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魔法王国からの帰還

魔法貴族との大きなトラブルを乗り越えて、なんとか宿に帰宅した俺は最初にしたことといえば・・・

荷造りだ。


先ほどは国家とでも戦うなどと格好の良いことを言ったが、実際問題として国相手に戦えるわけがない。


「タケルさん・・・」

「タケル、あなた、あれだけカッコ良く啖呵を切っておいてそれはないんじゃない。私だってちょっとドキッとしたくらいですもの。そのまま決めていればセフィアルなんて完全に堕ちてたわよ。」

「お、堕ちてません。」


大慌てで荷物を積める俺を見て、ユーディットがジト眼をしている。

セフィアルは少し哀しそうな目をしているが、違うぞ。これは逃げるのではない。

そう、戦略的撤退というやつだ。

三十六計逃げるに如かず、撤退も重要な戦略なのである。


大慌てで荷造りを終えた俺達は、急いで書庫へと戻ることにした。

ぶっちゃけメイガスの力を取り戻した俺に、もうこの国で用はないのだ。

書庫のある場所は魔の森の奥深く、あのバカ貴族もまさかそこまでは追ってこれないだろう。


王都に来た時とは違い、馬車ではなく徒歩で移動する。

往路は目立たないように乗り合い馬車で移動したが、今はお尋ね者にされている可能性がある。

一般に使われている馬車には、報告が来ているかもしれない。


それに森で鍛えた俺達は徒歩で移動した方が速いのだ。追手が来る前に、できるだけ早く国境を越えたい。

ちゃっかりユーディットもついて来ているが、彼女にはそれなり世話になったので追い返せない。


「ねえ、タケル。どこへ向かうつもりなの?」

「まずは急いでこの国を出て、魔の森に向かう。そこに俺達の住んでいる所があるんだ。」

「ふうん、魔の森に住むなんて、あなた本当に変わっているわね。

それにさっきのおデブに使った魔法、とんでもなかったわよ。あれは何なのよ。」


そうダークマターのエネルギーを使用したネビュラ・スパイラルは、俺が今までつかって来た魔法とは全く異質な物だった。

それに曖昧な意識の中、宇宙空間のような場所で出会った黒髪の女性は誰だったのだろう。


「それについても、書庫に着いたら説明するよ。今は逃げるのが先だ。」

「書庫ねえ。」

色々と疑問はあるが、今はあれこれと考えている場合ではない。ユーディットは不満顔だったが、ひとまずは我慢してくれたようだ。


無事にテスラ国を出た俺達は、わずかな休憩だけで魔の森を抜けて無事に拠点であるメイガスの大書庫まで戻ることができた。


「なッ、なんなの、この建物はッ?!魔の森の中にこんな大きな建物があるなんて・・・。こんな所に住んでいるなんて、アナタ一体何者なのッ?!」

ユーディットは初めて見る書庫の大きさに仰天しているが、まあ森の中にこんな建物があればそうなるのも無理はない。



「タケルさん、お帰りなさい。その様子では無事、魔力を取り戻せたようですね。」

書庫に入ると俺達の帰還を待っていたエクレールが、温かく迎えてくれる。


「見慣れない方が、ご一緒しているようですが」

エクレールはキョロキョロと周りを見回して、挙動不審な動きをしているユーディットに眼を止める。


「彼女はユーディット、魔法王国で世話になったんだ。」

「そうですか。エルフの方であれば、魔法にはお詳しいのでしょう。ユーディットさん、テスラ国ではタケルさんがお世話になりました。」

むむ、その挨拶は微妙に引っかかるものを感じなくもないが、エクレールは見た目は少女とはいえ、実質的には俺の保護者と言える存在だ。やむを得ないだろう。


「エクレールだったわね。この建物は何なの?こんな森の奥地にあるなんて、どうしてなの?」

「この施設はメイガスの大書庫と呼ばれています。」

一方、ユーディットはエクレール相手でも通常運転だ。バンバン突っ込んで思ったことを聞いてくる。


「メイガスですって?!どうことなの?」

「ああ、ユーディットにはまだ言ってなかったな。俺の職業クラスはメイガス、今回魔力を取り戻したからネビュラ・メイガスが、俺の新しいクラスだな。」

「メイガスを名乗るなんて、タケル、あなた本気なの?!」

「ああ、何か問題でもあるのか?」

俺がメイガスだと聞いて、エクレールはかなり興奮している。どうやら何か理由があるらしい。


「あなた、メイガスの過去については聞いているの?」

「メイガスの過去?いや初めて聞く話だな。」

ユーディットはエクレールを鋭い眼光で睨みつける。いつも能天気な彼女とは思えない形相だ。


「そうですね。いつかはお話しなければならないと思っていました。

タケルさんも魔力を取り戻したことですし、これを機会にお話ししておきましょう。」

「話しておくって、何を?」

ため息をつきながらもエクレールは、真剣な目で俺を見つめた。


「過去にメイガスが犯した大罪についてです。」

「大罪?」

「そうです。今から八百年前に、メイガスは許さざれる大きな罪を犯したのです。」


エクレールはこれまで秘密にしてきたメイガスの過去について語り始めた。



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