私は悪役令嬢達の恋愛アドバイザー
この世界は乙女ゲームの世界で、私はヒロイン。ありがちだけど悪役令嬢にいじめられたりするけど最終的には好きな人と結ばれるハッピーエンドの物語…だけど私には前世の記憶がある、しかもこのゲームはプレイ済み…どの相手と結ばれるのも、ライバルにどんなことをされるのかも知っている…だから私は決めたの、イレギュラーな存在であるはずの私は物語には囚われないわ、自分の意志で生きたい…。
なので物語を成立させないように悪役令嬢に協力します!
と、言ってもいじめに加担するとかそんなことはしない、あくまで悪役令嬢を幸せにするために動くの…そうだこの世界がどんな世界なのか説明しておこうかしら…誰かに言うわけでもないけど、たまには頭の中を整理しなくちゃね。
この世界は剣と魔法、人間と人外が存在する乙女ゲーム…しかもシリーズ物で、同じ世界同じ時間軸で起こる物語。この世界には三人のヒロインと三人の悪役令嬢がいる、私はその中の一人。
私の設定は伯爵家に生まれた令嬢で国の王子様に身分違いの恋をしているマリー。そしてライバルは王子様の婚約者である公爵令嬢アイリス…マリーはパーティで偶然王子様を話すこと機械があって、そこから交流が始まり二人は両想いに…けれどそれを良く思わないアイリスに酷いいじめを受けるも、王子様はアイリスとの婚約を破棄にしていじめの真実を暴き公爵家を没落させ、国から追い出し二人は結ばれ幸せになる…。
もう一人の主人公は平民だけど強い魔力があり特別に学園に入学してきた優しく素直な女の子リリィ、ライバルは吸血鬼の一族で侯爵令嬢のヴァイオレット…リリィは平民という理由で疎まれていたが、強く生きていたそれを面白いと思ったヴァイオレットの婚約者で同じ吸血鬼で吸血鬼の王の息子と仲良くなり惹かれあう、だが吸血鬼の血を色濃く残すための婚約でもちろんヴァイオレットはそれを良く思わない、リリィを襲わせたりいじめたりするが最終的にはハッピーエンド。
最後の一人は没落寸前の男爵令嬢のチェリー…ライバルは完璧な淑女といわれる侯爵令嬢デイジー…貧乏貴族であることを隠したいチェリー、その秘密を知ってしまったデイジーの婚約者で王子様の幼馴染の公爵子息と秘密の共有をするようになりそれに嫉妬したデイジーに酷い仕打ちを受けるが、ハッピーエンド。
この六人は同じ学年に在籍していて、私とヴァイオレットは1組、デイジーとアイリスは2組、リリィとチェリーは3組…修羅場に修羅場を極めた学年よね…絶対めんどくさい。どうして悪役令嬢が婚約者を取られるのか…そう考えた時に浮かんだのは婚約者同士なのに好感度が低い!しかも相手からのね。正直言って三人の悪役令嬢は性格が悪いとかそんな設定ではなかったわ、どの子も嫉妬でそうなったんだから。
アイリスは王子様を支えれるように強くあろうとした、甘え下手で王子様のことは好きだけどそれが伝わっていなかった!
ヴァイオレットも種族のためと言い張っているが本当はずっと好きで素直になれないだけ!
デイジーは控えめ過ぎたの、そのつもりはなくても相手に興味がないようにしてきたから好かれていないと勘違いされていたけど本当は好き!
