勇者 ライル
勇者のお話です。
高台の上にぽつんと存在する村
フルミネ村
いつも通りの日常そして平和な日々
太陽照りつけるこの村で勇者を目指す1人の少年がいた。
これはこの村に起こる悲劇と1人の少年が勇者になるまでの話である。
高台にあるフルミネ村は至って平凡で平和な村である。
争いは起きず、モンスターも攻めてこない、理想的な場所であった。
そんな平凡に飽きた少年ライルは今日も1人森の中を探検していた。
「俺は絶対この村を出て行ってやる!毎日毎日同じ事の繰り返し。何も無くて詰まらない。俺はあの本に書かれた勇者のように強くなって旅に出るんだ。」
ライルは勇者に憧れた。
平和で詰まらないこの世界。
もしも本に書かれているようなモンスターや魔物がいて、ほんとに困っている人がいるのであれば救いたいと思ったのだ。
その為にライルは毎日森を探検し体を鍛えた。
「ライル。お前はいつも何をしてるんだ。そんなに泥だらけになって。お前は家の農家を継ぐんだ。そろそろ自覚を持って行動しろ。そして仕事を手伝え。」
ライルの父ラルゴは話を始めた。
「お前はもう16なんだぞ!働いておかしくない歳だ。家の手伝いをしてお前も金を稼げ。」
呆れたようにライルに告げた。
「俺は絶対に家は継がない!そしてこの村からも出て行く。俺は勇者になって世界を救うんだ!」
「何をおとぎ話にうつつを抜かしてるんだ!この世界にはモンスターもいないし魔物もいない!お前はこの村の平和と平穏を守るために農家で働くんだよ!」
「こんな村もう出て行ってやる!くそっ!」
ライルは家を捨て森を駆け抜けた。
そして数時間がたった頃ライルは疲れ道中で見つけた川で休んでいた。
「腹減ったー」
勢いて家を飛び出したたためご飯を食べていなかった。
川で泳いでいる魚を見て釣りをすることにした。
木の枝を拾ってきてツタをとり釣竿を作り上げた。
これはライルが今まで森で探検しながら身につけたスキルである。
「よしこれで魚を釣るぞー!」
ー数時間後ー
「釣れねーーー」
「1匹も釣れやしねー」
その時森の茂みがざわついた。
ライルは振り返りそこを見ると大きな牙の生えた豚いやイノシシがそこにいた。
イノシシは何故かライルに敵意を向けており襲いかかってきた。
間一髪のところでイノシシの攻撃を交わし釣竿で身構えた。
その時ライルの身に異変が起きた。
「なんだこれ弱点が動きが流れが手に取るように全部わかりやがる。負ける気がしねぇ。」
ライルは力に目覚めたのだ。
1人で毎日森を探検し体を鍛え自然を感じ続けた
そしてその成果が今ライルの体に宿った。
スキル 目覚めし者
急所を突きイノシシを倒した。
「よし。飯だ!」
イノシシを丸焼きにし食事を取り今日は寝る事にした。
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2日後
ライルは洞窟に辿り着いていた。
そこには見たことも無い何かの骨とおそらく人の物と思われる骨が散乱していた。
「なんだよこれ。ここで何があったんだよ…」
恐る恐る奥へ進むと1本の剣が落ちていた。
その剣はボロボロでサビも酷くとても使い物にならない代物だった。
しかしライルは何故かそれに惹かれ持ち帰ることにした。
ライルは洞窟から出て更に高台に登りそして世界を見渡した。
そして衝撃が走った。
フルミネ村から煙が上がっているのだ。
急いでライルは村に向かって走り出したのであった。
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オークの里
時を同じくして平和な生活を送っていた。
食料にも困らず何不自由ない生活を送っていた。
ある人物が現れるまでは。
「おいお前、何者だ。」
里に突然現れた全身を黒いローブで包んだ謎の人物。
その者を里の入口に立っていたオークが呼び止めた。
「私か?私はある者達に頼まれてだな…」
「?」
「この里に絶望を届けに来たのだよ!!!」
ローブの人物は両手に炎を作りだした。
