表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
探偵とヒーロー  作者: はち
16/65

姉弟と事件――2.ヒーローは空を飛ぶ

「さてさて、災難だったな」なぜか楽しそうに仮町は言った。場所は校舎の二階廊下、火災報知器の前だった。

「僕だけじゃなくて君もだろ?皆避難したんだから」あの後教職員全員で犯人探しが始まった。各クラスの担任が事の顛末を生徒に聞いた。しかし、一人対約三十人の事情聴取なんて成立するはずもなく、大半は授業が潰れ、帰る時間が遅くなることへの文句が出ただけで終わってしまった。

 僕はゴールの見えない犯人探しから解放され、家に帰ろうと廊下を歩いていたら火災報知機をまじまじと眺めている仮町を見つけたのだ。


「いや、俺は今日学校休んだからよ」

「え?じゃあなんでここにいたの?」

 

「そりゃあ、学校でボヤ騒ぎがあったなんて聞いたら面白そうだから飛んでくるに決まってんだろ」


 絶対にそういう決まりはない。それに面白そうとかも思わない。思ったってわざわざ制服に着替えてやって来たりしない。


「君は空も飛べるのか」火災報知器を見飽きたのか仮町は僕の方を見た。

「そりゃな、ヒーローだからよ」

「君はヒーローなのか」

「そりゃ男だからな」

「君は男なのか」

「そりゃ……って、いつまで続けんだよこの会話」仮町は煩わしそうに笑うと体を伸ばした。

「しかし暑いな」ワイシャツの襟元をぱたぱたと揺らしながら、仮町は唸った。

「もう七月だもんね」


 仮町は踵を返し、体を僕に向けた。僕は溜息をついてから「火災報知器から何か分かったかホームズ」と聞いた。


「分かるわけねえだろ」吐き捨てるようにそう言うと、仮町はにやりと笑って「かき氷でも食いに行こうぜ」と僕を誘った。断る理由も特に無かったので僕は誘いに乗った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