…みんな不器用なのよ……みんな悪い子じゃない、ヒロインも悪役令嬢も悪くない…悪いのは物語よ、それを覆すために私は一番身分が近くて同じクラスのヴァイオレットに近づきお友達になったわ、その間に王子様とは接触しないように徹底したわ…最初は相手にされなかったけれど、恋愛の話をしたら食いついてきてくれたわ、心も開いてくれて素直になれないと悩んでいると打ち明けてくれた。
「ヴァイオレット様は美しく魅力的な方ですわ、ですがこのままでは他の女に取られてしまいます!」
「そんなの嫌よ!…でもどうしたらいいの…」
「ちょっと、ほんのちょっとでいいから…素直になることですわ」
「それができないから悩んでいるんじゃない!!」
「やろうと思えば簡単にできます!勇気を出して、少し自分の気持ちを伝えればいいんです…ヴァイオレット様にはそれができるはずです!」
「マリーさん……ありがとう、頑張ってみるわ」
「はい!私でよければいつでも相談に乗りますわ!頑張ってくださいまし」
こんな感じでヴァイオレットにアドバイスをしたら、うまくいったようでヴァイオレットは婚約者といい雰囲気になっていると噂で聞いたわ……ヴァイオレットは私に相談したとデイジーに言ったらしい、確かにゲームの中で二人は仲良かったわね…デイジーは自分から私のところへと来て、好意を態度に出せないと悩んでいると相談してきたわ。
「私もヴァイオレット様のように婚約者様と……けれど私は好き、をあまりだせていないようで…」
「ならば少し大胆になりましょう、好きと言葉に出してみたりするんです」
「そ、そんな…恥ずかしいですわ…」
「ヴァイオレット様は少し素直になって婚約者様といい関係になりましたわ、デイジー様も同じように少しでいいから好意を示さなければ離れて行ってしまいますわ!」
「でも、はしたないのでは…?」
「デイジー様は婚約者なのだからいいじゃないですか…彼にしか見せない一面として、言葉にしたり触れてみたりして好きを出したほうがいいです!」
「そう、かしら……うまくいくかしら…」
「いけますわ、私が協力します!頑張りましょう!」
「ありがとう!…ヴァイオレット様の言う通り貴方は素敵な方ですわね」
「デイジー様に比べれば私なんて…いつでも相談に乗りますわ、デイジー様ファイトです!」
ヴァイオレットには感謝したわ自分から行く手間が省けた。デイジーもうまくいったようで婚約者といるところをよく見かけるようになったわ、彼女は幸せそうにしていて手を繋いだり以前ならそんな様子見ることはなかったでしょうね、良かったわ。きっとアイリスにも私のことが伝わると思うわ、デイジーはアイリスと同じクラスだし、婚約者は公爵子息、きっとアイリスとは知り合い。正直自分から近づくのは大変なのよね…王子様と一緒にいることが多いから、王子様との接触をしたくない私からしたら難関中の難関…けれどある日ヴァイオレットとデイジーにお茶に誘われ一緒にいるときアイリスがきて、甘えることができないと私達に悩んでいると言ってきたわ、婚約者との関係を修復できた二人がいれば簡単にアイリスを説得できるはず。
「ヴァイオレット様とデイジー様は相手とうまくいっていると聞いています、マリー伯爵令嬢…貴方の助けでそうなったのでしょう?…お願い私に力を貸してほしいの」
「お二人がうまくいったのは、お二人が勇気を出したからです!…ですが私でよければお力になりますわ」
「アイリス様、マリーさんは確かに私達を幸せにしました、きっとアイリス様もうまくいきます」
「えぇ、マリー様のアドバイスのおかげです、私達も協力しますわ頑張りましょう」
「ヴァイオレット様、デイジー様……」
「三人ともありがとう…私、王子様と親密な関係になりたいの…でも私は可愛げがないし…どうしたらいいのかもわからないの」
