蘇る記憶の中で
今回はドルジ・ナス視点です
楽しんで頂けると嬉しいです。
宜しくお願いします。
「キュフフフフフ!アーハハハハハ!」
鬼人化したドルジ・ナスの横薙ぎの一閃はヘルをしっかりと捉えてヘルは吹き飛ばされた。
妙な技を使う少女に恐怖すら感じもはやこれしか無いと鬼人化の道を選んだ。それは間違いでは無かったと思う気持ちと恐怖に打ち勝った事に心の奥から笑いが込み上げてきた。
「鬼人になっても意識は無くならないみたいでよかったわ。キュフフフフフ、こうしてまた穢れを頂くことが出来るのだから。」
そう言いながら鬼人化したドルジ・ナスはドスドスと足音を響かせながら横たわるヘルの息の根を止めるためにゆっくりと歩き出す。
「ん?」
何かヘルの向こう側の薄暗い所に何かがぼんやり見える。何か動物の様な、しかしながらヘルが吹き飛ばされ意識を失ったと同時に森の動物達も消えたはず、恐らくはヘルが創り出したもの達だったと思っていた。
しかし一つだけ影がある。
アレはなんだろうか。懐かしい。
警戒して足を止めたドルジ・ナスの脳裏に走馬灯の如く湧き上がる昔の記憶。
そう、あれはまだドルジ・ナスが若く小さい頃。
魔界で生まれたドルジ・ナスは元気で明るくお天馬な少女だった。
「キュフフフフフ!楽しい!もっと色んなところを飛んで見たいな、アンもっと遠くに行こうよ!」
ドルジ・ナスは幼なじみのアンに元気良くそう言って手を引いて空中を旋回して見せた。
「アワワワ、ナス危ないよ。あんまり遠くには行くなってお母さんから言われてるしダメだよ。」
大人しい性格のアンはドルジ・ナスに答えた。
「キュフフフフフ、あら男の子が何言ってるのよ!だらしないわね。そんな様子じゃ魔王にだってならないんだから!それとも遠くに行くのが怖い?」
煽られたアンはドルジ・ナスの悪戯な笑い顔につい、
「そんなこと無いさ!怖いなんて思うもんか。魔界の果てでも行ってやるさ!」
「キュフフフフフ、じゃあ決まりね。明日の朝あの山の向こう側まで行きましょう。いいわね!じゃあまた明日。」
そう言われると断る事も出来ずアンは首を縦に振るしか無かった。
そう言ってアンと別れたドルジ・ナスは明日アンをデートに誘った事を思い返して嬉しさのあまり飛ぶスピードは最高速度に達していた。
そして翌朝アンとドルジ・ナスは山の向こう側までスイスイと飛び楽しさのあまり時間を忘れて遊んでいた。
「キュフフフフフ!楽しいね、アン!やっぱり来てよかったね!」
「そうだね、ナス別に危なくなんて無かったね!こんな事ならもっと早く来てれば良かったよ!」
そして時間を忘れ遊ぶ2人に魔界の闇は刻一刻と迫り、
すっかり辺りは暗くなる。
「キュフフフフフ!あー楽しかった!暗くなっちゃったし帰ろっか。あれ?アン?どこ行ったの?」
ふと気付くとアンの姿が見当たらず辺りを飛び回り探す。
「アンー!そろそろ帰ろー。どこにいるのー?隠れてないで出てきてー。」
そう叫びながらだんだんと見つからないアンを探すドルジ・ナスは焦りと不安で押し潰されそうになりながら辺りを飛びまわり、暗がりの先に何が蠢いているのを見つけた。
「もう、アンったら、そこにいたの?もう帰ろう。」
ほっとして声を掛けながら暗がりに近づいて行くドルジ・ナスの目に入ったのはアンの胴体から下を千切られ食べられている光景だった。
「ヒィ!!!!」
声にもならない声を発しながらドルジ・ナスは足を止めて震えるしか無かった。
そしてそれはドルジ・ナスの脳裏にトラウマになる衝撃を生む。そしてそれはドルジ・ナスにとって禁忌になる。
アンが加えられている暗がりに目が慣れてドルジ・ナスが見たのは恐ろしい頭が三つある犬の姿だった。
その光景を見てドルジ・ナスは気を失い気がついた時には家にいた。どうやって帰ったかもわからない。
しかしあの恐ろしい犬の化け物の事はどうやっても忘れる事は出来ず思い出さない様するのがやっとだった。
あの暗がりに見えるものを見て思い出し重なった記憶。
鬼人化したドルジ・ナスは我に返り暗がりに目が慣れて見えた先に犬がいた。
「ギャーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」




