…。
『封じられておるのは我が肉体。魂の器。我が魂は、肉体を解放する唯一の【鍵】。』
あ、じゃあ、皇太子の言ってた説は本当なんだ。
『【鍵】の力を求めよ…脆弱なる人の子よ。愛する者の為…。』
愛する?
俺の好きなユキちゃんは、此処には居ないけど?
って、ちょっと、何処行くのさ。
『いずれ、全てが解る。我が力を…【鍵】の力を制御せよ…。』
…超意味不。
【鍵】の力?
星の番人?
愛する者…?
浮かんだ人物に瞬時に引いた。
マジ、有り得ねー。
この俺に限って。
ユキちゃんって可愛らしい彼女も居るのに。
あんな奴が?
砂吐くよ?
何より、俺を元の世界に返してくれ…。
そう思ったのも束の間。
俺は夢の中で再び意識を失ったのだった。