いつも強く気高いといわれていたアイリスの顔は弱気に、本当に悩んでいるようで…私、ヴァイオレット、デイジーは親身になって彼女の相談に乗ったわ、まずは他の二人に言った通り少し素直になって大胆になってみるといい、と…けれど王子様とその婚約者だから周りにみせつけるのは威厳に関わらないかアイリスは心配しているようで、そこで私達が雰囲気作りをすることになったわ、二人っきりになれる穴場スポットを探したり、恋愛小説とかを参考にして甘えれるシチュエーションを作ったり……最初は恥ずかしがって空回りしたりしたが、それが王子様の気を引いたのか会話が増えたようだ、そして最近は甘えれるようになったのか二人の雰囲気がだいぶ変わったわ、あんまり良くないけど心配で三人で様子をみにいったり…あの時はびっくりしたな、王子様とアイリスのキスシーンを目撃することになるなんて…それには流石に恥ずかしくなって逃げるようにその場を離れたわ……ヴァイオレットとデイジーは自分もしたことないのに!と顔を赤めながらも羨ましそうにしていたわ…キスした後にいつも四人で作戦会議をしているテラスにご機嫌で現れ思いっきりからかったわ、あれは楽しかった。アイリスは見ていたの?!と怒っていたが顔が緩んでいてこわくなかった……婚約者との関係が良くなった三人は幸せそうだと、事情をしらない周りの人達は言っていたわ…本当によかったわ、婚約破棄の会場にもなる学園主催の舞踏会も平和に終わり、悪役令嬢を幸せにするために奮闘した一年はあっという間に過ぎ卒業が近くなったわ。
「ヴァイオレットとデイジーは卒業したらすぐに結婚するのよね、おめでとうっ」
「貴方のおかげよマリー!貴方と知り合ってから一年、すっごい幸せだわ」
「そうね…一年前はこんなに幸せになれるなんて思ってなかった」
「私もよ、身分が上の二人を呼び捨てにできるなんて」
「あら、アイリスのことも呼び捨てになったじゃない」
「そればヴァイオレットもでしょ!…こんなにも心を許してもらえるなんてね」
「マリーさんには不思議な魅力がありますからね、コロッと行っちゃいました」
「悔しいけど、それはわかるわ」
私もこんなにも仲良くなるなんて思わなかったわ、普通に楽しんじゃったし…四人でお泊りしたり、旅行にいったり…めちゃくちゃ仲良しじゃん…まぁゲームじゃ語られなかった三人の素顔が見れて役得だけどね、だから三人が幸せになれてよかった
「ヴァイオレット、デイジー、マリー、お待たせ」
「アイリスさん遅いですよ~」
「お茶冷めちゃってるー」
「ごめんなさい、王子様との会話が弾んでしまって」
「でた、アイリスの惚気!」
「幸せ者ですね~」
「羨ましい限りよ」
「む、いいじゃないヴァイオレットとデイジーはもうすぐ結婚でしょ?私なんてあと一年待たないといけないのよ?」
そう、王子様は剣技を他国で学ぶために一年留学するの、だから結婚は一年後…だけどその留学にはアイリスもついていくから、今とそう変わらないわね
「そういえばマリーの恋愛話って聞いたことないわよね」
「確かに、私達のことばかりで貴方のことは知らないわ」
「はっ…私達のせいで恋愛する時間がなかったということですか?も、もう卒業です…行き遅れって言われちゃいます!」
デイジーも言うようになったわね?失礼じゃない…まぁ18超えれば行き遅れって言われたりするのは事実だけど…ってなんか三人がすごいオーラを発してるんだけど…
「今度は私達がマリーの恋愛アドバイザーになるわ!」
「マリーさんの影響で私達にもいいアドバイスができるはずです!」
「いい相手も探すわ、公爵子息とか隣国の王子とか…任せなさい!」
えぇえ…恩を返すようにすっごい意気込んでるんだけど…別に大丈夫なんだけど…
「いや、大丈夫だよ」
「遠慮しないで!」
「貴方が私達を幸せにしてくれたんです!」
「恩を返させて頂戴!」
「えぇ…」
本当に恩を返そうとしてる…本当に必要ないんだって…そんな目で見ないで、アイリス座って本当に隣国の王子連れてきそうで怖いから、ヴァイオレットもデイジーも落ち着いて、私の話を聞いて…そう思っている私に助け舟を出すように私に仕えている従者が近寄ってきたわ
「失礼します、お茶が冷めてしまっているようです入れなおしますね」
「む、マリーの従者じゃない、空気読んでよ」
「そうですわ!主人の将来がかかっているんですよ??」
「でも貴方のお茶は美味しいからいただくわ」
「……ぷっ、あははっ…!」
「!マリー、いきなり笑いだしてどうしたのよ怖いわよ」
「……」
「エリック、必死すぎよっ」
