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銀狼族の里への帰還 その2

今回は、セフィアルの回想シーンです。

「妹を生贄に捧げるッ!?」


族長代理を務めるバルナドの言葉を聞いて、私は耳を疑った。

大切な妹を生贄になどと、何を馬鹿な事を言い出すのだろうこの男は。

巫女の天職を持ってレクイルが生まれたとき、あれだけ部族全体で祝福したではないか。


「プラチナム・ウルフ様が現れたのだ。」

「プラチナム・ウルフ?」

「そうだ、近隣の森に現れたというプラチナム・ウルフ様のご加護を得るために、お前の妹レクイルが必要なのだ。」

「そんな・・・」


プラチナム・ウルフ・・・

私たち銀狼族が、聖獣とあがめる存在。

私達の部族は、プラチナム・ウルフを銀狼族の祖先として信仰している。


だからといって銀狼族とプラチナム・ウルフとの間に何ら交流があるわけではない。

高い理性を持っていると言われているが、相手は魔物。意思疎通などできはしない。

こちらが勝手に崇め奉っているというのが現実だ。


他の狼族では上位ウルフ系の魔物にそのような儀式を行うところもあると効いているが、誇り高い銀狼族にそのような習慣はなかったはずだ。


そもそもあれだけ強大な力を持つ存在が、生贄など必要とするだろうか?

餌となる魔物なら森にいくらでもいるではないか。


とはいえ、里の者達の心配も分かる

もしプラチナム・ウルフが私達を獲物と見て襲いかかってきたとしたら、こんな小さな部族は一夜で全滅してしまうだろう。


だからといって年端も行かぬ妹を生贄に?

認められるわけがない。



族長であった父さんがいなくなりバルナドが族長代理となってから、部族全体がおかしくなり始めた。

今から考えてみれば、半年ほど前に父さんと母さんが行方不明になった時もそうだった。

小パーティーで狩りに出ていた父と母、その中にはバルナドも含まれていた。

バルナドは狩りの最中に崖から転落したと言っていたが、あの辺りにはさほど険しい所はなかったはず。

狩りの名手である二人が、そんなミスをするだろうか。



私が断固として反対を叫んだにもかかわらず、

レクイルを生贄に捧げるかどうかを決める会合が、部族内で開かれることになってしまった。

いつもは私達姉妹に良くしてくれる者達も、バルナドの顔色を恐れて、口を閉ざしている。

部族の支持を得られなかった私の反対は認められなかった。


結局は最後は力で決めるしかない。

私はバルナドに決闘を挑んだ。

この件を止めさせるには、提案した本人を決闘で打ち負かすしかないからだ。


バルナドは決して弱い相手ではない。

それどころか里では、行方不明になった父さん母さんに次ぐ使い手だろう。

だけど私だって、父さん母さんの娘だ。部族の若手では一番といわれてきた。

レクイルの命がかかっているのだ。絶対に負けられない。


・・・私は勝てなかった。


この時ほど自分の非力さを悔やんだことはない。


いくら部族のしきたりである決闘で決まったことでも受け入れるわけにはいかない。

卑怯と言われてもかまわない。

自分の命であれば、差し出しても構わない。

でも妹は違う。

ここで妹を守れなければ、行方不明になった父さんと母さんに顔向けできない。

とにかくレクイルだけは絶対に守らなくては。


その夜、私は妹を連れて里を抜け出した。


いかがだったでしょうか?

ちょっと読みづらかったかもしれません。

もう少し会話を入れたかったのですが。

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