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救出された銀狼族の人々

オーガの戦士に続いて、裏切り者のバルナドも撃退した。

狐族の奴隷商は逃げてしまったので、邪魔者のいなくなった俺達は、

荷馬車にに閉じ込められた銀狼族の人達を、助け出すことができた。


「セフィアルよ。本当にすまなかった。」

「レクイルも許しておくれ、私らが臆病だったばかりにひどい仕打ちをしてしまって。」


救助された里の者達は、口々にセフィアルとレクイルに詫びている。

彼らにとってもバルナドの方針には不満があったが、それを口にできなかったのだろう。


バルナドは里を永久追放の処分となった。

少し甘い気もするが、その場で死刑とかになったとしたら、それはそれで気が滅入る。


ぼろぼろになったオーガ族の戦士を連れて、その場を去るバルナド。

去る間際に俺を見た目は、憤りに満ちていたが、このまま大人しく引いてくれるといいのだが。



騒動が一段落してきたところで、部族の人々は今度は俺に目を向けてきた。

「ところでセフィアル。この人族の若者は?」


「この人はタケルさんです。森で私たち姉妹を助けてくださった方です。

今回、里の皆を救出できたのもタケルさんの助力のおかげです。」


「おお、そうでしたか。タケル殿、里の皆を代表してお礼を申し上げます。」

「タケル殿、ありがとうございました。」


長老格の年老いた男が俺に感謝を示すと、里の人達も続いて俺に礼を言ってくる。

沢山の人に囲まれて礼を言われるのは初めてだ。なんだか照れ臭いが、悪くはない。



「それに私とレクイルは、タケルさんを主として眷属契約を結びました。」


「えぇぇッ!?」

突然のセフィアルの眷属発言に、助け出された里の皆が驚愕の声を上げた。


それはそうだろう銀狼族は誇り高い部族と言われているのに、族長の娘がいつの間にか人族の眷属になっていたら驚くのは当然だ。

しかし、ここでその爆弾を落とすとは、さすがセフィアル、空気は読んでいない。


「この人は私たちの主にふさわしい方です。

それに皆も見たでしょうタケルさんが、オーガの戦士を撃退するところを。」


「確かに人族とは思えないほど強力で、見たこともない魔法を使っておられたな。」

「ああ、俺は魔法には詳しくないが、それでもオーガをぶっ飛ばすなんて普通じゃないと分かる」


俺とオーガの戦いを見ていたので、セフィアルの爆弾発言も、さほど問題視されずに済んだようだ。



「タケルさんは特別な人にのみ許された、メイガスというクラスに就いています。」


「メイガスですか?聞いたことがあるような、ないような。」


「魔術師の最高峰として敬われていると聞いています。」


魔術師の最高峰ってエクレールの奴、メイガスについて一体どんな説明をしたんだよ。

INTインテリジェンス至上主義で、メイガス大好きっ娘のエクレールの話を、

そのまま受け取るセフィアルもどうかと思うが。


「おお、それは凄い!」

銀狼族の面々も疑うことなく受け止めている。

なんだが素直な人達なんだよね。



「そういうことであれば我々もタケル殿のお世話になろうではないか。」

<ハイ?>

長老格のセガルデが、突如なにやらおかしなことを言い出した。


「里はあの通り破壊されてしまいました。復興するにもゼロから再建するのも同然です。

それに今回の件で、オーガ族に里の場所を知られてしまいました。

同じ場所に住み続けることはできません。」

確かにあの場所に住んでいたらいつまたオーガ共に襲われるか分からない。


「ですのでここは思い切って里を移転しようと思うのです。

そこでセフィアルとレクイルの主であるタケル殿に、我々もついて行こうという訳です。」


<ついて行こうって簡単に言われても困るんですけど>

とはいえこのまま放って置くわけにもいかない。


俺が考え込んでいると、

「タケルさん、私からもお願いします。」

「タケルお兄ちゃん、お願いします。」


セフィアルとレクイルにお願いされては断れない。

まあ彼女達も仲間の銀狼族が、近くにいる方が嬉しいだろう。


こうして俺たちは出発したときには考えもしなかった大所帯となって、書庫に戻ることとなったのだった。




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