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テスラ国からの召喚状

天使アーリンとの戦闘は、からくも切り抜けることができたが、俺の存在は天界に知られてしまっているようだ。

八百年前のこともあり、天界はメイガスに対してかなり警戒心を持っているみたいだ。


「アーリンはなんとか追い返したけど、今度は仲間を引き連れてやって来るなんてことはあるのか?」

「それはないと思うわよ。天使が大勢やって来たりしたら地上は大騒ぎになってしまうし、天界は基本的に下界には不干渉と言われているわ。」

エルフ族のユーディットは、天使に関する知識もあるようだ。


「そうか。それなら一安心だな。」


「これからどうするの?」


「そうだな。まず俺達自身のレベルアップは不可欠だな。アリーンの使っていた水魔法はとんでもない魔力だったし、次はもっと強い天使がやって来るかもしれない。」


「ではこれまで通りに、魔物狩りで経験値を積んでいくのですか?」


「うーん、それなんだけど。エクレール、書庫にはネビュラ系の魔法はないんだよな?」


「ええ、残念ですが、この書庫にはネビュラ魔法の情報はありません。

タケルさんに提供できるのは、あくまで通常のメイガスが使用する魔法だけです。」

通常の魔法といっても、メイガス仕様なので十分強力なのだが、せっかくネビュラ・メイガスになったのだ。ここはネビュラ系統の魔法を覚えたいところだ。


「ネビュラ系の魔法の情報が無いのでは、タケルさんがネビュラメイガスになった意味がありません。」

セフィアルも同意見のようだが、さてどうしたものか。


俺達が今後の方針に関してあれこれと話し合っていると、銀狼族のベルモンが書庫に飛び込んできた。


「タケル殿、大変です。テスラ国からこんなものが、タケル殿当てに届いています。」

ベルモンが俺に見せたのは赤い封筒だ。銀狼族の里を経由して俺当てに届いたようだ。


「これは手紙か?一体誰からだろう?」

テスラ国に知り合いはいなかったはず、俺が疑問に思いながらも封を開けて見ると一通の手紙が入っている。


『魔法裁判公判召喚状

被告人 タケル


貴殿は魔法貴族ジーモンに対する傷害罪の容疑で告発されています。

つきましては魔法裁判公判のため、テスラ国まで出頭されたし。


テスラ国魔法裁判部』


「これはッ!テスラ国からの召喚状です。相手はタケルさんを告発するつもりです。」

手紙を見たエクレールは驚いている。


「そんな、あれはタケルさんが私を助けるためにやむを得ずしたことで、タケルさんには罪はないはずです」

「向こうはそうは思っていないようだな。」

「納得できません。そもそも先に手を出してきたのは、あちらの貴族ではないですか。」

セフィアルはいつなく怒っている。自分を手に入れようとしてパーティーに危害を加えたジーモンを許せないのだろう。


「それでどうするの?召喚には応じるの?」


「うーん。こんな手紙は無視してしまうのが、一番じゃないか?

俺達は別にテスラ国の国民というわけじゃない。召喚状に従う義務はないはずだろ。」


「だけど令状が来たということは、この書庫の場所を知られてしまったということです。」


「放っておいたら、俺を捕まえに兵隊を送り込んで来たりするのか?」


「どうでしょうね。魔素の濃いこの森で活動できる者は限られていますし、こんな森の奥深くまで、わざわざ兵を派遣したりするとは思えません。」


「でもつい先ほど天使に襲われたばかりです。天界に目をつけられて、いつまた襲われるかも分からない時に、テスラ国まで敵に回すのはどう考えてもムリがあります。」

セフィアルは事態が深刻化したことで、顔を青くしている。


「やれやれ、どうしたもんかな」

まさに前門の虎、後門の狼といったところか。天界とテスラ国、両者を同時に敵に回して切り抜けられるとは思えない。


「いいじゃない。乗り込んでやりましょうよ。」

「乗り込むって、テスラ国にか?」

「そうよ。」

「おいおい、無茶言うなよ。相手は魔法貴族だぞ。」

「召喚状には魔法裁判と書いてあるわ。裁判なら双方の言い分を聞く必要があるはずよ。」

「いくらこちらの意見を言ったって、相手は魔法貴族だぞ。公平な裁判なんて受けられるのか?」

「魔法裁判はテスラ王の御前で公開で行われるの。いくらジーモンが魔法貴族でも好き勝手はできないはずよ。」

「そうは言ってもなぁ・・・。」

「ユーディットさんの意見には一理あると思います。このままここにいたのでは、いつまた天使たちに襲われるか分かりません。」それならいっその事、テスラ国に入り込んでしまえば、少なくとも天使はタケルさんに手は出せないでしょう。」

俺が考え込んでいるとエクレールも、ユーディットの意見に賛同してくる。


「そうね。天界とテスラ国の関係は分からないけど、天使が人族の町で暴れたなんてことはいままでなかったはずよ。」

確かに町では天使は目立ってしまい行動できないだろう。それに先ほどアーリンが使ったような強力な魔法は人の多い町では使えない。


「だけど、テスラ国に乗り込んだとしても、裁判で負けたら意味ないじゃないか。」

「それなんだけど。貴族と平民、明らかに身分に差がある両者がもめて、裁判でも決まらないときには、ある方法で決着をつけるのよ。」

「ある方法?」

「ええ、それはね・・・」

ユーディットの説明を聞いて、俺達は召喚に応じてテスラ国入りすることを決断した。


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