獣の国 ビーストアイランド
第2章始動です!
「おっ、落ちるーーーー!!!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「なんでその転移魔法は遥か上空にしか転移しないんだ!どこが揺りかごだ!飛び降り魔法じゃねぇかよーーーーーー!」
もちゆぺ達は落ちていた。
ビーストアイランド遥か上空からビーストアイランドに向けて。
もちゆぺは自分の姿を人の姿に変え落下速度を抑えるため風魔法を展開した。
「風の揺りかご!」
もちゆぺとラピスを包むように小さな竜巻が形成され2人は地面スレスレで空へ浮き上がった。
「これが揺りかごだ!もうあんな魔法二度とごめんだね!」
「何よ何よ!世界樹の書を使えるのは私だけなんだから我慢しなさいよこのくらい!!」
2人がいがみ合っていると街の方から誰かが近寄ってきた。
「あなたがたは、何者ですか?空から降ってきましたけど。怪しいものは排除します。」
フードを被った小柄なその人物は何もない所から2本のダガーを作り出し凄い速さで襲いかかってきた。
「なっ!?」
すんでのところで斬撃を交わす。
しかしその攻撃は止まらない。
「こら!やめろ!わっし達は敵じゃない!」
「問答無用!テンペストスラスト!」
ダガーに風魔法が付与され嵐のような連撃が繰り出された。
「だーかーらー、やめろって!」
もちゆぺの手から餅が落ち
それがロープ状に形を変え縛り上げた。
「わっしらは敵じゃないって。世界樹から生態系を護るように言われて旅をしてる勇者だ。」
証拠と言わんばかりにラピスが世界樹の書ともちゆぺの称号を見せつける。
「あれ、うちの早とちり?あわゎゎわーーー!どしよ、ごめんなさい!よくうち早とちりで怒られるんです。まさか勇者様とは知らずご無礼を...」
「まぁそういう時もあるさー、気にするな。」
笑顔で語りかけロープを解いてあげた。
「ありがとうございます。うちはアルミって言います。何卒よろしくお願いします...」
フードを取るとピンクの髪にうるうるしたピンクの瞳そして可愛らしいケモ耳のついた獣人族であった。
ーカッ可愛い!!!!!ー
もちゆぺはあまりの可愛さに固まってしまった。
ー何だこの可愛さは!頭を撫で回したい!耳としっぽをもふもふしたい!あのぷにぷにのほっぺをふにふにしたい!ー
「おーいしっかりしろー」
ラピスはもちゆぺのほっぺを引っ張り我に戻す。
「はっ!ごめんごめん 笑」
苦笑いである
「聞きたいことがあるんだけどちょっと聞いてもいいかな?」
ラピスは世界樹の書を開き話し始める。
「この国の人口が急激に減り始めているのに気付いてこの国に来たの。何かこの国で最近変わった事が起こってない?」
「ここで話すのもあれなので街の中にどうぞ。」
もちゆぺ達を街の中へ案内した。
街の中は木と藁で作られた家や店が立ち並んでいた。
そして街の奥に行くほど家が大きくなり石やレンガで作られているように見える。
そして一番奥に立派なお城が立っていた。
「ここの街は中心のアルガルド城に近いほど裕福な暮らしを外に近いほど貧しい暮らしをおくる格差がはっきりとした街なのです。」
「どうりでこの辺の家とかは木と藁でできてるのか。」
そう言って周りを見渡していると何かの違和感に襲われた。
ー何だろなんかわかんないどこの街おかしい気がするー
そんな違和感に襲われながら周りが石で作られた街になった所でアルミは立ち止まった。
「ここがうちの家です。どうぞ中へ。」
そして中へ入ると1人の男性が迎えてくれた。
「おお、アルミ遅かったじゃないか。それでそちらの人達は?」
「この人達は世界樹様がこの国を救う為にこちらへ送り出して下さった、世界樹勇者様なのです!」
「はじめましてもちゆぺって言います。今は女の子の格好してるけど本当は餅だ。」
自己紹介終わると同時に餅の姿になった。
「私はラピス世界樹の使徒よ!」
ラピスは胸を張る。
「こりゃーまいった!こんなんが本当に勇者だって言うのかい!?」
もちゆぺは少しイラッとしたがそこにアルミが割って入った。
「こらアビル!こう見えてこの人達の実力は本物よ!私の攻撃をいとも容易く止めたのよ!」
「何だと!?それは失礼した。非礼を詫びよう。」
アビルとやらは頭を下げた。
「こちらの自己紹介がまだだったな。私はアルガルド軍第二部隊隊長のアビルだ。今は訳あってアルミとこの場所で身を隠している。」
「そしてうちはアルガルド軍第一部隊隊長のアルミ。外では言えない事情があったのでここで改めて言っておくは。」
「え!?アルミって隊長なの!?」
ラピスは驚きを隠せない。
「はははは!!こいつ凄いだろ!若干14歳で風魔法と錬金術を意のままにする天才少女。別名疾風のアルケミストの異名を持つアルミ隊長だぞ!この国では王の側近の次に強い実力の持ち主だ!しかしもうこの国にはその側近達はいないけどな。」
「王の側近がいない?それはどう言う事なのだ?」
「そこからはうちが説明するわ。とりあえず座って話しましょ。」
部屋の中心にある円卓を囲んで椅子に座った。
「うちら第一部隊と第二部隊が国の外に遠征に行ってる時に事件は起きたの。これはその事件から逃げ延びた人から聞いた話なんだけど、アルガルド城の王の間に1人の女が突如として現れたの。その女は王にこの国を自分に渡すように宣言したらしいは、当然王様は、それを断ったその瞬間に王の首が飛んだそうよ。」
「まって。その時王の側近はいなかったの?」
「いたに決まってるじゃない。いたのにも関わらず王は殺されたのよ。そしてその後王の側近も全て殺され、殺した全て首を城の外に吊るし女はこの国の人達に宣言したは」
「この国は今日から私スメルの物。1日に2人の若い女を生け贄に差し出しなさい。反逆するようであればこの国の城以外を全て消すと。そしてそれが可能であると言わんばかりにこの国を覆う大きな魔法陣を展開してみせたそうよ。」
「違和感の正体はそれだったのか!この国の貧しい場所では女の人を1人も見なかったんだ。そんな理由があったのか。」
「それでこんな事になったのはいつの話なんだ?」
「2年前よ。それが原因でこの国の人口は減り子供は出来ず。滅亡の危機に瀕しているは。」
アルミは俯いた。
「まずは作戦を立てないとだな!」
もちゆぺは笑顔で言い放った。
「大丈夫わっしがこの国救ってやるから安心しろ!強行突破じゃ国を滅ぼされ兼ねんから何かいい作を練らんとな。」
「そんな直ぐに作戦をたて始めるんですか!?こちらは2年間も奴を倒す為の策をねっても見つけきれないと言うのに。」
「え?王の城にバレずに乗り込めばいいんじゃないのか?」
アルミとアビルは目をパチクリさせている。
「そ、それは無理です。スメルの作り出した配下に見つかってしまいます。」
「倒せばいいじゃん。」
勢いよく机を叩いてアルミは立ち上がった。
「そんな!簡単に言いますけど奴ら一体一体の強さは王の側近レベルなんですよ!」
「城の騎士でも倒せない仕組みになってるのか。それは悪かった。」
アルミは静かに腰を下ろした。
「すみません取り乱しました。」
「そう言えば乗り込む方法ならもう1つあるじゃん。」
「それってもしかして……」
「そうそのもしかしてだよ!」
もちゆぺはニヤリと笑みを残した。
波乱の2章をお楽しみに!