普通の主従、私が主でエリックが従者…幼い頃から彼は私に仕えてくれていて護衛もしてくれてるの、悪役令嬢達を幸せにすると決めてからもそれは変わらないわ、お茶をいれるのがうまくて四人のお茶会では彼のいれたお茶を飲んでいる、だからアイリスもヴァイオレットもデイジーも彼を知ってはいるわ、従者としてはね
「だって…隣国の王子とか連れてこられたら太刀打ちできないだろ」
「ふふっ、私が貴方以外を好きになるわけないじゃない、何のために籍をいれたの?心配性ね」
「…うっせ」
こんな一面知るはずないわよね、三人はすごい驚いたように私とエリックの会話をみているわ、ずっと言ってなかったから衝撃が大きいんでしょうね、私が他の人を好きになるはずない、とか籍を入れたとか、気になる単語が出て、正気を取り戻したアイリスが口を開いた
「も、ももも…もしかして二人は…」
「アイリス、落ち着いて、もが多い」
「恋人…籍って言ってたし…夫婦なの…?」
「っどういうことか一から教えなさい!」
「き、気になって夜に寝れなくなります!!」
ヴァイオレットもデイジーも正気に戻ったのか、三人に質問攻め…その発端であるエリックは後ろについてだんまり…帰ったら覚えてなさいよ…。
「エリックとは小さい頃から一緒にいて、籍を入れたのは三年前なの式は挙げてないけどね卒業したら挙げるつもりなの、ずっと黙っててごめん」
「本当よ!!驚いたわ、マリーが人妻だったなんて!」
「結婚は15歳から認められてますけど、身近に結婚してる人がいるなんて…」
「しかもマリーって…大先輩じゃない、だからあんなに適切なアドバイスができたの?」
それは設定集みて、ゲームをプレイしたからです。エリックは物語にはあまり出てこないけど、実は私は王子様よりエリックのほうが好きだったの、だから王子様と結ばれる物語が嫌で悪役令嬢達と婚約者との関係をよくしようとしたわ、本当はアリシアだけを幸せにすればいい話だけど、自分から声かけると王子様に目を付けられる可能性があるから一番近くにいたヴァイオレットに声をかけたの、こんなにもすんなりとアイリスと仲良くなれるなんて思ってなかったけどね。エリックとは恋愛結婚、代々うちの家の護衛をしてきたエリックの家系をお父様はすごく信頼していて、エリックとのことを打ち明けた時反対されると覚悟したけど、喜んでくれたお母様もエリックを気に入ってくれてて…私とエリックは結婚ができる年齢になってすぐに籍をいれたわ、今もエリックが好きでエリックも私のことを好きでいてくれる、私はずっと幸せだったのだから三人の恋を応援する余裕があった、だからこそ王子様とは関わらないと決めたのエリックといたいから…。
「一番の勝ち組じゃん、マリー!」
「教えてくれればよかったのに!こんなギリギリだなんて酷いですっ」
「そうね、そんな素振りさえなかったから気づけなかったわ…」
「ごめんなさい、そろそろ言おうとは思ってたんだけどね」
「もうっ…従者…いえ旦那様ね、マリーを不幸にしたら許さないからその血吸い尽くすからね」
「本の角で小指を殴りますからねっ」
「権力を使って潰しに行きますからね」
「ひぇ…三人とも怖い…」
「大丈夫ですよ貴方方よりも長くそばにいますし、俺と一緒にいるのがマリーの幸せですから。」
ニコッと余裕のある笑みを浮かべて私達にエリックは告げて、私の頬に口づけしてお茶を入れに下がったわ…きっと私も三人も真っ赤になってるんだと思う、変な空気になっちゃったじゃん…エリックのバカ……三人の悪役令嬢がハッピーエンドを迎えれるように頑張ってきた私が一番のハッピーエンドを迎えていたみたい、しかも物語がスタートする前から…まぁヒロインの物語だから王子様と出会わなかった時点でこの乙女ゲームは始まってないんだけどね?
ちなみに私以外のヒロインもハッピーエンドを迎えたわ、全員ハッピーエンド!私頑張ったのよ、五人を幸せにするために動き回ったんだから!
スマホでできる乙女ゲームが舞台です、菖蒲ルート、菫ルート、雛菊ルートのどれかを選択し展開していきます、悪役の名前がルートの名前なんて面白いですよね、ヒロインの名前も花で統一されてます、タイトルは庭園に咲く花とかですかね??
投稿する最後の最後に花をモチーフにしようと思いついてしまい、名前の検索と本文の変更…地味に大変だった…
ヒロイン
マリー
リリィ
チェリー
悪役令嬢
アイリス
ヴァイオレット
デイジー