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犬ですよ?  作者: たけす
氷の国ヒュンメル編
41/45

決着

ヒュンメル編ラストです。

期間が空いてしまったりとご迷惑をお掛けしました

読んで頂けると嬉しいです

勿論評価や感想も受け付けております。

宜しくお願いします!

「ギャーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」


鬼の姿のまま叫ぶドルジ・ナスは一瞬意識を失いかけたが、何とか持ち堪え咄嗟に思った。



犬だ!犬だけはダメだ!!!!と。



身体の芯から震え上がりこのままでは食べられてしまう。そう、アンの様に!!


速く逃げなくては!こんな大きな鬼の姿じゃ見つかってしまう!どうしよう!どうしよう!どうしよう!



意識を集中して元のハエの姿に戻る事をイメージした。



シュン。



兎に角、あの犬からは逃げなくては!絶対に犬だけはダメだ!もはやトラウマから逃げられないドルジ・ナスは心の中で敗北を認め逃げることを選択した。

より速くより遠くまで。

そしてドルジ・ナスの口からは自然とこう叫びながら。



「ごめんなさいいいいいいいい!!!!!!」




☆★☆★☆


「ですよねー」


そう言ってポチはこんな強そうな鬼を相手にヘルを守らないといけないのかと冷や汗をかいていた。


ロスもいないこの状態でやれるのだろうか?

いや、状態異常を撒き散らすコイツを相手に他のみんなを巻き込むわけにはいかない!

そう思い回りの動物達に目をやった。


「って、いねええええええ!」



一瞬驚いたがあれが全てヘルの人形なんだったらそういうことかと思い直した。

なら、まわりを気にする事もないなと自分にできる事をやろうと腹を括り鬼の方を向く。


「って、いねええええええええ!!!!!」



その場にポツンと残されるポチであった。

雪山の乾いた風が吹いていた。


☆★☆★☆★


その後俺はヘルを回復して魔力を少し分けれるか試してみたら出来たので分けてあげるとヘルは意識を取り戻し安心する。


「ん、んん、ポチさん。」


「あ、気がついたか。よかった!」


「ドルジ・ナスは?勝ったの?」


そういや気を失っていたからヘルもわからないのか。

そう思いながら答える。


「分からん。」


「へ?」


キョトンとした顔で俺を見るヘル。


「いや、空間が消えて目の前に鬼が立っててそれからー、ああ、咆哮してきてすごい衝撃だったから手でガードして顔あげたらいなかったんだよ。」


それを聞いてヘルは晴れたヒュンメルの空を見上げて


「そうだったんだ。でもポチさんが来たからだろうね。何年振りなんだろうね。ヒュンメルの空が晴れるなんて。」


そう、ずっと曇り吹雪だったヒュンメルは今快晴だった。


それからヘルと村に戻りフェンリルとヨルムンガンドと合流して経緯を説明したら2人にもキョトンとされた。


「「ポチ殿が来たからだろうな!」」


2人揃ってそう言って笑っていた。


「兄弟揃って同じ事言うな。全く。」


鉄の森の住民もヒュンメルが晴れた事でドルジ・ナスの脅威が無くなった事が分かったのだろう、次々と寄ってきていつしか宴が始まり夜通しドンチャン騒ぎになった。


ヘルは疲れたのかフェンリルを枕に眠っている。

ドンチャン騒ぎも収まりみんな酔い潰れて寝てしまったんだな。


「わしの、、、レッドが。うううぅ。」


ヨルムンガンドごめん。

寝言を言いながら涙を流すヨルムンガンドに心の中で謝り俺はみんなが寝ているうちに次の街に行こうと起き上がる。


「ふっと現れて、ふっと去るんだな。そんなに急がなくてもいいだろ。」


「何だ、フェンリル起きてたのか。」


そう言われて腰をおろすと何も言わずに2人とも焚き火の火が揺れるのを眺めていた。


「ヘルはな、実は魔界を統べる王族の末裔なんだよ。


「なんだよ。いきなり。」


「まぁ、今は魔界も不安定な時期だからな、こうやってこっちの世界で覚醒の時を待ちながら俺達は言わば護衛だな。」


「そうなのか。あんたらも大変なんだな。まぁ、俺には魔界とかピンと来ないんだがな。ハハハ。」


「でも、今回の件本当にありがとう。この恩はいつか必ず返させて貰う。」


そう言ってフェンリルは小さい球を俺に渡した。


「これは?」


「まぁ、困ったらそいつに念じろ。」


そう言って星空を見て深く息を吸い込んだ。

当たり前の事が出来る喜びを噛みしめながら。



俺はフェンリルに別れを告げてヒュンメルを後にした。

またここを通りかかる時は手土産でも持ってくるかな。





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