「ははっ、インフェルノフレア!!!」
そいつは笑いながら里を焼いた。
そして見る見るうちに里は炎上して行く。
「恨むんならー、奴らを恨むんだな!フェルミネ村をよ!」
そう言ってやつは姿を消した。
村を焼かれ半数にまで減ってしまったオーク達そして
村を焼かれた怒りはフルミネ村に向けられた。
オーク達の怒り憎しみ悲しみは重なり合いオークのボス
オークグランデはオークギガスへと変貌したのであった。
「行くぞ。」
そして涙の行進は、始まったのであった。
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フルミネ村
時間はライルがフルミネ村の煙を見つける1時間前に遡る。
いつもと変わらない平和で平凡な生活が続くはずだった。
そうやつらが攻めてくるまでは。
「ライル遅いわね。」
ライルの母イルミは心配していた。
「ここ一帯が魔物もいない平和な場所だからって2日も帰ってこないのは流石に心配だわ。もしかすると怪我をして動けないのかも...」
「確かにここまで帰ってこないのは心配だ。よし私が探しに行ってくる。」
ラルゴがライルを探しに行こうとしたその時であった。
「なんだ?あれは...!?」
「なんでここにオークが!」
「ここにモンスターや魔物は現れないはず!何故だ!」
村が慌ただしくなり始めた。
村人の1人がオーク達に用を聞きに行くことにした。
「あの何故こんな所に...」
「お前らが...我々の里を...!!!!」
オークは村人を勢いよく殴り飛ばした。
村人は見るも無残な姿で村の家に衝突した。
その勢いでその家は大破し倒壊した。
そしてオーク達は村を破壊し残虐始めたのであった。
「滅ぼしてやる...」
オークギガスはそう呟いた。
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ライルは村に向け走り出していた。
しかしその距離は遠くライルが全速力で走っても丸々1日はかかる距離である。
「一刻も早く村へ行きたいのにどうすりゃいいんだ...」
その時頭の中に声が響いた。
ー汝我が雷光の迅雷に選ばれし者よー
ー汝速さが欲しくば柄を握れさすれば我が力お主に流れるであろうー
「なんかよくわかんねぇけどそれで早く村へ行けるんだったらどんだけでも握ってやるよ!」
ライルが柄を握ったその瞬間周りの音が止まった。
そして世界が硬直したのだ。
そうこれは高速の世界。
レジェンダリーウェポン雷光の迅雷に選ばれしライルは光の速度に踏み込む力を手に入れたのだ。
その刹那ライルは村にたどり着き村を襲うオークを鞘から抜かれていない剣で殴り飛ばした。
「うぉらぁ!!!!」
村と人をオークを殴り飛ばしライルはある場所へ向かう。
「母さん!父さん!」
ライルの家は倒壊し家の前に人が倒れている。
ライルの母と父であった。
「母さん!父さん!しっかりして死んだらダメだ!」
「ライル...無事で...良かった...。早く...逃げなさい。殺されるわ。」
「私達の事はいいから、早く逃げなさい。お前だけでも生きて...」
「もう喋らないで...俺が2人を、この村を救ってみせるから。だから生きて。」
ライルはオークの軍勢に向き直る。
オークの数約1200体
ライルはそれと1人で戦おうとしているのだ。
ー汝我が雷光の迅雷に選ばれし者よー
「俺は勇者だ。」
ライルは剣の柄に手を添える。
ー我が本当の力解放するかー
「この村を父さん母さんを救ってみせる!」
柄を握り剣を引き抜いた。
ー汝の想いしかと聞き届けたりー
オークの軍勢に雷の嵐が降り注いだ。
そしてらライルはまるで雷のような速さでオーク達を切り伏せていく。
いつしかライルのスキル目覚めし者は
雷光の勇者へと変貌したのであった。
「喰らえ!迅雷の雷!」
拘束で振り抜かれた人達は雷になり、一気に100体ものオークを消し炭にした。
ライルは2発目の迅雷の雷の構えに入る。
しかし
「もう1発だ!迅雷の...!?」
