私のお姫様〜花壇スピンオフ〜
私の名前はエミリー。
この名前はとってもお気に入り。
だって、私の大好きな姫様がつけてくださったものだから。
幼くして両親に捨てられ、孤児となって路地裏をさまよっていた私。
もう食べ物も底をつき、生きる希望もなく、ひとり壁にもたれかかって終わりが来るのを待っていた時だった。
『ねえ、私のお友達になってくれない?』
ぼんやりした視界の中に、小さな人影が映った。
こんなところに人・・・
『・・・他をあたって』
もう自分にはそんな気力も体力も残っていない。
かろうじて声を絞り出す。
女の子は黙ってしまった。
あきらめてくれたらしい。
ほっとして目を閉じようとした時。
『いいえ、私はあなたがいいの!』
大きな声が頭に響き渡る。
(私が・・・いい・・・?)
そんな言葉、初めて貰った。
『泣いてるの?今すぐおうちに来て!』
もう枯れてしまったと思っていたのに、気づけば涙が出ていたらしい。
『知ってる?一緒にごはんを食べると元気になれる魔法』
女の子は私の手を引っ張って嬉しそうに笑う。
「ああ、今日も姫様の笑顔を見れたからがんばれるわ!」
「エミリー朝から奇声あげるなでし」
「・・・・いつも」
「うるさあああああい!」
私の周りには、いつも大切な人達がいる。
もちろん誰も姫様には敵わないけれど。
結局のところ、今の私がどれだけ幸せかなんて、この文章だけでは表しきれないのです。