表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/75

ゴブリンシティ その2

里に侵入した大量のゴブリン達は一旦無視して、敵の親玉を先に倒すことにした俺達は、後方に控えていた大型ゴブリンの一団へと向かって行く。


「グラビティ・コントロール」

グラビティ・コントロールは莫大な魔力を消費する強力なアステル系魔法だが、敵・味方の区別なく魔法の影響を受けてしまう。

重力操作下で影響を受けないのは、使用者である俺自身と眷属のセフィアルとレクイルそれにスノウだけ。

それゆえこの魔法を使うときは、味方から離れている必要がある。


超重力の影響でほとんどのゴブリン共は、地面に突っ伏してして動けなくなる。

それでも最後衛に控えていた、子供くらいの大きさしかない普通のゴブリンより遥かに大きくて体格もいいゴブリン達の一団が、魔法に耐えながらゆっくりとこちらに向かって来た。


そのなかでも真ん中でガードされているゴブリンは普通ではない。

軽く2メートル以上はあって筋骨隆々、一見するとオーガと見間違うほどだ。


「あれはゴブリン・・・なのか?」

「噂に聞くゴブリンジェネラルかもしれません。巨大な群れを統率するために進化したと言われています。」


とはいえここで引くわけにはいかない。


「行きます」

セフィアルが飛び出した。先頭のゴブリンへと向かっていく。


さすがにスピードではセフィアルの方が上だが、彼女の攻撃は防具に遮られて、敵にダメージを与えていない。

それもそのはず彼女の扱う短剣は、粗悪な物ではないがごく普通の短剣である。

それに対してゴブリンジェネラルとその護衛達の装備は、鎧といい兜といい剣・盾といい見るからに高級品だ。

特にジェネラルの装備は一級品だ。明らかに魔力を帯びた青白い光を帯びている。


<魔物の方が、俺達より装備が良いなんてありかよ?!>

俺達より魔物の方が金持ちという事実に、俺は地味にショックを受けた。

こうなればアイツらの装備を奪って金に換えるしかない。

満たされない不満が、なぜか強盗のような発想を引き出してしまう。


「セフィアル、ライトニング・チャージを使え。スノウ、ビリビリ電撃だ。」

「ハイッ!」

「ウォン!」


「ライトニング・ストライク」

セフィアルがライトニング・チャージを発動したのに続いて、俺は雷雲を召喚、稲妻を地上に落とす。

スノウも額の結晶石からビリビリ電撃を発生させる。


俺とスノウの電撃が、セフィアルを直撃する。


誤爆ではない。

俺とスノウの電撃を受け、ライトニング・チャージで帯電状態の彼女の電圧が、数倍以上に跳ね上がる。

その状態のままセフィアルが、護衛のゴブリンに短剣ダガーで一撃を与えると。

バァァァンという音と同時に、セフィアルを覆っていた電気が一瞬で敵へと流れ込む。

黒焦げになったゴブリンは、固まったまま横倒しに崩れた。


「タケルさん。もう一度お願いします。スノウも」

「よし」「ウォン」

セフィアルは再び帯電状態になると、さらに護衛の大型ゴブリンに突進、一撃で仕留める。


怯んだ護衛達を見てセフィアルは、ゴブリン・ジェネラルに向かって突撃する。

同じように鎧の上から感電させるが、ゴブリン・ジェネラルは一時グラついたが耐えて反撃してくる。


何か呪文のような物を唱えると、全身が真っ赤に燃え上がった。

グラビティ・コントロールの影響下にも関わらず、高速で動き出す。

魔法の影響を抜け出したようだ。


「闘技まで使えるのか。セフィアル、一旦離れろ!」

俺の指示でセフィアルが距離を取ると、「アイス・バレット」で敵を氷まみれにして動きを鈍らせる。


<あれは高級品だな、大きすぎて俺やセフィアルには合わないだろうし、奪って金に換えたらいくらくらいになるかな>

凍らされても輝きを失わない敵の鎧を見て、戦闘中にも関わらず金勘定を始めてしまうが、相手はなかなかの強敵だ。


敏捷性の高いセフィアルを捉えるのは無理と思ったのか、ゴブリン・ジェネラルはターゲットを俺に替えてきた。


「メテオ・サークル」

近づかれてはたまらない。俺はメテオ・サークルの隕石を召喚すると、敵にぶつける。

大質量の隕石を受けてさしものジェネラルもフラフラし始めた。


「それッ!もう一丁」

2つ目のメテオを叩きつけるとひっくり返って完全に動きが止まった。


「ヤァッ!」

そこに再度、電力をチャージしたセフィアルが一撃、ゴブリン・ジェネラルを討伐した。


ジェネラルが倒れると残っていたゴブリン達は大慌てで退散していった。


早速、俺は倒したジェネラルや護衛のゴブリン達が、装備していた高そうな剣や鎧を物色し始めた。


「へへへ、こいつは金になりそうだ」

「タケルさん・・・」

「タケルお兄ちゃん・・・」


もはやセリフまで強盗と変わらないところまで堕ちてしまった俺を見て、セフィアルとレクイルは哀しそうな顔をする。

そうまるで駄目な旦那を、陰からそっと見守る妻のような表情だ。


いやいやこれはあくまで演技だからね。本気じゃないからね。


何はともあれ、大群で攻めてきたのゴブリンを撃退した俺のレベルは33まで上昇、セフィアルは28、怪我人の治療にあたったレクイルのレベルも上がって13になった。


前回、中途半端になってしまいましたが、ひと区切りです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