因縁の相手
北の大地に向かうポチとケルベロス(マルコ)。
その道中に思い出す。
交錯する過去、友情、因縁
さまざまな思いが動き出し加速し始める!
「ところでケルベロスさぁ、」
そう呼ばれた時我は言う。
「ポチ殿、我にも名前は存在するのである。
右からトミー、マルコ、ゴメスで、大体マルコの名前で呼ばれることが多いのである。」
そういや奴もそう呼んできていたな。
「地獄の番犬マルコ」
それが我の通り名であった。まだ今より若い頃、まだ魔族と人間が争っていない時代、苦楽を共にした男がいた。そんな時代にも人間でない我らに対し、良く思わない連中はいる。
どの時代にもアンチというものは存在するものだ。
ただアイツは違った。アイツの名前はロドリゴ。
ブーストを自在に操るロドリゴは魔犬である我と相性が良く兄弟のように仲も良かった。
そう、あの日を境に状況は一変する。
王国が魔族との決別を宣言したのだ。
王国軍は魔族が統治する領域に対し侵攻を開始する。
魔族も侵攻に対して反撃するが、圧倒的な数を前にその領域を手放さざるを得なかった。その時異空間に逃げる。その異空間こそ魔界と呼ばれる所である。
密かに友情を確かめ合うべく人にも魔族にも分からない場所を見つけそこで鍛錬に励み、ときにはたわいも無い話などもした。
「マルコはどうなんだよ?」
「まぁ、我らは全ての人間が悪いとは思ってはいないが、やはり理不尽さは感じるな。」
トミーも、首を縦に振る。だが
「何があっても絶対に許さないわよ!」
ゴメスが力強く言う。
ゴメスは筋が通らない事は特に許さない。
「そうだよな。それは人間を代表して謝るよ。ゴメン。」
そう言って頭を下げるロドリゴにゴメスが
「全く仕方ないわね!」
と言って笑っていた。その時だ。
ロドリゴの後をつけて来た男が我に斬りかかって来た。
気を許していた。油断してしまった。
脳裏に死が過ぎる。
そして音もなく我の懐に入ってきた男は
「魔犬ケルベロス!その命、ハンク・オラストが頂戴する! 覚悟!」
そう言って音速の太刀筋が我を襲った。やられた!そう思ったが痛みを感じず斬られたであろう場所を見ると、ロドリゴが間に入って身代わりになっていた。
「ちっ、魔族を庇うとは、死んで当然だな。」
と言ってロドリゴの死体を引きずり横に避けるのかと思っているとハンクは死んでいるロドリゴを切り刻みその顔は笑っていた。
「やめろ!!! もう死んでいるではないか!」
「魔犬ケルベロスともあろうものが甘い事いうんだな?甘過ぎて虫歯になるわ!」
「ふざけおって!お主生きて帰れると思うなよ!」
我は瘴気を全開に出し闇の魔法を展開する。
「ダークミラージュ」
闇の幻覚を見せる魔法、これは誰一人として抵抗出来まいと思っていた。
だが次の瞬間、斬撃が我の身体をエグる。
ゆらりとゆれながらハンクは笑いながら刀を肩にかけてこっちを見ている。
「まさか! 効かなかったのか!?」
「あんなまやかしでやられるわけねえだろ!」
そう言って舌なめずりをするハンクに我は今まで感じた事のない危機感を感じるのであった。
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