男と女と犬
オオカミの魔物との死闘の末に死を感じ諦めかけたその時、オオカミの魔物の首が倒れている自分の目の前に転がる。
意識を手放す寸前、
「大丈夫か?」
と声を掛けられるも返事は出来ず意識を手放した。
パチリ
(はっ! 夢!?)
そう思い目を覚ました。
(痛! ゆ、夢じゃなかったのか。)
痛い体に現実を突きつけられ少し残念に思う。
そう言えばオオカミの魔物にいたぶられて殺された筈だと思ったが、まだ生きている事に驚く。
記憶を振り返り死を感じた時のことを思い出した。その後確か・・・・!
はっ! 思い出した! オオカミの魔物の首が目の前に転がって・・・・その後、確か、
そう思い出した時、突然頭を撫でられる。
「起きたか? お前殺されるところだったんだぞ?」
そうだ。 俺は瀕死の状態でこの男に助けられたんだ。
とりあえず礼を言わなければと思い
(申し訳ない、キズの手当てまでしていただいて。このご恩は、)
「キューン、ワウーンワンワン!」
はっ! そうだった! 俺は犬だった!
ありがとうも言えないなんて!
くっ! もどかしい!
とりあえず座って尻尾を振り頭を下げてみる。
すると男は
「どうした? お腹空いたか? ちょっと待ってな」
と、言い何処かに行ってしまった。
(違うんだけどなぁ)
そう思っていると男が器を持ってきた。
そこには焼いた肉が乗っていた。
「ほれ、食べな。 さっきの魔物のだ。」
違うんだけどなぁと思いながら、体は正直に返事をして俺はそのオオカミの魔物の肉を食べる。
そんな俺の頭を撫でながら男は
「お前あんな森に捨てられたのか? 危なかったんだぞ? 名前とかあるのか?って言っても分からないか。ふふ。」
そう言いながら俺の頭を撫でて穏やかな時間が流れ、俺はお腹も満たされて少し眠くなった瞬間だった。
「よし! お前の事面倒見よう!」
(何勝手に決めてるんだろうか、この人。)
と思いながら眠けに負けて意識を手放した。
翌朝、小鳥のさえずりが聞こえ目を覚ます。
「で? どうすんのよ! また勝手に連れて行くとか言って!召喚獣とかならまだしも、ただの犬って! あんたバカなの? 」
目を覚ますと同時に俺の耳をつんざく女の声に驚きそちらを見た。
振り向いた俺に気がついて男が声を掛けてくる。
「お、起きたか? びっくりしちゃったか?
大丈夫だからな。ヨシヨシ。」
そう言いながら俺の頭を撫でて、男は女に言う。
「こんなにケガしてるのに放置して行けないじゃないか! 面倒なら俺が見るからいいだろ?
大体このパーティーのリーダーは、
お、俺だぞ! 」
「だからこそ言ってるんですけど? あんたパーティーの経済状況が分かってないでしょ!今日の宿代だって足りないのよ! 」
「魔物でも狩ってくるよ!それでいいだろ?」
そう言いながら俺を連れて家を出るのであった。
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