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犬ですよ?  作者: たけす
氷の国ヒュンメル編
37/45

片鱗

少し間があきましたが、再開します!

宜しくお願いします!


「兄者!」


振り返るとそこには小さな少女と森の動物達がいた。

その戦場に似つかわしく無い光景に手が止まってしまった。


「へ、ヘルか。すまない。ドゥルジ・ナスの吹雪をまともに食らい過ぎたようだ。・・・・ガハッ!!」


「兄者!無理しないで!一先ずここに避難して!」


そう言って城門の少し手前にある広めのスペースに歩いて行き手をかざした。


「クリスタルパック」


ヘルの手から透明のプレハブ小屋が出てきた。


「な!?なんだそりゃ?」


「へ、ヘルは魔界の空間を司る血を引いている。」


「ま、魔界? また俺にとっては現実味の無い話が出てきたな。またなんで・・・」


そう聞こうとした時、


「ガハッ!ガハッ!」


フェンリルは血を吐いた。


「おい!大丈夫か!? 一先ずその中に入ろう!」


「他の者も早く入って! これ以上この綿雪に触れないで!」


「「「「ありがとうございます。 ヘル様」」」」


全員が入りきったのを確認し、俺はもう一度キュアーレルをかけていく。


さっきは治らなかった毒や感染症が治ったいく。


「え? ポチさん、それ何してるの?」


と、目を丸くしながらヘルが聞いてくる。


「? 感染したのを治してるんだよ。 よし!もう治ったぞ! キュアーレル!」


俺は横たわるフェンリルの軍団にキュアーレルをかけていき治していく。


「凄い、今迄誰も治せなかったのに。 またみんな死んでいくのかって、諦めてた。 兄者もし、し、じんじょゔんじゃないがっで! 」


泣き出してしまったヘルの頭を撫でて、


「大丈夫だ。 この感染症なら治る。 だが、この空間の外だと治っても次の瞬間感染しやがる。 厄介な魔法だ。」


「じゃあ、ここから先はアタシ達だけでいくしか無いね。」


「ヘルよ。 すまないが、俺たちが行くと足手纏いになるだろう。 」


そうフェンリルが言う。


「おいおい、フェンリル、こんな小さな子1人に行かせるのかよ。なんか知らんが俺も感染しないみたいだから行くよ。」


「そうか、すまないがヘルを頼む。あとヨルムンガンドの気配が消えた。俺たちはあっちを確認してくる。

それとな、ポチ殿さっきも言ったが、ヘルは魔界の空間を司る血を引いている。巻き込まれるなよ。フフ。」


「あー、魔界とか色々聞きたいことだらけだから、後で絶対教えろよな! 死ぬなよ!」


「ああ、ポチ殿も死なないように! ヘルを頼む!」


「兄者! ヨル兄を助けて! お願い! 」


そう言ってフェンリル達はヨルムンガンド達が戦っていた方に走って行った。





フェンリル達を見送った俺とヘルは、ここにくるまでほぼ話したこともなく微妙に気まずいのである。


「さて、行くとするか。」


「あの、 私の名前はヘル。 改めてよろしく。」


「あ、ああ、よろしく。 俺はポチだ。」


「ポチさんは、一体何者なの? 」


城の中を歩きながら俺に聞いてくる。


俺たちの後ろではガヤガヤしながら森の動物達が楽しそうについてくる。


「え? 俺か? 俺はただの犬ですよ?」


そう言うと今までうるさかった動物達は黙り城の中には、窓から入る隙間風の音だけが聞こえる。


「いやいやいやいや!無い無い無い無い!ぎゃっはっはっは!!!」


動物達が声を合わせて笑う。


ヘルも首を横に振っている。


「いや、本当に俺、ただの犬だから。」


「ま、まあ、(普通じゃない)犬ってことは分かった。 ありがとう。」


「おう、そろそろむこうの大将が近いな。 気をつけようか。」


そう言ったとき、動物達の中から声が上がる。


「ヤバイよ! 物凄ーく、おぞましいオーラがこっちに来るよ!」


そう言って通路の先の暗がりを指差した。


「みんな、お願い! 死なないでね! 」


そう言うと、動物達はヘルの前に出て俺とヘルは動物達の背後で立っている。俺は動物達の壁で前が見えない。壁の向こうに恐ろしいほどの殺気と魔力をもつ何かが居るのはわかった。


「おやおや、アタシに楯突こうってのはどいつだい!フェンリル! いるんだろう? 出てきな! 」


「ポチさん一旦この中に入って。」


小声で俺に言い、さっきとは違う黒い空間を出す。


「大丈夫なのか? 」


「うん。 少し考えがあるの。」


「そうか、分かった。」


外から見ると黒かったが中に入ると黒い空間にいる事すら忘れるように、周りは透明でなにも無いような気になる。


そう思っているとヘルが叫ぶ。


「兄者は居ないよ!」


「む、子供? なんだい? このアタシに子供を送り込んできたのかい! なんて臆病な狼だい!」


明らかにイラついている女は、ヘルを指差して


「子供だからって、アタシは容赦しないよ!死にな!

デスレーザー!」


ドゥルジ・ナスの指先から赤外線のようなレーザーがヘルに飛んだ。


「危ない!」


俺は空間の中で叫んだ。


レーザーはヘルを貫き通し身体ごと後ろに吹っ飛ぶ。

空間の中からでも分かるぐらいハッキリと身体に貫通した穴が開いている。


「くっ! 大丈夫じゃねえじゃねえか!」


そう言って空間から飛び出そうとしたが、入口が開かない。


「なんだ!これ!どうなってんだ!開け!」


そう空間の中で叫んでいると、ドゥルジ・ナスはヘルに近づいていく。


「キュフフフフフ、ああ、このアタシに子供なんて寄越すからだわ。 哀れな子供だね。キュフフフフフ。 さて、死の穢れを頂こうかね。」


そう言ってドゥルジ・ナスはハエの姿に変わりヘルに飛びかかる。


その瞬間、ムクリとヘルは起き上がり首を抑えながら


「痛い。 ごめんね。 ウサギちゃん。」


そう言って左端にいたウサギを見る。


俺もよく分からず左端を見るとウサギが貫通されて倒れていた。


そして、涙を流しながらヘルはドゥルジ・ナスに手をかざし、


「ブラックボックス。」


その瞬間、巨大なハエは黒い箱の中に閉じ込めらたのであった。









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