高速の抜刀と共に放たれるはずだったその一太刀は1体のオークの棍棒によって防がれたのだ。
「なに!!?」
ライルは力負けし簡単に吹き飛ばされ数百メートル先の森の木に激突した。
「グハッ!!」
初めての痛恨なるダメージ痛みへの恐怖それが一気に込み上げてきた。
「なんだよ...あいつ、強すぎだろあんなの勝てるはずないだろ。殺されちまう...」
ライルは突然の恐怖に襲われ足がすくみ動けない。
「くそっ!動けよ!嫌だ死にたくない!」
オークギガスは静かにこちらへ向かってくる。
その時
オークギガスの前に2人の人影が現れた。
「あの子にだけは手を出させない!」
「ここは絶対に通さないぞ!」
そうイルミとラルゴだった
「なんでだよ...動くなって言っただろ!」
ライルは叫んだ。
「子を守らない親がどこにいるのよ。」
イルミとラルゴは静かにライルの方へ振り返った。
オークギガスは2人に手をかけ持ち上げた。
今にも握り潰さんとしている状況である。
「その手を離せ。」
その言葉と同時にオークギガスの手が切り飛ばされたのだ。
そしてオークギガスの懐で手を切り飛ばしたのは怒りで恐怖を乗り越えたライルであった。
2人から距離を稼ぐためオークギガスを蹴り飛ばした。
そしてそこに最大威力迅雷の雷をぶつけた。
オークギガスは灰も残らないレベルで消し炭になったのであった。
「終わった。」
ライル振り返り両親の元へ歩き出した。
オーク達はオークギガスの消滅により撤退を始め
誰もが戦いの終わりを悟ったその時
消滅したはずのオークギガスが目の前に現れた。
「は?」
確かに再生不可能なレベルにまで消し炭にしたはず。
何故こいつが目の前に...
「俺は死なない。」
ライルは強烈な一撃をまともにくらった。
そうライルはまともにくらったのだオークギガスの一撃を死んだ生きてるはずがないそう思った。
しかし生きていた。
剣がライルを守ったのだ。
この剣には自我がある。
なぜならこの世界に数える程しか存在しないレジェンダリーウェポンだからである。
ー我は奴を倒したいその為に汝に死んでもらっては困るー
ー我が汝にやつを倒す力をさずけようー
ライルは殴り飛ばされたが踏みとどまった
剣が守ってくれたからだそしてライルは新たな力を手に入れた。
スキル 魂魄斬
その名の通り魂を斬る力だ。
このスキルの持ち主に斬り殺されると絶対に蘇らないし回復しない。
ライルは剣の柄に手をの構えをた。
「オークギガスこれで終わりだ!雷斬 壱ノ太刀 雷切!」
オークギガスは真っ二つ我黒い魂が空に消えていくのが見えた。
「今度こそ終わった。」
ライルはその場に倒れ落ち始めたその時
2人がそれを受け止めた。
「ほんとに生きててよかった...死んだと思ったじゃないの!」
イルミとラルゴはライルを強く抱き締める。
「苦しい...」
そう言いながらライルは少し微笑んだ。
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そしてその一年後
雷光の勇者としてライルはレジェンダリーウェポン雷光の迅雷に導かれるがまま旅に出るのであった。
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「も、、ぺ、も、ゆぺ、、もちゆぺ!!」
「ん...」
ボヤけた視界に妖精ラピスが映る
「ラピス、おはよぉー」
「おはよう、じゃないわよ!!!あんた1週間も寝てたのよ!」
「...」
「ぇぇえええ!!!!!」
「早く準備しなさい!あんたが寝てるうちに獣の国の獣人族の消滅速度が加速したのよ!一刻も早く向かわないと手遅れになるかもしれないわ!」
ラピスはもちゆぺのほっぺたをグイグイ引っ張る。
「それわまずいな!早く行こ!」
「そしたら行くわよ!転移魔法 妖精の揺りかご!」
もちゆぺとラピスはビーストアイランドに向かったのであった。
ー本当はオークギガスも悪いやつじゃなかったのかもなー
次から第2章獣の国ビーストアイランドの本編に入ります!