魔法王国王立図書館
突然現れて勝手に居着いたエルフ娘のユーディットを加えて、俺達は今後の行動について話う合うことにした。
「魔法貴族があそこまで威張っているとは思わなかった。エクレールの言っていた通り、この魔法王国は面倒なところみたいだ。」
「ええ、お借りした魔法のフードも、魔法貴族にはあまり効果がないようですし。」
相手の意識を逸らす効果のあるフードも魔法貴族には通じない、それどころか魔法が付与されていることでかえって目立ってしまうようだ。
「タケル、あなたは魔法貴族ではないようね。」
「ああ、俺はただの平民だ」
「銀狼族の眷属を二人も連れて、そのうえ結晶獣までいるなんて。どんな平民よ。」
「詳しくは言えないが、色々と理由があるんだよ。」
確かにただの平民と言うには無理があるが、出会ったばかりのユーディットに全てを説明する訳にはいかない。
「まあいいわ。それであなた達が王都に来た目的は何なの?」
「俺達は王都にある王立図書館で調べたいことがあるんだ。」
それでも一緒に行動するなら、本来の目的は話しておいた方が良いだろう。
「フウン、王立図書館ねぇ、どんなことを調べたいの?」
「それは、ネビュラという魔法に関することを知りたいんだ。」
「ネビュラ・・・聞いたことのない言葉ね。星魔法の系統かしら?」
おお、的確に要点をついてくる。このエルフ娘が魔法に詳しいというのは本当のようだ。
「でもどうやって図書館に入るつもりなの、あそこはただの平民が入館できるような場所じゃないわよ。」
「やっぱりそうなのか、何とかして入館できる方法を探さないとな。」
「でも、どうしたらいいのでしょう。私達には王都に何のつてもありませんし。」
王都まではやって来たものの、王立図書館に入る方法までは考えていなかった。
この国の身分差別は思った以上に激しいようだし、平民と亜人しかいない俺達のパーティーでは入館は許されそうにもない。
「いいわ、なら私が入館許可を取ってあげるわ」
アレコレと悩んでいる俺達を見て、ユーディットがとんでもないことを言い出した。
「そんなことが出来るのか?」
「ここは魔法王国よ。魔術に長けたエルフ族は色々と厚遇が受けられるのよ。」
元来、人よりもエルフの方が魔術には長じている。魔法王国テスラでは魔法文化向上の意味も含めて、エルフとは友好関係を維持している。
それゆえ王都ではエルフには、ある種の特権が与えられているとのことだ。
ユーディットに案内されて俺達は、王立図書館までやって来た。
大陸でも随一の図書館というだけはある、石造りの巨大な建物だ。
前方から見ると、整った横長の長方形で中央に入り口があり、一定間隔で模様のように窓が開けられている。
「スゴイ、お城みたいな建物だよ。」
「これが全部図書館だとしたら、一体何冊の本が置いてあるのでしょう。」
レクイルとセフィアルは、図書館のあまりの大きさに目を丸くしている。
「入館許可が取れたわよ。あなた達は私の従者ということにしておいたから、私の言う事を聞かなくてはダメよ。」
あっさりと入館許可を取ってくれたユーディットが、茶化したように言う。
いきなり従者扱いは不満だが、ここはユーディットに主導権がある、大人しく従うしかなさそうだ。
「セフィアルとレクイルもか?」
「そうよ。あなた達は全員、魔術師見習いということにしてあるわ。」
「魔術師見習いですか。」
セフィアルはどことなく嬉しそうだ。
図書館内は吹き抜けの構造になっていて、中央の閲覧場所を囲む本棚が天井まで伸びていて、ぎっしりと本で埋め尽くされている。
「ここから探すのか、骨が折れそうだな。」
「セフィアルとレクイルは、文字は読めるの?」
「大丈夫です。子供の頃に母から教わっていますから」
「私も読めるよ。」
「そう、優秀なのね。」
この世界では必ずしも識字率は高くない。文字の読めない人もたくさんいる。
族長の娘だったセフィアルとレクイルは、しっかりした教育を受けてきたようだ。
それから俺達は手分けして膨大な本の中から、ネビュラもしくはそれに類する言葉について書かれている物を探し始めた。
やっと10万字を超えることができました。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
とはいえ、物語は全然進んでない、序盤から中盤くらいかな、自分的には。
これからもよろしくお願いします。




